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伝えたい言葉

「落ち着いたか?」


 しばらく公園のベンチで座っていたが、瑞季は俺から離れない。


「はい……。すみません、泣くつもりはなかったのに……碧くんといると落ち着きました」


「それは良かった……」


 瑞季は、俺から離れ、座り直した。そして前を向いて話し出した。


「さっき話したことと少し関係のあるお話なんですけど、私は、もっとクラスメイトと方と仲良くしたいんです。碧くん達のように……。ですが、成績優秀で皆さんに羨ましいと思われるようになってから誰かと仲良くすることが難しくなりました。何というか距離を感じるんです」


「皆さんには本当の自分を見てほしいのに無理して頑張っている方の自分を見る……。頑張ることをやめたら本当の自分を見てくれるんですかね……? 結局は、皆さんが好きなのは愛想いいだけの偽りの自分」


 周りが勝手に作った印象を壊さないよう今までやってきた瑞季。だが、それは自分を苦しめるだけだ。


 誰も本当の自分を見ないなら今のままでいいやと瑞季は思い始めていた。


「俺は、どんな瑞季でも全部好きだよ。甘えてくる瑞季も努力する君も学校での君も……。けど、一番好きなのは自然としていてくれて笑う瑞季が好きだ」


「全部って……本当の私は物凄くめんどくさくて碧くんが好きな私じゃないと思います」


「俺だってかなりめんどくさいタイプだけど」


「碧くんはめんどくさい人ではありません」


「それは瑞季が俺と過ごす時間がまだ浅いから。一緒にいるうちにいつかそう思う日が来る」


「そんな日は絶対にきません」


「絶対とは言いきれないと思うけど。一緒にいる時間が増えると嫌でも相手のダメなところを知ってしまう。俺は、本当の瑞季をまだ半分も知れていない。だからこそ知りたいと思う。君をもっと好きになりたいから」


 最初は周りの反応を見て行動する彼女のことをあまり好きではなく苦手だった。


 最初は自分とは違う世界の人だと思っていたけれど、露崎瑞季は普通の女の子で努力家だった。


 彼女のことを知っていくうちに苦手から好きへと変わった。俺と瑞季が話すことなく過ごしていたらおそらく俺は彼女のことを苦手なままでいただろう。


「俺は、瑞季のことが好きだ。これからもずっと君の側にいたい」


「私も……碧くんのことが好きです」


 お互い好きだとわかった。両思いだとわかっていたが、ずっと言えなかったことをここで言わないと後に引きずるだけだ。


「瑞季、俺と付き合ってほしい」


「こんな私でいいんですか?」


「こんなとか言わないの。俺は、頑張り屋でたまに甘えてきたりする露崎瑞季が好きになったんだから」


「甘えてくる私が好きなのですか?」


「うん、可愛くて好きだよ」


「そ、そんなに好きを連呼されると恥ずかしいです。私も碧くんと付き合いたいです」


 そう言って瑞季は俺に抱きついてきた。小さな体を俺は、そっと抱きしめた。


「これからよろしくお願いします、碧くん」


「こちらこそよろしく、瑞季」


 暫く相手の温もりを感じならがら俺と瑞季は抱きしめあっていた。







「もう、そろそろ帰らないとな……はい、手」


 ベンチから立ち上がり、俺は、彼女の前に手を差し出した。彼女は、じっと手を見つめて、暫くして俺の手を握って立ち上がった。


「これからは碧くんに言いたいことはちゃんと言います。ですから、碧くんも言葉にしてくださいね」


「うん、わかった」


 公園を出たところで瑞季は、俺と手を繋ぎ指を絡めてきた。


「私、碧くんといる時間が一番幸せです」


「俺もだよ」







***






 翌朝、昨日の出来事が夢だったんじゃないかと思ってしまった。

 

「夢じゃないよな……」 


 そんなことを思いながら瑞季との待ち合わせ場所へ行くとすでに彼女は待っていた。


「おはよう、瑞季」


「おはようございます。髪跳ねてますよ」


 クスッと笑って彼女は、少し背伸びして俺の髪を触った。


「ま、マジ?」


「えぇ、マジです。後で学校に着いたら直してあげます」


「ありがと。そう言えば瑞季と昨日話すの忘れてたんだけどさ付き合い始めたこと、香奈と晃太には言ってもいい?」


 香奈と晃太には背中を押してもらった。だからこそあの2人には付き合い出したことを言っておきたかった。


「もちろんです。私も香奈さんに相談に乗ってもらってましたから。他の人にはどうします?」


「そうだな……付き合ってるのかって聞かれたら言うことにしよう」


「わかりました。私もそうします」


 公開告白なんてする勇気ないし、付き合い始めましたって同じ学年の人達に言う必要ないからな。


「おはよ、今日も仲良しだねぇ~」


 後ろから肩を叩かれれたので誰かと思ったが声でわかった。


「おはようございます、香奈さん、前山くん」


「おう、おはよう。碧、何かいいことあったんじゃないかって言うぐらいニコニコしてるけど何かあったか?」


 勘の鋭い晃太は、俺の顔を見てすぐに気付いた。時々、見透かされてて怖い。


「実は、昨日、告白して付き合うことになったんだ」


「……えっ、ほんとか?」


 一瞬、聞き間違いだと思った晃太は信じられないのか聞いてくる。


「うん、ほんと」


 そう言うと晃太は俺の肩に手を置いてきた。


「良かったな。やっとって感じで俺は、嬉しいよ」


 何だか親みたいな言い方だな。けど、俺と瑞季の仲をくっつけたいと思っていた晃太は本当に喜んでくれているのだろう。


「みっちゃん、碧と付き合い始めたの!?」


「えぇ、昨日、碧くんに告白されました」


 後ろで歩く瑞季と香奈も同じような話をしていた。


「やったね碧! おめでとう!」


 嬉しいがもっと声量おさえてくれ。周りの人何事かと思われてるから。


「よし、これでダブルデートできるね。どこ行く?」


「香奈、まずは2人でデートだろ? ダブルデートは、まだ先だ」


 香奈のダブルデートという話をダメだと言うかと思ったが、晃太は、まだ先だと言って今後するつもりでいた。


 この2人、さてはダブルデートしたいがために俺と瑞季を……いやいや、そんなわけないか。


「それもそうだね。みっちゃん、初デートは、どこ行くの?」


「どこと言われましても……あっ、ですが、今週の土曜日に碧くんと水族館に行く予定です」


「おっ、ってことは水族館デートだね。碧、変なことするんじゃないぞっ」


 ツンと腕をつつかれるが、水族館で変なことって何するんだよと思わずツッコミを入れるのだった。


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