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忘却の魔剣士~また、君を見つけるまで~  作者: KUZAKI
第三章 ミアレス聖国
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第26話 イグナスVSデーモン軍団

 

「アレク!エマ!起きて!」


 ベリウルの攻撃をくらい倒れているアレクサンダーとエマにアリアは声をかける。


「うぅ…」


 俺はまた、あの光景を見ていた。


『知らない街、死んでいる仲間、禍々しいなにか。激情。』


 この知らない街はどこかアルガンに似ている…今から起こる事なのか…?

 いや、この時の俺は大人だ。今じゃない。


「…ク。…レク!…アレク!!」


 アリアの声で目が覚めた。


「アリア…エマは!?」

「はーい、隣にいるよー」

「そうか…」


 エマは無事なようだ。


「あのデーモン、ベリウルとかいったか」

「うん、かつてイグナス先生のお姉さん、先代光の神子が打ち倒したって」

「叔父様からその話は聞いていたわ。でも、あいつは生きていた…!それに、女神の琥珀を狙っている…!」

「女神の琥珀?」


 女神の琥珀は初めて聞く単語だ。


「500年前、当時の光の神子が最上位デーモンを地下の扉に封印したの。女神の琥珀はそれの封印を解くための鍵…」

「最上位デーモンって、あのベリウルより上なのか…?」

「ええ、最上位デーモン。魔神の配下の最大戦力。当時は『魔神の使徒』と言われていたらしいわ。その力は絶大。ランクは天滅級になるそうよ。」


 魔神の使徒、天滅級。SS級冒険者が対処できるだろうが、それまでにミアレスが滅んでしまう。封印を解かす訳には行かない。


「今の話だと、ベリウルはS級かSS級ってとこか。」

「でも、街の外の気配がすごいことになってるよ…」

「大量のデーモン…それに向かう気配はイグナス先生か!ベリウルは俺達に任せるってことかよ…荷が重いな…」

「でも、先生が私達なら任せられるって思ったって事だよね。なら、頑張ろう」

「そうだな…!アリア!おまえは避難していてくれ。」


 ここからは危険すぎる、アリアは連れて行けない。


「…私も行くわ。」

「アリア!危険なんだよ!?」

「わかってる!でも、あなた達地下への行き方わかるの?」

「「あ…」」

「はぁ…案内するわ」

「す、すまん」


 俺とエマ、アリアの3人はベリウルを追いかけた。


 ◇◇◇


「お?あいつらの気配が地下に向かっているな、俺の意図が伝わったようだな。魔神の使徒を解き放つ訳にはいかない…!頼むぞ…。しかし、この数は…」


 イグナスは街の外に出た。

 眼前に広がるのは数百を超えるデーモンの数。

 各個体は大したことはないが。


「この数はさすがに『聖滅』じゃ倒しきれないな…。今日は2回しか使えない。地味に片付けていくしかないか」


 そう呟き、イグナスはデーモンの大軍に向かっていった。デーモンの部隊は混乱している。


「け、剣聖が来たぞ!足止めをしろ!アイネルさんに殺される…!」

「その前に俺に殺されるがな」


 イグナスは光を纏い、目にも止まらぬ速さで片っ端から倒していく。


(…大軍のなかに2つ特に大きい気配があるな…ベリウルと同等か…上位デーモンだな)


