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ドキッとしましたか?

 修学旅行3日目。その日は、クラス全員でバスに乗って観光をし、1日を終えた。


 ホテルに戻り、部屋に帰ってすぐ、俺は、今日、買ってきたものを食べようとしていた。


「碧くん、もうすぐ夕食ですよ?」


「少しぐらい……」


 一緒に食事会場へと行こうと約束していた瑞季は、じとーっとした目で俺のことを見てきた。


「み、瑞季も半分食べるか?」


「それは?」


「パイナップルのフィナンシェ」


 袋から出したものを瑞季に見せると彼女は美味しそうと無意識に呟いたので俺は、誘惑するようにフィナンシェを彼女に見せつける。


「食べたいだろ?」


「た、食べたくないです。夕食がありますから」


 さては、瑞季。夕食にはお菓子を食べるなと親に言われたら必ず守るタイプだろうか。


「じゃあ、俺だけ食べるわ」


「……やっぱりほしいです」


「はい、どうぞ」

 

 彼女に袋を開けたパイナップルのフィナンシェを渡すと彼女は美味しそうに食べる。


(凄い幸せそうな笑顔……)


「お、美味しいです……もらったお礼に碧くんにはこれをあげます」


「これは?」


「ゴーヤチャンプルチップスです」


「……う、うん。ありがとう」


 ゴーヤが嫌いなため少し微妙な反応になってしまった。美味しいのかわからないが、まぁ、食べてみたら案外美味しかったりして……。


「碧くんは、彼女ができたらしたいこととかありましたか?」


「彼女ができたらしたいこと? 急な質問だな」


「ふと気になりまして。何かありました?」


 瑞季と出会う前まで恋愛なんて無縁だと思っていたから彼女ができたら何かをしたいと思ったことはなかった。


「彼女ができたらしたかったことはないが、瑞季としたいことはあるかな」


「なんです?」

 

「膝枕で耳かきしてほしいとか、また添い寝してほしいとか……瑞季とキスより先のこともしたいと思うし、多分言ったらきりがないと思う」


「き、キスより先のこと……」


 瑞季は、顔を真っ赤にして、わかりましたと言って彼女は、イスから立ち上がりベッドへ座る俺の目の前に立った。


「では、晃太くんも田部くんもいませんし、やりますか?」


 そう言って瑞季は、来ていた服の第1、第2ボタンと外していく。


 ゆ、夢じゃないよな……。頬をつねるが、痛いので現実だ。


「や、やるって何を……?」


「それは、もちろん碧くんが望むことですよ」


「み、瑞季……まだ俺は、心の準備的なやつが……って、えっ?」


 頬にキスされ、俺は、ぽかーんとしていた。それを見て瑞季は、小さくクスッと笑った。


「ドキッとしましたか?」


「あ、あぁ……てか、早くボタンを留めてくれ」


 瑞季にそう言うと彼女は、わかりましたと言ってボタンを留めた。


「碧くんがまだ準備的な状況なのでキスより先のことはまた別の日にですね」


 まただ……俺ばかりが瑞季にドキドキさせられてる。


「あ、あのさ……そのさっきのボタン外したりするのって誰かに吹き込まれてない?」


 瑞季があんな積極的な行動が起こせるはずがない。いや、俺が知らないだけで実は積極的なのかもしれないが……。


「な、なんのことですか?」


「言ってみろ。だいたい察してる」


「い、嫌です。か、香奈さんと約束しましたので」


 やっぱあいつか……。


「後で根掘り葉掘り聞いて説教しないとな。変なことを言うなと言っておく」


「香奈さんにはアドバイスをしてもらっただけです。碧くんをドキッとさせるならボタンを少し開けるとか、少しからかってみるとかそういうことを言われただけで……」


 誘惑するならボタンを少し開けるとか、少しからかってみるとかって香奈は、一体どんなアドバイスを瑞季にしてるんだよ。

 

「碧くんは、いつも私の頭を撫でてくれたり、甘えさせてもらっているので私ばかりがというのもあれなので碧くんも何かしてほしいことはないかと思いまして……」


「で、さっきのようなことを実行したと。俺は、瑞季といるだけで十分幸せだから、そんなこと気にしなくていいよ」


 そう言って俺は、ベッドから立ち上がり、彼女をゆっくりと抱きしめた。


「碧くん」


「なんだ?」


 瑞季は、名前を呼び、俺の服の袖をぎゅっと握ってくる。


「もっとぎゅっとくっついてもいいですか?」


「構わないけど……」


 先程より距離を近づけてきた彼女は俺の胸に寄りかかる。

 

 視線を下にやると瑞季の綺麗な髪が目に入った。つい撫でたくなったが、ガチャと音がしたので慌てて手を引っ込めて、瑞季と離れようとしたが、何かに足を引っかけてしまい、そのまま前へ転んでしまった。


 コンセントに引っ掛かりそのまま瑞季を巻き込んで後ろのベッドへ倒れてしまった。


「ただいま、香奈も連れてきたんだけど……」

「晃太、私達お邪魔しちゃったかな? 碧、押し倒すなんて中々やるじゃん」


 香奈と晃太は、部屋に入るなり目の前の光景を見てすぅーと部屋から出ていこうとする。


「ご、誤解だ……!」


 バッと俺は瑞季から離れ、そして彼女をベッドから起き上がらせる。


 瑞季を押し倒したような感じになったが、決してやましいことをしようとしたわけじゃない。


 それより誰だよ、地べたに荷物置いた人は。棚があるからそこに置いてくれ……。


 どうやら俺は、晃太か陸斗のカバンの持ち手の部分に足を引っかけてしまったみたいだ。


「誤解ってねぇ~」


「ニヤニヤされても困る。今言ったのが事実だ。瑞季、そろそろ食事会場に行こう」


「は、はい……香奈さん、先に行ってますね」


「うん、一緒のテーブルで食べようね」


 俺と瑞季が部屋を出た瞬間、香奈は晃太と顔を見合わせた。


「顔真っ赤のみっちゃん、凄い可愛かった。写真撮りたかったなぁ~」


「それは無理だと思うな……」

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