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ホワイトデー当日

 3月14日。彼女に渡すものをカバンに入れて図書館へ向かった。先に着いているらしいので図書館の中に入り彼女を探していると綺麗な髪が視界に入った。


 何か読んでる……。料理の本? 静かな場所なのでさすがに驚かせたら周りの人に迷惑になると思い、肩を優しく叩いた。


「おはよう、瑞季」


「あっ、おはようございます、碧くん」


 本を閉じ後ろを振り返った瑞季は、俺に気付きイスから立ち上がった。


「一度出ましょうか」


 そう言って彼女は読んでいた本を棚に戻す。


「借りなくていいのか?」


「大丈夫です。何となく見るだけで十分なんで」


 図書館を出て少し川沿い歩くことになった。俺は、先ほどの本が気になり聞いてみることにした。


「さっきの本、料理の本だったけど料理でもするのか?」


「しようと思いましたが本を見ても作れないものは作れないのです。碧くんは、料理は、得意ですか?」


「一応まぁ……」


 中学生の頃に何となくはできた方がいいと思い始めた料理。基本的なものは作れる。


「凄いですね。碧くんの作る料理、食べてみたいです」


「なら、瑞季もお花見するか? 3月末ぐらいに晃太と香奈でやろうってなってるんだけど……」


 瑞季を誘ったら香奈が喜びそうだなと思いながら瑞季にどうかと尋ねる。


「いいですね、お花見。私も参加したいです」


「わかった。じゃあ、その時瑞季の分も弁当作っていくよ」


「碧くんの作った料理は食べてみたいですが、その……作り方を教えてほしいです。私も料理ができるようになりたいので」


 料理ができなくても諦めていないのは図書館へ行って調べているところからしてわかる。諦めず頑張るところは彼女のいいところの1つだろう。


「わかった。じゃあ、作るとき呼ぶから一緒に作らないか?」


「それいいですね。食材費は、もちろん半分出しますから一緒に作りましょう」


 小さくガッツポーズをする彼女に可愛いと見つめていると本来の目的を忘れそうになっていた。


 そうだ、今日はバレンタインのお返しをしに来たんだった。


「瑞季、これ、この前のバレンタインのお返し」


 そう言って瑞季にプレゼント用の袋を渡した。ありがとうございますと受け取り彼女は中身を取り出す。


「桜のハンドクリームなんてあるのですね。それとブレスレット……2つもいいのですか?」


 本来なら1つだが、俺は、バレンタインで2つもらっているのでお返しも同じ数がいいと思いハンドクリームとブレスレットの2つをあげた。


「チョコとマカロンもらったからな」


「す、すみません! 私が2つも用意してしまったせいで」


 自分のせいで相手も2つ用意することになってしまったのではないかと瑞季は、頭を下げて謝った。


「いや、謝らなくても……2つもありがとな」


 そう言って俺は、彼女の頭を撫でると瑞季の表情がふにゃっとなりされるがままになる。


「碧くんは、優しすぎます……」


 そう言ったら瑞季の方が優しいと思うけどな。困っている人を率先して助けるし。


「そう言えばもうすぐクラス替えですね。碧くんと離れるのは何だか寂しいです」


 ここは、俺も寂しいとか言うべきなのか? 思っていることを言わずにずっと心の中だけで思っていいのかと自分に問いかける。


「俺も……瑞季と違うクラスは嫌だと思っている」


 瑞季だけがいつも気持ちを口にしてくれて俺は、いつも心の中で思うだけで口にはしなかった。少し照れてたが、言えた。


「私もです。同じクラスだといいですね」


 そう言った彼女の笑顔は、暫く頭から離れずそして気付いた。俺は、露崎瑞季が好きなんだと。






***







 春休みに入ったある日。俺は、晃太とファーストフード店で昼食を取っていた。


「へぇ~ついに好きになったのか。じゃあ、今から告白しに行くか?」


「好きだけと今すぐには告白できない……」


 心の準備もそうだが、もし瑞季に告白して断られたとしたら俺は瑞季に今後どう接すればいいのかわからないし、告白したのがきっかけに今の関係が壊れる可能性もある。それが怖くて告白できない。


「碧は、露崎さんの好意に気付いてるんだよな?」


「気付いてるよ」


 やたらスキンシップが多いのも俺が好きだから。好きだとアピールしてくれているのは恋愛に疎い俺でもわかっている。


「まぁ、碧と露崎さんにも自分なりのペースがあるだろうし何も言わないが、頑張れよ。俺は、2人の恋応援してるからさ」


「ありがと」


 いい友人を持てたと思っている。無理やりじゃなくて必要だと感じたら背中を押してくれる。それだけで俺は嬉しい。


「で、明日は露崎さんと弁当作るんだっけ?」


「うん。晃太と香奈の分はいらないよな?」


「えっ、作ってきてくれんの?」


 あっ、ついつい後から俺らの分も作ってと頼まれるかと思い先に言ってしまった。


「いや、やっぱ今のなし。それか4人で作ってお花見に行くか?」


「おっ、それいいじゃん。でも、お前はそれでいいのか?」


「どういう意味だ?」


「いやだってさ、4人だと露崎さんと二人っきりになれないじゃん」


 貴重な2人の時間を邪魔してもいいのかと晃太は、遠回しにいう。


 俺は、自分の意見よりまずは瑞季がどちらの方が喜ぶかを考えた。俺と2人でも嫌とは言わないだろうが、香奈達もいた方がいいとも思う。


「瑞季に一度聞いてみる」


「わかった。返事返ってきたら教えてくれ」

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