第2話 絶望と希望
それから俺は、警察の取り調べを受けた。
暴言や、精神的攻撃など、警察はあらゆる手で俺を自白に追いやろうとしてきた。
今の時代これが公になれば大炎上だろうな、なんて思える内はまだ楽なのかもしれない。
長かった取り調べ1日目が終わり牢に戻ると、何故か涙が溢れていた。
妻の死のショックからなのか、あまりの取り調べの強引さからだろうか。
どちらにせよ、精神的にやられているのは間違いない。
俺は早く寝てしまおうと思った。
しかし、寝ようというタイミングで何故か俺に面会を希望するという奴が来たとの知らせが入った。
両親だろうか?友達だろうか?どちらにせよ、情けないな。
そう思いながら、俺は面会を承諾して、面会室へと連れて行かれた。
◇茶髪の女との出会い◇
面会室に入ると、そこには20代前半くらいの茶髪の女がいた。
顔もとても整っていて、モデルみたいなスタイルをしている。
さらに宝石みたいに美しい瞳と来た、この女性に目をそらせる男はまずいないだろう。
だが、俺の知り合いにこんな女はいない。
本当に誰なんだ…。
そう考えていると、茶髪の女は微笑みを向けて話しかけてきた。
「はじめまして、牧野大樹さん。私の名前は土田花乃。探偵をやっているの」
探偵か。
何でこんな美人な奴が探偵をやってるんだよ。
もっと身に合った表舞台の仕事をしていると思った。
そう思いながらも俺は、土田に率直な疑問をぶつけた。
「は、はじめまして…。あのー、俺たち面識ないですよね、何で探偵が僕のところに来たんですか?」
すると土田は薄く笑みを浮かべ、口を開く。
「何をしに?そんなの決まってるじゃないか。君のかかっている疑い、牧野怜奈さん"殺人"疑惑の無実を証明するためだよ」
…コイツ今なんて言った?俺の罪が…、
「俺の無罪が証明できるのか!!!」
「おお、食いつき強いな。まあ私と手を結べば確実に君の無実は証明されるよ。何たって私は、真犯人が誰か、真犯人の動機、真犯人の怜奈さんの殺害方法、全て知っているからね」
「本当か!?」
俺はこれまで出したことのない程の声量で、土田に問い返す。
正直、本当にコイツは何者なんだ?とも思ったが、今はそんなことどうでもいい。
俺の無実が証明され、真犯人も分かるとなれば万々歳!全て解決だ!
「でもこの情報は価値がとても高くてね。君に渡すには、ある"交換条件"を飲んでほしいんだ」
「何でもいい!何でも飲んでやる!だから俺と手を結んでくれ!」
例えそれが俺の"全財産をよこせ"という内容でも、俺は飲むと思う。
俺にとって怜奈は、一人しかいない大切な妻なんだ。
どんなに過酷な条件でも飲まなきゃ、男が廃るってもんだ。
「契約成立、だね。じゃあ私が求める交換条件の対価だけど…」
ゴクッ…。
「君、私と付き合ってよ」
「…は?」
予想もしていなかった対価の内容に、思わず声が出てしまった。