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第6話 金銭問題と冒険者

 

 そんな気はしていた。

 食べ盛りの子供が1人増えたら自然と使う金が増える。おそらく、今この家は金銭問題に直面している。

 昨日のこと、俺は夜中トイレに行く途中ミシアとラルトの会話を聞いてしまった。

 話によると、ラルトの稼ぎと今ある備蓄では冬の備えとして不十分らしい。俺としては気が重い。今までは3人でなんとかやってこれたらしいが、俺が増えたことで難しくなってしまった。


「はぁ…俺のせいかぁ…」

「隙ありー!!!」

「ぐへっ!?」


 エマの風魔術鉄拳が俺の顔面に炸裂した。


「どうしたの?悩み事?」

「んー?まあね…」


 さすがにこの話をエマにはできない。


「話せないこと?」

「大丈夫だよ。なんとかなることだから」

「そ?塞ぎ込んじゃダメだよ?」

「うん!よし!練習再開しようか!」


 エマの魔術の成長は凄まじい。僅か3ヶ月で各属性を中級魔術まで習得した。エルフの血筋は伊達じゃないな。

 俺の保管されている魔術も教えているから、魔術の実力は俺に近づきつつある。


「次はどうする?遠距離で戦う?」

「いや、強化魔術で組手しよう」

「えー、遠くからドーンてやる方が好きー」

「さっき、嬉しそうに殴ってたじゃん」

「それはアレクがボーッとしてるから!」


 魔術の練習が余程楽しいようでなによりだ。そんなことを思いながら練習を再開した。


 ◇◇◇


 練習を終え、家に帰るとミシアが晩御飯を用意していた。


「いい匂い!アレク!早く食べよ!」


 そう言いながらエマが席に着いた。いつも通りおいしそうなスープだ。

 俺とエマのスープには肉や野菜がふんだんに使われている。しかし、ミシアとラルトのスープはほぼ具なし。申し訳が無くなってくる。


「ごちそうさま!おいしかったです!」


 晩御飯を平らげ部屋へ戻った。

 壁に立てかけている黒剣と横にある袋を見る。


「これしか…ないか…」


 覚悟を決め、翌日に備え眠りについた。


 ◇◇◇


 翌日

 俺はローガンとの特訓があるため支度を終わらした。手には黒剣と魔導袋を握っている。

 玄関に行くとラルトが弓の手入れをしていた。


「今からローガンのところで特訓かい?毎日大変だねぇ」


 ラルトはそう言い笑顔を向ける。


「おや?今日はその剣と魔導袋を持っていくのかい?」

「は、はい!ローガンさんが見てみたいって言ってたので…」


 嘘をついたことに罪悪感を覚えながら家を出た。出てすぐの曲がり角。


「アレク」


 筋骨隆々のおっさんが出てきた。

 曲がり角にはパンを咥えた女の子が出てくると相場が決まっているのに。


「ローガンさん!?どうしてこんな所に…」

「俺はその剣と袋を見たいなんか言ってないぞ」

「いや…その…」

「はぁ、売る気だったのか?」


 図星だった。この剣と魔導袋は確実に貴重品だ。相当な額になる。


「おまえの大切な物を売ってできた金で、2人が喜ぶと思うか?」

「それは…バレなければ」

「おまえが大事にしていた物が急に無くなったら、すぐにバレる」

「……」


 でも、俺にはこうするしかない。2人に迷惑をかけないためには。


「アレク。おまえが無理して身を切る必要などない。子供が大人に余計な気を遣うな」

「でも…!」

「おまえの気持ちはわからんでもない。ほら、これを受け取れ」


 ドサッと出てきた袋にはたっぷりの金貨が入っていた。


「いや!受け取れませんよ!」

「なにを言ってる。受け取るも何も、これはおまえが稼いだ金だ」


 何を言っているんだ?俺は働いていない。金を稼ぐような事もしていない。ローガンが気を遣っているのだろうか…


「これはおまえが討伐したグランドウルフ40匹の討伐賞金だ。10万G入っている」


 ローガンが言うには、モンスターを討伐すると賞金が出るらしい。

