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夏祭りの約束

 放課後、俺達は、何かするわけでもなく教室に残っていた。学校を出ないのは外に出たら日に当たってさらに暑いからだ。家帰って冷房つければいいだろって話だが……。


「暑い、暑すぎる~」


 教室の窓際に移動し、第一ボタンを外すのは香奈だ。目の前でそれをやられて俺は慌てて目をそらす。


「暑くてもそういうことするな。男子の反応が困るやつだから。晃太も彼氏なんだから何か言ってやれ」


「暑いならいいんじゃないか?」


 ちょっと、彼氏さん!? 彼女が他の男子からエロい目で見られていいのか!?


「いや、ダメだろ。瑞季は、絶対にあんなことするなよ」


 隣で小型扇風機を顔に近づけて涼んでいる瑞季に真似しないように言っておく。


「わかってますよ、私はしません。変な目で見られますから」


「そうだ! みんなでコンビニ寄ってアイス食べない?」


 香奈の提案に一番最初に食いついたのはまさかの瑞季だった。


「いいですね、アイス食べたいです」


「アイスなら校内の自販機になかったか?」


 晃太の言葉に香奈はそう言えばそうだねと頷く。香奈は、開けていた第一ボタンを留めてイスから立ち上がる。


「みっちゃん、買いに行こっ」


「はい、碧くんは来ますか?」


「ん~、行こうかな。晃太は、どうする?」


 みんなが行く流れなので晃太に尋ねる。


「俺は、いいかな。1人寂しく待ってるさ」


「おう、じゃあ、3人で行くか」




 今週1週間頑張れば夏休み。夏休みは、みんなで海に行く予定で去年より充実した休みになりそうだ。


 自販機があるところまで来てさっそく瑞季と香奈は、どれにしようかと悩んでいた。


「私、キャラメルにしようかな。みっちゃんと碧は決まった?」


「私は、イチゴで」


「きゃ~可愛い~!!」


 何が可愛いのかわからんが、香奈は瑞季に抱きつく。


「イチャイチャせんでいいから早く買ってくれ」


「はいはい。みっちゃん先に買っていいよ」


「ありがとうございます」


 瑞季、香奈、俺と順に買い、買ったものを持って溶けないよう急いで教室に戻る。


「ただいま~。晃太、これ半分こしよっ」


 香奈は、晃太にくっついてイチャつき始める。


「碧くんは、何を選んだのですか?」


「俺は、チョコ。食べるか?」


 まだ口をつけていないのでどうかと尋ねると瑞季は、コクりと頷いた。


「私のイチゴも後であげます」


「ありがと。はい、どうぞ」


「ありがとうございます」


 チョコのアイスを瑞季に渡すと彼女は、一口食べて俺に返す。


「美味しいです」

 

「それは良かっ───」


 いや、俺が良くないわっ!!


 瑞季が食べたところを見て、この場所を俺を食べるのはどうなんだと思っててしまった。


「碧、どうかしたか?」


 晃太からそう言われて俺は、どうもしてない言い、気にせずアイスを最後まで食べた。





***




 夏祭り、今年もあの神社でやるのか……。

 スーパーに貼ってあった張り紙を見て、俺は日にちを確認していた。


 まぁ、今年も誰も行く人がいないだろうし、行かない……ん? 瑞季を誘うのはありか? 彼女だし、誘ったら一緒に行ってくれそうだ。


「誘ってみるか……」


「誘う? 誰をですか?」


「そりゃ、瑞季を……って、瑞季!?」


 声がした後ろを振り返るとそこには買い物に来た様子の瑞季の姿があった。

 白い半袖ティーシャツに水色のロングスカート。買い物に来るだけでもオシャレだった。


「お祭り、楽しそうじゃないですか。で、碧くんは誰を誘うんですか?」


 さっき言ってわかっているはずだが、彼女は聞いてきた。


「瑞季、良かったら夏祭り、一緒に行かないか?」


「えぇ、行きましょう。この日は予定ありませんから。ところで碧くんは、またお使いですか?」


「いや、今日は自分が作ろうと思って必要なものを買いに来ただけ」


「何か作るのですか?」


「カップケーキ。俺もスイーツ系をチャレンジしようかと思ってさ」


 瑞季が作れるのを見て、俺も何か1つは作りたいと思い、『カップケーキ 作り方』と検索し、何がいるかを把握してからここに買いに来た。


「カップケーキなら作り方教えられますが、教えましょうか?」


「いいのか?」


「もちろんです」





***




『カップに生地を8分目まで入れて180℃のオーブンで10~15分焼いてください。これで後は、出来上がるのを待つだけですね』


 スマホから瑞季の声が聞こえ、俺は言われた通りやった。


「よし、これでいいか……。ありがとな、瑞季。忙しいって言ってたのに」


 スーパーで別れた後、瑞季は通話でカップケーキの作り方を教えてもらった。


『いえ、洗濯物を畳ながら碧くんと話せて良かったです。この後、特に何かする予定もないので少しお話ししませんか?』


「いいよ。瑞季は、夏休みどう過ごすの?」


『夏休みは家で過ごすのが多いかと』


「俺と一緒だな。俺も休みの日はあまり外に出ずに家にいることが多い。けど、たまに晃太とバスケするかな」


『バスケですか。私も得意ですよ』


「そうなのか? ちょっと見てみたいかも」


『でしたら今週の土曜日。香奈さんや前山くんを誘ってバスケでもしますか?』


「おっ、いいな。後で2人誘ってみるわ」


『香奈さんには私から誘っておきますよ』


「じゃあ、香奈は頼む」


 そこから10分程話していた。すると電話越しからドアが音がした。


「瑞季?」


『あっ、すみません。お婆様が帰ってきたみたいで……って、あ、あの!』


 ビデオ通話にしており瑞季がスマホの画面に映っていたが、急に知らない人が映った。


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