第4話 黒い真実
◇見える真実◇
その後、土田は俺の無実証明のために動いてくれた。
どうやら土田は弁護士資格も持っているらしく、この業界ではそこそこ顔が広いらしい。
あの情報収集の速さにも納得だ。
土田が言うに、怜奈殺しの真犯人は、"来田正成"という男らしい。
その名前を聞いたときは、かなり驚いたものだ。
何故ならその男は、俺の働く会社、"来田商事株式会社"の社長だったのだからだ。
動機は好きだった女が男、つまり俺に取られたのが腹立たしく思ったかららしい。
本当にしょうもない動機だ。
だが、しょうもない動機で奪った命はあまりにも重い。
きちんと裁かれるべきだと思う。
では次に思いつく疑問、何故俺が犯人として疑われているのか。
これも土田が調べてくれたが、どうやら社長は"警察"、そして"ヤクザ"とも繋がりを持っていたそうだ。
だから警察に、"ヤクザ"関連の話をチラつかせて、金を積んで俺に罪をなすりつけようとしたらしい。
本当に根っこの底まで腐ってんなアイツ。
しかし話を聞いていて思ったが、"国営である警察が金を積まれて事実を隠蔽する"ってこと、それが警察と敵対関係にあるヤクザっていうのはあまりにも不自然すぎるように感じる。
まあこの辺はまだ解明できなさそうだし、ある程度時が経つとともに判明すると信じ、ここはノータッチでいいだろう。
そして、どうやら来田の怜奈殺害に協力した連中まで存在するらしい。
"濱嶋団"、この地域を仕切る暴力団の一角だ。
自分の働いている会社が、ここまで染まっているとは思いもしなかった。
だが、ここまでの真相が発覚した中で、ある一つの問題が発覚した。
俺が無罪になり、来田が真犯人として捕まる事で、"ヤクザ"と"暴力団"が俺達に、報復しに来るかもしれないことだ。
だが土田は、
「彼らは君に手を出せないよ。何たって君には私がいるからね」
なんてことを言ってきた。
本当に何者なんだコイツは。
だが、その問題の心配が必要ないのなら、俺の無罪は決まったも同然だ。
俺はそのことを胸に、辛く長い取り調べを粘り続けた。