 冒険者ならすぐに賞金が貰えるらしいが、騎士やその他の職業の人が賞金を得ようとすると面倒臭い手続きをしなければいけないようだ。


「さすがに、6歳児が倒したなんて言えないからな。俺が討伐したことにしておいた。俺はなにもしてない。賞金は全てお前のものだ」

「ありがとうございます。受け取ります」

「ははっ!気にするな!ただ、おまえがわざわざ身を切る必要などないということだ!それであいつらに美味いもんでも食わしてやれ!」

「はい!」

「今日の訓練は休みだ!家に帰れ!なんなら手数料で俺に酒の1本でも買ってくれてもいいぞ!ガハハ!」


 せっかくカッコよかったのに、全て台無しだ。


 家を出てすぐに戻ってきた俺を見てラルトが目を丸くしている。


「忘れ物かい?」

「いえ、少しお話があるのでいいですか?」

「あ、ああ」


 ラルトと俺は家の中に入った。


 ミシアも交えて3人で食卓を囲む。エマはまだ寝ているだろうか?


「まずは、これを」


 ローガンから受け取った大金を机の上に置いた。


「ん?…うぉ!なんだこの額、俺の2年分の給料位あるぞ…」

「アレク…このお金はどうしたの…?」


 ラルトは驚きミシアは心配そうにこちらを見た。

 ローガンから聞いたことをそのまま2人に伝えた。2人は黙って考えている。すると、ミシアが口を開いた。


「このお金はアレクが命懸けで稼いだお金よ。受け取れないわ。あなたが使いたいように使いなさい」


 使いたいように…か。


「わかりました。なら、使いたいよう使います。このお金の半分をこの家の生活費に当ててください。それが僕の使いたいことです」


 ミシアが難しそうな顔で黙ってしまった。


「わかった!じゃありがたく使わせてもらおう!」


 ミシアが驚きラルトを見る。


「子供が少し早めの初任給を半分仕送りしてくれた。そう思えば受け取りやすいだろ?」


 そうミシアを諭した。それにミシアも納得したようだ。


「じゃ、受け取るわね。ありがとうアレク、これで冬が越せそうよ!」


 そう言い笑顔を浮かべた。


「それと、もう1つ相談したいことがあります」

「なんだい?」


 そう、相談はもう1つ。俺の将来についてだ。


「僕が10歳になったら、王都の冒険者学校へ通おうと思ってます」


 俺の提言に2人は驚いているが、反対はしない。

 ミーヤから冒険者学校は10歳から学校に通うことが出来るということは事前に聞いていた。


「どうして冒険者学校なんだ?アレクの実力なら、魔術学校や騎士学校でも十分やっていけるだろう」


 確かに、魔術学校や騎士学校で優秀な成績を残すと、王都の騎士や宮廷魔術師など高待遇で将来安定の職に就きやすくなる。だが、


「僕は将来冒険者になります。それは他ならぬ僕の為にもなるから」

「そうね…色んな場所を旅すれば、記憶が戻るヒントがあるかもしれないわ」

「あぁ、それに冒険者は特異な場所へ行ったりするのに許可が降りやすい」



 特異な場所…身近なところで言うとカオスフォレストがそうだ。

 それに、どこかの屋敷でジッとしているより。色んな場所冒険する方が楽しいし。


「わかったわ。10歳になったら王都へ行ってもいいわ。その代わり、ちゃんと家にも顔を出してね?」


 ミシアは少し寂しそうな顔で承諾してくれた。


「だったら、特待生試験を受けてみるといいよ!学費が免除になる上、寮も1人部屋になるそうだ!特待生試験を受けるには2人分の推薦状が必要になるが、それはローガンとミーヤがいれば問題ないだろう!あいつらは元々S級冒険者だからな!」


 なんかサラッと凄いことを聞いた気がした。

 特待生試験か、優遇されるに越したことはないな。


 そんな会話をエマは扉の影で聞いた…。


第6話ご閲覧いただきありがとうございます!


次回は補足説明パートになってます!

世界について少し詳しく説明してありますので是非ご覧下さい!


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