93.ヤナギムカエアタック 2
93.
ヤナギムカエアタック 2
ジェネラルのヤナギムカエで壊滅状態となっていた。
敵も味方もなく、吹っ飛んだ。
フルプレートのジョニーも息はあるようだが、瀕死の状態だ。
大楯のミスター・タンクマンは、大楯がボロボロだが、無事のようだ。
しかし、替えの盾はあるのか?
そして、オレたちは生きていた。
無傷ではないが、他のSランクが大小さまざまな傷を負って、戦闘が出来るのかわからん状態なのに、無事だ。
しかし、一人無事でないものがいた。
アニーだ!
オレたちが無事なのは、アニーが全力で耐熱魔法を掛けたからだろう。
口から泡を吹いて倒れている。
目も焦点があっていない。
「ヤバイ! アニー」
「アニー!」
「これはイカン。魔法使いが魔力をすべて使い果たした状態じゃ。下手をすると命に係わるぞ」
その時、オレは思い出した。
アニーが栄養剤の様なものを飲んでいたことを。
あれは『自分自身の魔力を液体の中に貯めることが出来る』と、言っていた。
オレは、アニーのローブの中のポケットを探した。
「あった。これだ」
「アニー、飲めるか?」と、言うも返事がない。
返事をする気力がないのだろう。息がある今のうちに手を打たないと。
そっと、瓶の口をアニーの口元に運ぶも、上手く呑み込めない。
吐き出しそうになっている。
あせらず、もっとゆっくりと!
「ゆっくりと!」
すると。
「なにが、『ゆっくりと』だ? そんな余裕があるのか?」と言う声が聞えてきた。
ジェネラルだ!
その時、すこしだが、アニーが魔力液を飲んだのを、オレは確認した。
そして、ジェネラルに言い放った。
「てめぇ。ボコすぞ」
ミスター・タンクマンが、こちらを見ている。
外見は大きな負傷が無いように見えるミスター・タンクマンだが、そうとう堪えているのだろう。動きがぎこちない。
フルプレートのジョニーは瀕死だ。
もっとも爆心地に近かったのだから。
他のハンターどもは、魔法使いは、良くて魔力切れ。あとは瀕死か死亡。
剣士は腕が折れているようで、使い物にならんだろう。
弓手はダメだ。爆破をまともに食らったようだ。
重装歩兵は動けるようだが、元々、重装歩兵は機敏でないので、あれが普通なのか、ダメージを受けているのか、よくわからん。
国軍の兵士は軽装歩兵が多いので、皆、どこかへ消し飛んだようだ。
ということは、オレたちパーティー以外にまともに動ける奴は、ここにはおらんのか?
そして、いくらオレたちでも、次にヤナギムカエを食らったら、死ぬということだ。
離れると、ヤナギムカエで来る。
近づくしかないが、出来るのか?
近づいても、通常の爆破が出来るとなると、どうする?
しかし、オレたちが負ければ、動けないアニーは確実に死ぬ。
勝つしかない!
そして、闘いは、先手である!
「アニー、死なせはせん」と言うと、オレは立ち上がった。
アニーは、なんとか、眼を開けられるようになっていたが、話せるところまでは回復していなかったようだ。
オレは、ロングソードを抜き、イシワラに向かって行った。
「フルプレートの剣士ですら、このざまなのだ。お前が剣で闘えるのか」とイシワラが先手を取ってきた。
そうなのだ。イシワラの言う通りなのだ。
だから、こちらの作戦がばれているのではないかと、内心ヒヤヒヤであった。
軍隊で少将まで行く男なのだ。
あらゆる、状況判断が出来るはずだ。オレの様な素人戦略が通じるとは思えない。
しかし、この強力な爆破は、自分にも振りかかって負担になっているはずだ。
それは、どこに?
それは、魔人と同じだ!
しかも、サングラスをせず、これだけの爆破をしたイシワラの眼は、もう限界のはずだ!
「喰らえ!」
ドカーーーーン!
次回の空手家は、どうなった?
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