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むっ、無理ではありません

 3年5組のおばけ屋敷。教室から出てきた人達は、皆「怖かった」と言って出てくるので瑞季は、並んでいる間、無言でいた。


 本当に大丈夫何だろうか。先頭へ近づくと瑞季は、俺の手をぎゅっと握ってきた。


「瑞季、無理なら今でも列から外れるのもありだと思うけど」


「むっ、無理ではありません。行けます」


「次の方どうぞ」


 列が進みついに先頭へ来た。すると3年の5組の女子生徒に見られていることに気付いた。


「……あぁ、なるほどそういうことか」


「碧くん、どうかされましたか?」


「いいや、何でも」


 次どうぞと言われて俺と瑞季は、暗い教室に入った。


「入ったところから凄いな。瑞季、大丈夫か?」


 教室の中は怖い音楽がかかっており雰囲気が出ていた。


「今のところは……ま、前に進みましょう」


 手が震えていたので俺は優しく彼女の手を握って先頭を歩く。


 教室なのでスタートからゴールまでの距離は短い。遊園地のときよりはすぐに終わるだろう。


 真ん中辺りまで来たその時、ガサッと音がして掃除ロッカーから人が出てきた。


 ガタンという音と人が出てきたことに驚いた瑞季は、俺に抱きついてきた。


「碧くん碧くん、は、早く出ましょう!」


「お、おう……」


 俺はというとこういうおばけ屋敷でいつも楽しむことができない。なぜなら次こう来るだろうなと予想してしまい驚くことが一切ないからだ。


 だが、さっきのことに対してはリアクションを取ってしまった。急に女子に抱きつかれてリアクションしないわけない。


 おばけ屋敷を出た後の瑞季は、ぐったりしていた。驚きすぎて疲れたのだろう。


「大丈夫か?」


「だ、大丈夫です」


 ベンチに座って休憩していると当番休憩中の香奈がこちらに向かって走ってきた。


「碧、みっちゃんやっほ~。って、みっちゃんどうしたの?」


「おばけ屋敷に行って驚きすぎて休憩中だ」


「大丈夫? 碧に変なことされてない?」


 どういう心配してるんだよ。暗闇の中で変なことしてないからな?


「大丈夫です。やはり暗いところは苦手です」


「怖かったね~私がぎゅ~としてあげるよ」


 香奈は、瑞季をぎゅっと抱きしめ、そして俺にどや顔する。いいでしょ?と言いたげな目で。


「そう言えば文化祭終わり、クラスのみんなで打ち上げしようって何ってるんだけど碧とみっちゃんはどうする?」


 クラス打ち上げ。去年もあったが、俺は早く帰らないといけなかったので行ってない。瑞季は、去年行ったらしいが。


「香奈さんは、行く予定ですか?」


「うん、行くつもりだよ。友達が行くって行ってたからさ」


「そうですか。碧くん、どうしますか?」


 友達が行かないとなると当然行っても楽しくないので瑞季は俺に行くのかと尋ねる。


「そうだな……まぁ、去年行ってないし行こうかな」


「では、私も行きます」


「オッケー。じゃあ、二人が行くこと主催のさやちゃんに言っとくね」


「ありがとうございます」  


 もし、俺が行かないと言ったら瑞季も行かなかったのだろうかと気になった。


「そう言えば打ち上げはどこでやるんだ?」


「カラオケだよ。じゃ、文化祭楽しんで」


 香奈が立ち去っていった後、瑞季は、俺の腕をツンツンとつついてきた。


「カラオケって行ったことないのですが、どういったところなんですか?」


 瑞季は、カラオケに行ったことがないのか……まぁ、行きそうな感じがしないもんな。


「カラオケは、歌うのがメインだけど食べることもできるよ」


「そうなんですね。楽しみです」








***







 少し休憩した後に行った先は2年のフォトスポット。いろんな小道具があり自由に使っていいらしい。


「あっ、誰かと思ったら碧じゃん!」


「おう……久しぶりだな」


 並んでいるとこのフォトスポットをやっているクラスの女子が1人、俺に気付き近づいてきた。


 彼女の名前は、城市優愛じょういちゆあ。中学の時に謎に仲が良かった女子だ。


 俺が絶対に仲良くならない系の人間だが、いろいろあって話せるような関係だ。


「おっ、あなたが噂の美少女露崎ちゃん?」


「び、美少女なんてそんな……」


「いやいや、可愛いからもっと自信持ちな~。で、碧くんの彼女だっけ?」


「は、初めまして。露崎瑞季です」


「礼儀正しい上笑顔が眩しい。私は、城市優愛。碧とは同じ中学だよ。気軽に優愛って呼んでくれていいからね」


「瑞季、優愛は初対面関係なくグイグイくるやつだが、いいやつだからな」


 俺がそういうと後ろから優愛に叩かれる。


「グイグイいって何が悪いのよ。早く仲良くなりたいなら普通でしょ」


「それが苦手な人もいるんだ。それを考えてくれ」


「はいはい。露崎ちゃん、碧の面白いこと教えようか?」


 優愛がいらんこといいそうなので服を引っ張り、瑞季から引き離す。


「ダメだ。いらんこと話す気満々だろ」


「えっ、ダメなの? 絶対面白いと思うんだけど……まぁ~人の嫌がることはしたくないしやめとこっ。露崎ちゃん、連絡先交換しよ。そこで教えてあげるからさ」


 スマホを出して瑞季と連絡先を交換し出す。連絡先の交換に関しては止めることはないのだが、今さらっと教えるとか言ってたような……。


「人の嫌がることはしないといいつつ教えるのは矛盾してるぞ」


「大丈夫だって。普通に露崎ちゃんと仲良くお喋りするだけだから。それより2人のこと私が撮ってあげるよ。どこのスポットで撮る?」

 

 教室の中には黒板アートの前で撮るところと風船がたくさんあるところ、そしておしゃれなドアがあるところの3ヶ所フォトスポットがある。


「私はあの黒板アートの前で撮りたいです」


「瑞季がそう言うならそこで」


「わかった。撮る前に露崎ちゃん、ちょっと髪の毛いじってもいいかな? 髪長い人のアレンジ得意だからさ」


「では、お願いします」


 瑞季は優愛と鏡のある渡り廊下に移動し、俺は教室の中で待っていると数分後帰ってきた。


「どうよ、碧。可愛くない?」


 優愛は、ツインテールにヘアチェンジした瑞季の肩に手をポンッと後ろから置く。


「うん、可愛い」


 素直にそう言うと瑞季は、小さな声でありがとうございますと言って髪の毛を触る。


「良かったね、露崎ちゃん。じゃ、撮るよ」


 スマホを優愛に渡し、俺と瑞季の写真を撮ってもらった。


「はい、上手く撮れたよ」


「ありがとな、優愛」


「ありがとうございます、優愛さん。せっかくなんで髪型このままにしておきます」


「うんうん、そうしときなよ」


 優愛と別れた後は、まだ行ったことのないクラスへ行ったりと楽しい文化祭になった。

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