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私も今日あった出来事は絶対に忘れません

 ヤバい……キス2回してたらさすがに理性持たんわ。おねだりされるのは可愛いけどそのうち俺を困らせるおねだりをしそうで怖い。


「そろそろ皆さんの元に戻りますか?」


「そうだな」


 立ち上がり彼女の目の前に手を差しのべると瑞季はその手を取った。


「ありがとうございます」


 またナンパされないよう俺は瑞季の手を握った。俺の彼女と誰が見てもわかるように。


「碧くんって意外と独占欲強いタイプなんですね。まぁ、私の方が強いですけど」


「そう……なのかな。けど、瑞季って可愛いし男子にモテるから側にいないと他の人に取られそうだから……」


 もちろん、瑞季が俺のことを好きで他の人に取られるわけがないとわかっている。けど、今日みたいにナンパされた時に側にいてやれないのはもっと嫌だ。


「心配しなくても私は碧くんの側にいますよ。だから碧くんも私をしっかり掴まえといてくださいね」


 ぎゅっと腕に抱きつかれ、俺は、顔が真っ赤になる。こんな顔、香奈や晃太には見せられないな。


 皆の元へ戻るとそろそろ帰ろうとのことで着てきた服で着替えることになった。全員電車で来たので皆同じ電車に乗る。


「碧さんや、二人っきりだったけど何かあっただろ?」


「友よ、勘が鋭いな」


「1番の友だからな。で、キッスしちゃったとかか?」


「あぁ、キスを……何で知ってるんだ?」


「顔に出てた。わかりやすいな」


 顔に出ていたのか……。ポーカーフェイスってものが俺には出来ないのか。


「晃太~! 一緒に撮った写真後で送っとくね」


「おぉ、ありがとな」


 香奈と晃太を見ていると2人はどこまで進んでいるのだろうかと思った。たまに惚気話は、聞くが楽しそうで実は少し羨ましかった。


「碧は、バスケ部だったらしいけど何で高校からはやめたんだ?」


 晃太が香奈と楽しく話し出すと陸斗がふと聞いてきた。


「んー、勉強に集中しよっかなって。バスケ好きだったけどさ……」


 両立する選択肢はなかった。俺の成績ならできると思うが、それを許さない人がいる。


「碧って学年順位どれくらいだっけ?」


「5位だけど……」


「それなのに勉強に集中って凄いな」


「いや、凄くないよ。頑張っても父親にはそれぐらい普通だろ、目指すは1位だとか無茶なこと言われるし」


 俺は、父親の言う通りに何かするのはごめんだ。と言ってもそこそこいい成績取って、いい感じの学校へ進学をしたいとは思う。


「厳しい父親だな」


「だよな」


 





***

 





 電車を降りて、駅前で解散することになった。同じ方向の俺と瑞季は、途中まで一緒に帰ることにする。


「今日は、楽しかったですね」


「そうだな、楽しかった。それに絶対に忘れられない日になった」


 そう言うと瑞季は、顔を赤らめた。


「そ、そうですね。私も今日あった出来事は絶対に忘れません」


 夏休みはまだ始まったばかりだ。海に行って、夏祭りに行って、瑞季との思い出はこれから増えていく。


「では、次に会うときは夏祭りですね」


「そうだな。楽しみにしてる」


「浴衣着てますね。碧くんをドキッとさせるようにしますので楽しみにしてください」


 瑞季が手を振ったので俺は振り返す。彼女の背中を見送り、俺は家へと向かう。


 来年行くとなったら今度は2人だけで海に行けたらいいなと考えながら家の中に入った。


「ただいま」


「あら、お帰り、碧。今、夕飯できたから手洗ってきなさい」


「うん、わかった」


 靴を脱いで部屋に上がろうとするとこの時間にはないはずの靴が置いてあることに気付いた。


 今日は、帰りが早いのか?


 部屋に荷物を置き、手洗いうがいを済ませてキッチンへ行くとそこには父さんの姿があった。


「今日は早かったんだね、父さん」


 何も話さず無言で目の前に座るわけにもいかず俺は何か言わないとと思い、声をかける。


「今日は早めに仕事が、終わったからな。ところで今日はどこに行ってたんだ? まさか1学期のあの結果で遊びに行ってたとは言わないよな?」


「達也さん、碧は学生なんですし、たまにはお友達と遊ぶのもいいじゃありませんか」


 父さんの言葉に母さんはそう言うが、父さんは、全く聞いてなかった。


「今の成績で満足するなってことだろ。大丈夫だから心配は必要ないよ」


「なら、いい」


 話が終わり、俺は、夕食を食べ始めた。


 満足するなか……。俺は、そこまでいい学校に行きたいわけではないんだが……。


「碧、瑞季さんとの海はどうだったかしら? 夏休みまた家に遊びに来てもいいのよ」


 夕食後、キッチンへ皿を持っていくと母さんにそう聞かれた。


「楽しかったよ。遊びに来るかどうか瑞季に聞いておく」


 どうやら母さんは、瑞季を気に入ったらしい。まぁ、母さんが瑞季に好印象があることはいいことだ。


 食器洗いを済ませた後、2階の自室にこもって勉強することにした。


 1時間後、そろそろお風呂に入ろうかと思っていると瑞季から写真が送られてきていることに気付いた。『碧くんの後ろ姿です』とコメントがつけられて。


「いつの間に……」


 そう呟くともう1枚写真が送られてきた。その写真は俺と瑞季の2人が映ったものだった。『香奈さんが隠し撮りをされていたそうで。そう言えば2人の写真撮れませんでしたね』とあった。


 『今度、遊びに行ったその時は必ず撮ろう』とメールを返信するとすぐに瑞季から『はい』と返事が来た。

 

 勝手に撮られて怒るところだが、瑞季とのツーショットだったため送られてきた写真を保存した。


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