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午後の遊園地デート

 昼食後は、別れて行動することに。俺と瑞季は、どこに行こうと話し合った結果、一番最初に鏡だらけの迷路に行くことにした。


「見てください、私がたくさんいます!」


「凄いな。前に進める気がしない……」


「鏡にぶつからないよう手繋ぎませんか?」


「そうだな。ここは彼氏として俺が先頭を歩くよ」


 自分には似合わない言葉でも瑞季にいいところを見せたいと思った。すると、瑞季が俺の手を握り、微笑んだ。


「頼りにしてますよ」


 そして10分後。俺達は、まだ迷路をさ迷っていた。


「あれ、出れない……」


「出口はどこでしょうか? 同じところを行ったり来たりしている気がします」


「……俺も途中からそう思ってた」


 立ち止まっていると兄妹らしき子供が来たので俺と瑞季は顔を見合わせてあることを決意した。


 鏡迷路を出たのはスタートからおよそ15分後。俺と瑞季は、あの子供達に心の中で感謝していた。


「カッコつけてこの結果は物凄く恥ずかしいわ」


「私も少し恥ずかしいです」


「次、どこ行こうか?」


「そうですね、おばけ屋敷にでも行きますか?」

 

 ん? 自分からおばけ屋敷に行きたがるってことは香奈が言っていた瑞季がおばけ屋敷が苦手っていう情報は嘘か?


「怖いの大丈夫なのか?」


「大丈夫……になりたいので行ってみたいです。それに碧くんがいてくれたら案外平気かもしれませんし」


 あー、そう言うこと。香奈の謎の笑みはこれだったのか。


「無理してないか?」


「いいえ、無理してませんよ」


 言葉の通り無理してる様子はなかったので瑞季とおばけ屋敷に行くことにした。


「碧くん、絶対に手を離さないでぐださいよ」


「うん、離さないから俺から離れるなよ」


「わかりました。碧くんから離れません」


 そう言ってわざとなのか瑞季は、俺の腕に胸を押し付けてきた。


 っ! こ、これはまさかおばけ屋敷入る前からイベント発生か!?


「み、瑞季さん……胸当たってますけど」


「…………す、すみません」


 どうやらわざとではなかったらしく瑞季は、俺から少し距離を取った。


 列が進み、先頭まで来ると瑞季は先程より強く手を握ってきた。


 (やっぱり、無理してるんじゃ……)


「瑞季、今なら引き返せるぞ」


「大丈夫です。無理してませんし行けます」


「無理してる時、瑞季はわかりやすく反応するよな。本当に大丈夫か?」


「……だ、大丈夫じゃないです。けど、怖いもの克服のために行きます!」


「わかった。瑞季がそこまで言うなら」







***







「碧くん、私、怖くなかったです!」


 おばけ屋敷を出た後、瑞季は胸を張ってそう言うが、瑞季は俺の背中に乗って目を瞑っていた。


「お、おう……」


「そろそろ香奈さん達との集合時間ですし、最後にあれ、乗りませんか?」


 そう言って瑞季が指差すのは観覧車だった。最後に乗るものとして一番いいと思い俺は、頷いた。


 観覧車に乗り、俺と瑞季は向い合わせではなく隣同士に座る。


「絶叫系や動き回るものもいいですけど、こうして景色を見るのもいいですね」


「そうだな……」


 遊園地は、昔家族と行ってから行っていない。久しぶりに来たが今日は1日楽しかった。友人と大切な彼女と来れて良かった。

 

 まぁ、家帰って父さんが今日も早くに帰ってきていて「どこ行ってたんだ?」とか言われたら楽しかった気分が台無しになるけど。


「碧くん」


 名前を呼ばれ彼女の方を向くと彼女は俺の手を握ってきた。


「今日は、楽しかったですか?」


「そりゃもちろん、楽しかったよ。瑞季は?」


「私も楽しかったです」


「また来れたらいいな」

 

「はい……。次は、2人で行けたらいいですね」


 自分達が乗っているところが一番高い位置に来たことを瑞季に伝えようとしたその時、彼女が俺の唇に重ねてきた。3秒ほどで唇は離れ、俺は突然のことで固まってしまった。


「この前、碧くんが今度は私からしてほしいとお願いされたので」


「……不意打ちはズルい」

 

「ドキドキしましたか?」


「するに決まってるだろ」


 不意打ちキスされてしないわけない。瑞季の余裕そうな笑みを見ていると俺だけがこんなにもドキドキさせられてるのではと思ってしまう。


 観覧車を降りた後、香奈と晃太と合流し、電車で帰る。


「みっちゃん、寝ちゃったの?」


 俺の右隣に座る香奈が俺に聞いてきた。瑞季は、俺の左肩にもたれ掛かって寝ていた。


「うん、寝たみたい。1日中歩き回ってたし疲れるよな。で、そっちは晃太が寝てるのか?」


「うん、疲れたのかな?」


「香奈も寝たいなら寝ていいぞ。起こさずおいていくから」


「さらっとひどいっ! なら、起きとく」


「冗談だって」


 結局、俺以外全員寝てしまい、駅に着いた時は大変だった。俺1人で全員を起こすことになったのだから。

 

「ふわぁ~よく寝たぁ~」


 香奈は、背伸びをし、晃太の腕に抱きつく。晃太も寝起きでまだ半分寝かけていた。


「じゃ、俺と瑞季こっちだから」


「うん、バイバイ、碧とみっちゃん」


「あぁ、また」


「ば、バイバイ……」   


 瑞季が少し照れながらも手を振ったので俺と香奈は、ハモった。


「「なにそれ、可愛い!!」」

 

「えっと、何がですか?」

 

「もう、全部だよ。じゃ、またね~」


 香奈と晃太で別れた後、俺と瑞季は途中まで一緒に帰る。


「碧くん、帰りにスーパー寄りますのでここで」


「なら、俺も行くよ。俺も買いたいものあるし」


「では、一緒に行きましょうか」

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