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もう少し一緒にいたいです

「俺、ちょっと下の店で飲み物買ってくるわ」


 2日目の夜。お風呂上がりで冷たいものが飲みたくなったので何か買いに行くことにした。


「おう。じゃあ、俺は炭酸で」


「パシりになった覚えはない」


「冗談だって。行ってら」


「冗談に聞こえなかったぞ……」


 晃太の謎のやり取りをして俺は、1人部屋を出た。


 エレベーターに乗り、エントランスへ行くと同じ学校らしき人を数人見かけた。見かけたと言っても仲良くないので話しかけることはないが。


 そうだ、カフェのメニュー見てみようかな。


 こないだ見ようとして見れなかったエントランスにあるカフェのメニューを見に行ったのだが、金額の高さに何も言えないでいた。


 0が多い……俺達みたいな学生が利用できるカフェじゃないな。ケーキ、美味しそうだけど。


 ドリンクも一通り見たが、値段が高く、とてもじゃないが、俺が行けるところではない。

 メニューを最初に開いてたページに戻し、自販機に言ってミルクティーと念の為晃太が言っていた炭酸も買っておく。


 用事が済み、エレベーターのある方へ向かおうとしたが、この施設のマップが気になり、見ていると屋外プールがあることに気付いた。


 へぇ〜プールなんてあるのか。まぁ、10月に入ってるの人はいなさそうだな。


 同じ階にあったので寄り道ついでに見に行くことにする。予想通り、屋外プールに着くまでに誰一人すれ違わなかった。屋外プールと書かれているドアを開けると綺麗な景色が目に入った。


「おぉ、すげぇ……」


 ライトアップされており、水面にキラキラと光る明かりが映っていた。あまりにも綺麗な景色だったのでポケットに入れていたスマホを取り出し、写真を撮った。


 寒い風が吹いてきたのでそろそろ部屋に戻ろうとしたその時、カサッとどこからか音がしたので辺りを見渡すと奥にある小さなプールの近くに誰かがいた。


 髪はロングで見覚えのあるカーディガン。帰ろうとしたが、せっかく会えたので彼女の元へ向かった。


「瑞季」


 後ろから彼女の名前を呼ぶと足音に気づいてなかったのかビクッとしてバッと後ろを振り返った。


「碧くん、脅かさないでくださいよ」


「ごめん。瑞季、一人か?」


「はい、先程までお店に行ってましてそしてたらプールがあったので寄ってみました」


 俺と全く同じ経緯でここに来ていて小さく笑ってしまった。


「俺と一緒だな」


「ふふっ、せっかくなんでここで一緒に写真でも撮りませんか?」


「いいな。俺、持っとくから横並べる?」


「はい……」


 自撮りをしようとするも普段やらないことに手間取ってしまう。瑞季に任せたほうが良かったかもしれない。


「じゃあ、撮るぞ」


 2、3枚撮りちゃんと撮れているかを確認した後は、瑞季に写真を送った。


「じゃあ、風邪引くしそろそろ帰って───」

「も、もう少し一緒にいたいです」


(な、何この可愛い引き留め方……)


 帰ろうとしたが、背後から瑞季に抱きつかれ俺は、身動きが取れなくなった。


 抱きつかれて嬉しくないわけないが、背中に柔らかい感触が当たっていていろいろとヤバい。


「わ、わかった。と、取り敢えずここじゃ風邪引くから中入ろうか」


「そうですね」


 瑞季が離れて俺は、一度深呼吸する。急に抱きつかれるのにはまだ慣れない。ドキドキさせるためにわざと瑞季は、やっているのだろうか。


 俺だけがドキドキさせられるのは何だか悔しいので俺も瑞季をドキドキさせるようなことはないのかと考える。


(そうは言っても瑞季の嫌がることはしたくないし、ここは言葉責めがいいのでは?)


「瑞季」


「何ですか?」


「可愛い」


「きゅ、急ですね。ありがとうございます」


「さっきまだ一緒にいたいって言ってくれて嬉しかった。俺もまだ瑞季といたかったからさ。甘えてもいい?」


「えっと……」


 いつもと立場が逆で瑞季は、少し驚いていた。俺は、俺で甘えてもいいなんて言ったことがないので恥ずかしくなっていた。


「私なんかで癒されるかわかりませんが、どうぞ」


 そう言って彼女は、俺の前で両手を広げた。


 あれ、これ、俺が、ドキドキする立場になってね? 甘えてもいいという個人的な欲が出てしまい、彼女ドキドキ作戦は失敗に終わった。いや、ドキドキ作戦って何だよ。


 俺は、身を委ねるように彼女をそっと抱きしめた。なんかいい匂いするなと変態的な思考になってきて俺は、変なこと想像しないよう別のことを考える。


 だが、シャンプーとリンスの匂いがどうしても気になってしまい、別のことを考えるなんて出来なかった。


「碧くん、甘えたいときはいつでも甘えていいんですよ。私、碧くんの頭撫でるの好きなのでいつでも待ってます」


 いつでも甘えていいのか……。癒やしを求めたいときは瑞季に頼めば頭を撫でてくれるのだろうか。


「じゃあ、その時はよろしく頼む」


「はい……。碧くんが私がいないとダメになるような体にしてあげますね」

 

「それはちょっと困るな……」


「そう言いいつつ嬉しそうですね」


 人目がある場所へ行く前に辺りがシーンと静まり返る場所で俺は、彼女の頭を撫でた。瑞季が何かしなくてもこうしてるだけで癒されるのだった。

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