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不倫盟約  作者: 鍵香美氏
第2章 拘束編
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第11話 心情真実変化

   ◇真っ暗闇◇

 来田から真実を伝えられてから2日後、俺は何もかもがどうでもよくなっていた。

 辛い事情聴取ですら、頭に傷を与えることができなくなってるくらいだ。

 今日も放心状態のまま牢に戻ると、もうお約束にもなった警官の


『面会だ』


という声が聞こえてきた。

 俺はふらふら〜と立ち上がり、警官に促されるまま面会室に向かった。

 そして、面会室の扉を開けるとそこには、濱嶋団の下っ端らしき奴らが2人程面会に来ていた。

 俺は千鳥足のまま椅子に座り、男2人の方に顔を向けた。

 すると男たちは、そんな俺を気遣う素振りを見せながら、自己紹介をしてきた。


「おっさん大丈夫か?俺の名前は"板山暁斗いたやまあきと"、濱嶋団のものなんだが」


「俺も同じく、濱嶋団の"蓮野治はすのはる"っていうものです」


 濱嶋団の奴らか。

 一体放心状態の俺に何のようなんだ。


「あなたが困惑するのも無理はない。ここ数日だけで色んな連中が訪問してきたろ。だが俺たちはこれまでの連中と少し違うぜ。何たって俺たちは、来田を潰す為に行動してるからな。あんたと敵対することは絶対に無いぜ」


 来田を潰すって、…なるほどな。

 コイツらが土田の言ってた濱嶋団の裏切り者か。

 まあ見た目は置いといて、土田の仲間だっていうなら大丈夫そうだな。

 そう思っていると、今俺が1番囚われている問題が、蓮野の口から出た。


「じゃあそろそろ本題に入りますね。まず、先日牧野さんのもとにやって来た来田ですが、あれは来田の"影武者"です」


 は?影武者ってまさか、


「じゃああの来田は本物じゃなかったってことか!?」


「その通りだ。2日前、お前のところに来た来田は、海城組の"中城進なかじょうすすむ"って奴が変装した姿だ。お前に自白させたいが為に、こんな姑息な手段を取ったんだろうな」


 え?姑息な手段ってことはまさか、


「そう、牧野怜奈の不倫は中城がでっち上げた嘘だ」


 それを聞いて俺は、一気に肩の力が抜けた。

 だがその肩は次に明かされる真実で、また力を入れ直す事になった。


「ですが、牧野怜奈さんが来田と行為に及んだ事は本当です。実際には来田が無理矢理怜奈さんを誘拐して、そのまま押し倒した訳なんですが。怜奈さんは、この一度の行為でまさかの妊娠をしてしまった。流石にそれはまずいと思い、来田は怜奈さんを殺害したという訳です。好きな女でさえ殺せちゃうのが来田なんですよ」



 俺はその真実を聞き、怒りがこみ上げてきた。

 どこまで腐ってるんだアイツの性根は。

 俺を自白に追い込むためにこんな嘘までつくか普通。

 感性が歪んでやがる。


「だからあなたは絶対に自白だけはしちゃいけないぜ。正直アイツの腹の内は見えねえが、それでも抗うしかないんだからよ」


 見かけによらず優しい言葉を選んでくれた板山に衝撃を受けつつも、俺は純粋に感謝を述べた。

 そして今ここで俺は決意した。

 俺が絶対に来田を潰してやると。

 そんな決意をしていたら、警官に


『面会終了だって言ってるだろ!聞こえねえのか!』


 と怒られてしまった。

 どうやら周りの音に気が付かなかったらしい。

 俺は席を立ち、面会室を出ようとすると、板山がニヤニヤしながら大声で


「ちなみにあんたが不妊の原因ってのも嘘だからな!土田さんとやる時は安心していいぜ!」


なんてことを言ってきたが、俺は 


「うるせぇ!しねえよ!」


と大声で返してやった。

 まったく、ただの盟約上の恋人なのになんてことを言うんだ。

 そう思いながらも俺は、土田と過ごす未来も悪くないなと、内心思ってしまっていた。





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