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11話 採取者は気配を殺す。

不定期に更新します。

『魔の境界線』での薬草採取は最初こそギリギリ活動していたが、数日経った頃には『鑑定』と『隠密』に『採取』の3つのスキルを同時に展開し、怪我無く採取作業をしていた。


「相変わらず害ある反応多いな。」


『感知』と『警戒』で害ある反応には、思いっきり逃げの姿勢で対応し、安全圏を確保している。


リト以外の冒険者達は害ある反応には、襲われる前に倒しているのを確認していた。

それ以外にも襲われる前に、冒険者達は戦闘陣形を組み、狼達の群れを順に討伐している。


「群れの討伐依頼もパーティーでなら対応可能だけど、報酬がしょぼいからなー。」


群れでの報酬はランクE的にはおいしいのだが、パーティーで人数割りにした場合、1人の報酬は結構少ない。

人数が多い方が安全に狩れるけど、報酬が少なくなる。

ランクEからランクDへの昇格も魔の境界線での活動期間が必要だったはず・・・。

魔の境界線の薬草採取でも同じだといいんだけど・・・。


前に採取中に不意打ちを喰らって、黒犬の群れを倒した。

その時は採取に夢中になり、襲われたと同時に黒犬を風魔法で八つ裂きにした。

解体する意味が無いほどボロボロに切り刻み、黒犬の群れは肉塊へとなっていた。

連続で襲われ無駄に魔法を放ち続けた。


「あの時は焦ったなー。

風魔法も瞬時で放てたけど、威力がありすぎて焦ったけど。」


解体技術が無いリトは最初からキレイに倒す必要が無い。

倒せれば手段を選ぶ必要が無いと考えてさえいる。

これがパーティーを組んでいたならダメな事とだけは知っている。


「魔法の練習も必要かなー。」


リトは初歩的な攻撃魔法は習得済みである。

使う機会が無いだけで使えはする。

魔法以外のスキルは常時展開しているから、結構育っていると思うがスキルレベルの確認はしていない。

スキルレベルで強さを知る冒険者もいるが、リトは体感で依頼を決めていた。

もっとも薬草採取しか選ばないリトには関係無い事だが。



魔の境界線での薬草がリトにより少なからず納品され始め、ギルド的にもいい傾向にあった。

ギルド的には薬師や調合師へ薬草を卸し、傷薬やポーションへとなる。

回復アイテムはもしもの時の為にも大事に保管し管理する必要がある。

街の民には傷薬は必須であり、冒険者にはポーションが必須であった。

それ以外にもリトは様々な薬草を卸しており、各種の薬やポーションを確保している。


今日もリトはギルドへ薬草を納品しているのを、受付嬢のアンリから聞いている。


「リト君は今日も魔の境界線での薬草を納品しております。」


「怪我は無かったか?」


アンリは薬草を納品時のリトの姿を思い出し


「いつも通り怪我など無かったと思いますよ?

ただ少し疲れている様には見えましたが・・・。」


「魔の境界線で活動してるからな。

怪我してないなら大丈夫か、納品の数は?」


「毎日の様に納品してますが、少しずつ量が増えてきていて心配になります。

常時依頼での薬草採取なので何かしら薬草を採取している感じですね。」


「リト君は魔の境界線の薬草を選んで採取してるんだろ?」


「数を揃えて採取しているとは思えません。

目についた薬草を採取して戻っている感じです。」


「野犬や狼の討伐に関しては?」


「討伐に関しては皆無です。

倒していないのか、解体していないのかは不明ですが。」


「リト君は解体しないんだっけ?」


「ジンさん的にはリト君は解体しないって言ってましたしね。」


「もっといない気もするがな。」


「ソロで魔の境界線で活動する方が凄いと思いますよ?

それより魔の境界線で活動している冒険者からリト君の目撃情報が皆無です。」


「魔の境界線で活動している冒険者には見えない場所で採取してるんだろ?

あそこは無駄に広いし、獲物も多いから子供一人気にして活動できんだろさ。」


「そうなのかな?

リト君の納品している数を見ても移動しつつ採取しているはずなんだけど。」


「薬草の群生地でも発見したんじゃないか?」


「その可能性もありますが、群生地は薬草だけではなく、黒犬や狼も大量に発見されてます。

ソロで行くには無理があります。」


「単体では雑魚でも群れたら面倒だからなー。」


ギルドでも魔の境界線の現状は理解している。

冒険者を大量に導入し大型駆除を行ってもいる。

春と秋による冒険者ギルドの『魔の境界線討伐祭り』『魔の森討伐祭り』、倒した個数による順位付けがあり、賞品や賞金がギルドから贈られる。

その後に行われる『肉祭り』もあり、討伐した獲物の肉が露店で売られ、通常よりも格安で食べられる庶民には嬉しい祭りになっていた。

肉祭りは孤児院の子供達にとっても嬉しい祭りであり、リト的にも肉が食べれる好きな祭りであった。

討伐冒険者には活躍できる貴重な機会なのだが、採取好きなリトには『魔の境界線』が冒険者で溢れ、採取どころでは無い、祭りの日は二度寝と露店巡りで過ごしていた。



リトは街中でも『感知』と『警戒』、『隠密』を展開している。

常に周りに注意し警戒し気配を殺し・・・。

歩いている時に人にぶつからない様に、人の流れに逆らわない様に移動して行く。

最初こそ『隠密』による弊害で通行人とぶつかってもいた。


「移動中は気配を殺すと、存在感も消えるから別の意味で注意が必要かー。」


何度か人にぶつかり、何度も謝り不審がられ、注意力が上がるに伴い、人を避けやすくなる。

通行人の行動を予測し移動先を決める、移動先で衝突する場合も含めて複数の移動先の確保。

人より先に移動をし、人の流れを止める事無く移動する。


「一歩先へ人の流れを理解し先読みする。」


移動する速度は初速が大事、速度を維持し移動を繰り返す。

『感知』スキルによる通行人の位置と移動速度を知り、『警戒』スキルで通行人との衝突を事前に知る。

初速を心掛けていたら『縮地』というスキルが習得していた。


「縮地は瞬間移動っぽいけど、めちゃくちゃ疲れるな。」


数歩先への移動を繰り返し、街中でも衝突する事無くなるのは数日後の事であった。

瞬間的に移動可能なのはリトの逃走には必須であり、魔の境界線での移動は縮地頼みになるのは必然。

疲れたら地面に座り、『ぼ~。』としながら回復を促し、回復したら採取再開。

可能な限り戦闘を避け、基本逃げて採取し、疲れたら休憩していく。

休憩時だけは魔の境界線での冒険者達から目撃され、回復後に『隠密』スキル全開で姿を消す。

その為に冒険者達からは気が付いたら居なくなる冒険者がいると噂が聞こえていた。


冒険者ギルド的には、その噂は魔の境界線で薬草採取している冒険者だと教えてはいたが、ランクE以上の冒険者達が存在も感知されないのを不審に思い、一時期消えた冒険者を探す者達が現れたほどだった。

リト的には『縮地』と『隠密』によりランクE以上の冒険者にも効果があった事に驚く。


「スキルを極めれば戦闘無しで魔の境界線で活動出来るんじゃ?」


・・・っと、冒険者らしからない事を考えていた。

リト(♂):12歳初心者冒険者。『生活魔法』『鑑定』『感知』『採取』『格闘術』『棍』『全初歩魔法』『警戒』『隠密』『縮地』

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