碧くんに少しでも早く会いたかったので
今日から3泊4日の修学旅行だ。行き先は、沖縄。空港集合で午前中の便に乗り、朝早くからの集合だったため飛行機の中ではずっと寝ていた。
隣で香奈と晃太の話し声が聞こえてぐっすりとは寝れなかったが……。
「飛行機、長かったぁ~。碧、肩揉んで」
「彼氏にやってもらえ」
飛行機から離陸後、飛行場からホテルまでは事前に決めていたグループで行くことになっている。ホテルへのチェックインは、午後6時。現在は、昼の12時半なので時間までは自由に観光していいそうだ。
グループは、俺と瑞季、香奈、晃太、陸斗、支倉さんの6人。
スマホで調べて観光地に行ったり、お土産を買ったりと初日から楽しんだ。
「そろそろ、ホテル向かわないか?」
陸斗は、チェックインの時間まで後1時間切ったので皆に提案する。
「そうだね。ここからだとバスがいいかな」
香奈は、バス停にあった時刻表を確認してくれた。ここから出るバスは、ホテルの近くにあるバス停に停車できるようなのでバスが来るまで待つことにした。
「1日目からそんなに買って大丈夫なのか?」
袋をたくさん持った香奈を見て俺は、心配になった。持ってくるお金持ちの額は決まっていないが、初日からそれだと後々お金がないとならないだろうか。
「大丈夫大丈夫。ヤバくなったらその時だよ!」
そう言って後に困る展開になりそうだな。
バスに乗りホテルへ着くと先生から部屋の場所を教えてもらった。
「7時から地下2階の食事会場に集合。室長の鴻上さん、露崎さんは、30分前に室長会議あるから早めに来るようにね」
女子と男子の部屋はもちろん違うのでここで別れることになる。
「瑞季、後でここに集合して一緒に行かないか?」
「はい、では、6時20分ぐらいにここで集合しましょう」
***
6時10分。部屋に行って荷物整理をした後、少し早いが瑞季との待ち合わせ場所で待つことにした。
エントランスは、とても広く売店やカフェがあった。こういうところに1人でいると何か落ち着かないな。
カフェが気になりメニューでも見に行こうとしたその時、誰かが後ろから抱きついてきた。
「碧くん、早いですね」
「瑞季も早いと思うぞ」
振り返るとそこには、両サイド三つ編みにした瑞季の姿があった。
「碧くんに少しでも早く会いたかったので」
「……俺も」
「「…………」」
お互い顔を赤くしてこの後どう話せばいいんだという状況になってしまった。
取り敢えず、食事会場に向かわないとと思い、彼女に声をかけようとしたその時、瑞季が口を開いた。
「最終日の自由行動の時間、碧くんは、誰かとどこかに行く約束をしてたりしますか?」
「最終日? 特に誰かと約束はしてないけど」
「では、私と2人でどこか行きません?」
「賛成、どっか一緒に行こうか」
食事会場に着くまで俺と瑞季は、最終日にどこ行くのかを話したあった。
室長会議後、全員集まり夕食となる。その後、部屋に戻るもよし、自由にホテルを散策してもいいらしい。
香奈と瑞季は、ホテル散策をするらしく、夕食後、すぐ会場からいなくなっていた。
「碧、俺ら部屋戻るけどどうする?」
同室の晃太と陸斗は、部屋に戻るらしくどうするかと尋ねてきた。
「飲み物買ってから部屋戻るよ」
「おう、じゃあ、先戻っとくな」
晃太と陸斗と別れた後、他の友達と話していた支倉さんと出会った。
「あっ、鴻上くん。どこか行くの?」
「自販機に飲み物を買いに行くところ」
「私も一緒に行っていい?」
「うん、いいよ」
支倉さんと2人になるのはいいが、あんまり話したことがないので話題がすぐに出てこない。香奈達といると一緒にいることが多いが、大人数でいないと急に話せなくなる現象はなんだろうか。
「瑞季と上手くやってる?」
自販機に着き飲み物を買っていると後ろから支倉さんが聞いてきた。
「仲良くやってるよ。支倉さんは?」
「えっ?」
私?と彼女は、人差し指で自分のことを差した。
「支倉さん、陸斗のこと気になってる感じしたからどうかなと……」
「……か、顔に出てた?」
「まぁ、うん。顔に出てたかな。夕食後も話しかけようか悩んでたみたいし」
「す、凄い見られてる……恥ずかしい」
支倉さんは、顔を赤くして両手で顔を隠したが、耳が赤いのであまり意味はない気がした。
「私、陸斗のこと好きなんだけどさ……何か意識するほど上手く話せなくてさ……修学旅行最終日、一緒に観光しようって誘いたいんだけど勇気が出なくて……」
場所を入れ替わり、次は支倉さんが自販機で飲み物を買う。
「陸斗ならいいよって言ってくれそうだけど」
「だよね。陸斗、優しいし言ってくれるかもだけど……。ん~悩んでても何も起きないよね。私、頑張ってみるよ」
「うん、頑張って。じゃあ、おやすみ」
「おやすみ、鴻上くん」
***
支倉さんと別れ部屋に戻った後は、部屋にあるお風呂入った。温泉はあるらしいが、今回は利用してはいけないらしい。
「はぁ~楽しんだ分疲れた」
お風呂から出てドライヤーで髪の毛を乾かした後、そうぼやきながらベッドへ倒れこむ。
「それな。疲れたから癒しがほしい……香奈のところに行ってこようかな」
「もうすぐ就寝点呼で先生来るからやめとけ」
「そうだな」
もし、就寝点呼まで時間があれば晃太は、香奈の元に行っていたのだろうか。「癒しがほしい」とかなんとか言って。
瑞季は、よく甘えてほしいと言うが、俺が言った場合、何されるんだろう。
「そう言えば明日、水族館に行く予定だけど、碧と瑞季さんの初デートは、水族館だっただろ? どうだったんだ?」
「楽しかった。水族館なんて小さい頃以来だったしな。晃太と香奈の初デートは、パンケーキのカフェだろ?」
そう言うと晃太は、驚いていた。
「おぉ、よく覚えてるな」
覚えてるに決まってる。香奈と行った初デート場所はカフェだという話を何度聞かされたかわからない。
「惚気話を無理やり聞かされてたからな」
「無理やりって俺そんな強制的に聞かせたつもりないんだけど……。なら、今度は碧が俺らに惚気話を聞かせる番だな」
「絶対に惚気ないからな」
惚気たら香奈にまで話が回っていきそうで却下した。




