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黒剣の魔剣士の物語 相棒兼師匠は最強魔法使い?  作者: レイス
エピソード②冒険者活動編
26/31

25.第二の魔剣シロ

 「・・・クロ、どうだい?」


 荒野を歩いて一時間ほどが経過した。何度かランクの低いアンデッドと遭遇したものの、ネロは苦も無く切り捨て、奥へと進んでいく。


 <・・・反応があるな。どうやら、ここで正解のようだ。>


 クロは、仲間の気配を感じることをネロに告げる。


 「なら、ここに来て正解だったね。・・・でも、どこにいるんだろう?」

 <・・・このまま真っ直ぐ進め。・・・俺には、そいつがいる場所の入り口が見える。>

 「分かった。」


 クロに言われるまま、ネロは荒野を進んでいく。しばらくして、ネロは何か違和感のようなものを覚えた。


 「・・・クロ。何だか妙な感じがするんだけど・・・。」

 <・・・分かるか。空間の歪みが。>

 「・・・うん。・・・何となく・・・だけど。」

 <俺を持っているからだろう。そのために、お前もそれを若干だが認識できている。間違いない。ここが入り口だ。>

 「そうなんだ。・・・でも、どうやってこの入り口を開けるの?」

 <問題ない。俺を空間の歪みに振り下ろせ。そうすれば開く。>

 「力技だね。・・・まあ、それで開くならそうするよ。」


 ネロは、違和感を覚えた空間に、クロを振り下ろす。すると、目の前にクロのいた空間の入り口と同じ、洞窟型の入り口が現れた。


 「!」

 <さて、この空間にいるのは誰やら。ご対面といくか。>

 「・・・本当、どういう仕組みなのか。」


 ネロは、目の前の事態に驚愕しつつも、入り口を潜るのだった。











 「・・・クロのいた場所と変わらないね。」


 洞窟に入ったネロは、周囲の様子を見ながら呟く。洞窟は、クロのいた洞窟と構造も光源も同じだった。


 <俺達の封印場所は、どこも同じようなもののはずだ。だから、誰がどこにいるかは会ってみなければ分からん。>

 「クロは、どんな人とできれば最初に会いたいの?」

 <そうだな・・・。シロとコンイロだな。この二人が、特に俺と仲が良かった。最初に会うとしたら、このどっちかがいいな。>

 「その二人ならいいね。・・・あ、そろそろ着くよ。」


 ついに、ネロは魔剣の安置場所に辿り着く。そこは、クロが安置されていた部屋と同じ部屋で、クロの時と同様に、剣が台座に刺さっていた。剣の形状は、細部が若干異なることと、サイズも小さめなところを除けば、クロの同様だったが、色は、白一色だった。


 「・・・白い・・・魔剣・・・。」

 <・・・となると、シロか!シロ!俺だ!クロだ!>


 クロは、真っ白の魔剣に声をかける。すると、白い魔剣から、女性のものらしき声が聞こえてくる。


 <・・・その声は・・・クロですか?>

 <そうだ、俺だ。久しぶりだな。剣に魂を封印された時以来か。>

 <そうですね。あの時以来ですね。>


 親し気に会話をし出す二本の魔剣。ネロは、クロの言った名前と様子から、クロが会いたがっていた人物であると察する。


 「よかったね、クロ。会いたかった人に会えて。」

 <ああ。一番最初がシロとは、幸先がいいな。>

 <・・・クロ。そちらの方が、あなたの相方ですか?>

 <そうだ。名前はネロ。俺の相棒兼弟子だ。>

 <そうですか。初めまして。私はシロ。クロの仲間です。>

 「初めまして。僕はネロです。」

 <ネロですね。私のことは、シロで構いません。皆、そう呼んでいましたから。あと、敬語も不要です。>

 「分かりま・・・分かった、シロ。」


 シロとのやり取りから、ネロは、彼女がとても礼儀正しい人間だったのだと感じた。


 <・・・クロ、あなたが私の許に来たということは・・・時が来たのですね。>

 <・・・ああ。喜んでいられるのは、ここまでだ。>


 二本は、今までの楽しそうな雰囲気とは一転、真剣な雰囲気で会話をする。


 <シロ。俺は現在、このネロを鍛えている最中だ。来たるべき時に備えてだ。同時に、お前達の探索もしていた。師匠が言う災いを止められるのは、俺達と俺達を持つ者だけだ。お前にも来てもらうぞ。>

 <当然です。そのために、私達はこの姿となったのですから。>

 <心強いな。ネロ、シロを抜いてくれ。>

 「・・・分かった。」


 クロに促され、ネロは台座に刺さったシロを抜く。想像していたよりアッサリ剣は抜けた。


 「・・・?」

 <どうかしましたか?>

 「・・・シロもシキさんの弟子だったんだよね?・・・でも、クロの時と違って・・・何だか違和感が・・・。」

 <分かるか。さすがだな。そうだ。シロは師匠の弟子だが、魔法使いではない。>

 「え?・・・じゃあ、何の弟子なんだい?」

 <聖法使いだ。聖術使いとも言われていた。>

 「・・・聖法って、クロが言っていた特殊な術だよね?・・・彼女はその使い手だったの?」

 <ああ。俺が知る中で、一番の聖法使いだ。>

 <よしてください。私なんて、師匠の足元にも及びません。師匠の方が遥かに優れています。>

 <謙遜するな。何でもできる師匠は例外だ。>


 クロの高評価に、シロは謙遜するも、それでもクロは、彼女を持ち上げるのをやめなかった。


 「・・・あの時も気になっていたけど、聖法って、どんなものなの?」

 <そうだな。実際に見せた方がいいだろう。外に出て、手頃な魔物と戦おう。幸い、ここにいるのはアンデッドだ。聖法の効果を見せるのに一番いい。>

 「分かった。じゃあ、シロ。聖法を見せてもらうよ。」

 <どうぞ。私の力をその目でしっかりと見てください。>


 シロを回収したネロは、封印空間を後にするのだった。

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