 そう思いながらイグナスは蹂躙していった。


 ◆◆◆


「ベリウルは勤勉だねぇ。強敵を僕達に任せて上司を起こしに行くなんて、勿体ないよね?サマヌス」

「それがあいつの長所だ。お前も遊んでばかりいないで仕事をしていれば悪魔界に退避することも無かっただろ。アイネル」


 街の外の大軍をまとめているのは、2体の上位デーモン、アイネルとサマヌスだ。


「せっかくベリウルが受肉させてくれたんだ。今回だけは仕事をするさー」

「あの剣聖の足止め。殺しても構わないって話だな」


 2体のデーモンはニヤリと笑い、イグナスの元へ向かった。


「ふぅ…40は殺したか。」

「これ以上はやめてほしいなぁ」

「こんな雑魚どもでも同胞だ」


 呟くイグナスの元に2体のデーモンが肉薄した。


「上位デーモン…!」


 イグナスはすぐに後方へ下がり、剣を構えた。


「初めまして剣聖イグナス!僕はアイネル!君を殺すね」

「私はサマヌス。その剣を頂いても?」

「どっちもお断りだ!!」


 そう言いイグナスは2体に肉薄する。

 剣を振りかざし、アイネルの右腕を切り落とした。


「うわぁ!見てよサマヌス!簡単に切れたよ!」

「さすが聖剣、我々の天敵だ」


 そう言いはしゃぐ2体、アイネルの切り落とされた腕はすぐに再生した。


「チッ…再生か…最近こんなんばっかだな」

「そんな顔しないでよー、ほら!殺し合いを楽しもう!」


 アイネルは距離を詰め、漆黒の鉤爪をイグナスに振り下ろす。


「鬱陶しいやつだ…」

「ほらほらほらほらー!!」


 連続の鉤爪攻撃をイグナスは受け流す。


「私もいますよ」


 サマヌスの魔術が飛来し、イグナスに直撃する。しかし、剣で受け止めダメージを抑えた。


「ふむ、やはり剣聖。手強い」

「でも、確実に体力は減ってるよね!攻めよう!」


 アイネルは再度イグナスに肉薄し、連続攻撃を繰り出す。


「なにも喋らなくなったね!?必死かな!?疲れたかな!?」

「…」

「アイネル、退きなさい。でかいのをお見舞いします。」


「超級闇魔術『カオス・イーター』」


 巨大な闇の玉がイグナスに迫る。

 イグナスはニヤリと笑った。


「聖剣技『リフレクト』」

「なに!?」


 イグナスが剣を突き出すと、目の前に光の壁ができる。闇の玉はそれに当たり跳ね返る。闇の玉は倍の大きさに膨れ上がりサマヌスへと直撃した。


「ぐぁぁぁああぁあ!!!!!」

「サマヌス!?」

「余所見していいのか?」


 アイネルの一瞬の隙を突き。その胸を聖剣が貫いた。


「グハッ…くそっ…再生…遅い…!?」

「聖属性を纏わせた斬撃はおまえらデーモンの肉体再生を遅くさせる」


 それを聞きアイネルは大きく後退し、サマヌスの横に並んだ。サマヌスも大ダメージを負っていた。


「やはり、想像以上ですね…」

「このままじゃ消滅させられちゃうね…こうなったら奥の手だ。」

「隙が大きいですが、やるしかないでしょう」

「「合体!!」」


 2体の魔力は大きく膨れ上がり、その姿は次第に重なっていく。その様子をイグナスは静観していた。

 そして、2体の合体は完了した。


「あははははは!!!なぜ黙って見てたのかな!?君にとってはあれが最後のチャンスだったのにね!!僕達が合体してしまえば最上位デーモンとも渡り合える!!馬鹿なことをしたと、悔やみながら死ね!!」


 合体した2体のデーモンは勝利を確信する。


「おまえら、俺を舐めすぎだろ?」


 イグナスは胸の前に聖剣を掲げる。


「俺はかつて魔神を倒した勇者の末裔。イグナス・ブレイドだ。聖剣『ブレイド』我が意思に応えろ」


『聖剣解放』


 聖剣は強い光を放ちその形状を変化させていく。その形状はロングソードからツヴァイヘンダーへと変化した。


「な、なんだこの威圧感は…」

「さっきお前らが戦ったのは、聖剣の残穢。言わば出涸らしだ。かつて魔神を倒した聖剣だぞ?最上位程度に負けるはずがないだろ」


 聖剣から解放された巨大な光の魔力はデーモン軍団を包み込んでいく。


「俺と相対した、その運命を恨め」

「聖剣技『真・聖滅』」


 光が包んだ場所に無数の巨大な光の剣が地面から突き上がる。


「くそがぁぁぁぁぁあ!!!!!!」


 2体の上位デーモンの断末魔が響き渡った。


「ふぅーいっちょ上がりっと。あーー疲れた。聖滅2回分消費しちゃったよー。…ベリウルは姉さんの滅級魔術でも消滅させきれなかった…俺も地下へ向かおう…」


 イグナスは数百を超えるデーモン軍団と2体の上位デーモンを相手に無傷で勝利を収め、地下へと向かった。


 ◇◇◇


 時は少し遡る。


 俺達は地下を進んでいた。


「ゲホッゲホッ!!」

「アリア!無理するな…もう案内は十分だ。部屋に戻ってろ」

「ダメ!私も行かなきゃダメなの…」

「アリア…」


 アリアは意地でも共に地下へ行く気だ。だが、アリアの容態はあまり良くない。


「はぁ…わかった。捕まってろ」

「きゃっ…!」

「あー!ずるい!」


 俺はアリアをお姫様抱っこして、地下を降りる。エマは後ろで頬を膨らましている。

 今から上位デーモンと戦うってのに、呑気なもんだ。さらに地下へ進む。


「この先…!」

「ああ、禍々しい魔力だ…」


 アリアをその場に下ろし、扉を開いた。


「ベリウル!!」


 その部屋には巨大な扉があった。

 その前にはベリウルの姿も。


「はぁ…またあなた達ですか…言ったでしょう。役不足だと」


 ベリウルは闇の光線を俺達に放った。


「同じ手は通用しない!!」


 俺は剣を抜き、聖属性を纏わせた剣で闇の光線を斬った。


「ほう…やりますね。それは聖剣…?いや、ちがう。あーなるほど、あなたはどちらも扱えるんですね。まるで初代勇者だ」

「初代勇者だと…?」

「残念ながらあなた達と雑談する暇はありません。時に光の神子、女神の琥珀がどこにあるか知りませんか?」


 初代勇者…?何を言ってるかよくわからんが、どうやらまだ女神の琥珀は見つけていないようだ。


「誰が教えるか!!」

「では、あなたを殺したあと直接頭に聞きましょう」


 そう言うとベリウルはアリアに一瞬で肉薄した。


 〔ガキン!!〕

 金属がぶつかり合う音が響いた。


「しつこいですねぇ…」


 俺はベリウルとアリアの間に入り、アリアに迫る爪を防いだ。ギリギリと音がなり、火花が散る。


「ゴホッゴホッ!!ゲホッ…うぅ…」


 アリアが咳き込み吐血した。そして、そのまま倒れてしまった。


「クックックッ、どうやら神子は既に死に体のようだ。わざわざ私が手を下す必要も無さそうです。では、仕方ないのであなたのお相手をしましょう」

「俺ばかり見てていいのか?」

「なに…?」


 エマは聖属性の光を凝縮させていた。


「上級聖魔術『ホーリー・レイ』」


 光線を放つ。


「今更、光線など…ぐっ!?」


 凝縮させた光線はベリウルの体を貫いた。


「なるほど、極限まで凝縮した光線ですか。やりますね」


 ベリウルは俺達と向かい合う。


「では、お2人の相手をしましょう。」


 そう言い不敵な笑みを浮かべた。


第26話ご閲覧いただきありがとうございます!


ブックマーク登録して貰えたらめちゃくちゃ作者が喜んでモチベ爆上がりです!よろしくお願いします!

次話をお楽しみに!

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