91.ジェネラル・イシワラ
91.
ジェネラル・イシワラ
国軍の兵士が言った。
「イシワラ将軍だ」
なんだ?
また、元国軍の兵士か?
脱走兵が多すぎるのではないのか?
いや、後で知った情報なのだが、このイシワラとは十年前の東西戦争で、西軍の少将だったらしい。
あまりに奇抜な行動で問題児扱いされ、元帥から、左遷を言い渡されたようだ!
しかも、このイシワラが、南部で街道爆破したのが、東西戦争の始まりのようだ。
火薬庫のような男だな!
左遷後も驚きで、戦後裁判では、呼ばれもしていないのに出廷し、「俺を死刑にしないと、お前らぶち殺すぞ」と暴れたため、「精神に異常あり」と、つまみ出されたようだ。
とは言え、簡単に追い返されたのでは無いようで、数人は病院送りだ。
そんな彼を慕う者は多いらしい。
理論家で、話しを聞けば納得させられるようだ。
そして、ここからは、オレの推測だ。
東西戦争で負けた西軍兵士を上手く手引きして、魔人側に引き入れているのではないのか?
すると、イシワラを慕う者がいるかもしれない。
また、国軍の兵士の中には……
「諸君! また俺と戦おうではないか!」
それ、きたぞ!
丸め込まれる奴が出るだろう。
「将軍ッ!」と、国軍の兵士が言った。
「お前ら負けた奴らの言いなりなのか? それで良いのか? 我々の理想は、独裁政権を廃し……」と、イシワラが言おうとした時、遮った者がいた。
「そんなことは、どうでも良い。早くリードを出せ!」
という男の声がした。
誰だ?
どいつだ?
それは、オレだ!
「国軍の兵士を口説いている最中、すまないが、オレは国家論に付き合うつもりはない。ただ、魔人をボコしたい。それだけだ」
しばしの静寂が流れた。
国軍兵士が将軍の話を聞くのは良いとして、ハンターが聞く必要はあるまい。
「通してもらうぜ」と、オレは歩み始めた。
「フフフ、お前がリード殿の言う蒼井隼人だな。このイシワラ・タンジ。ここを通す訳には、ゆかぁーん」と、叫ぶと、“ドカーン”と、何かが爆裂した!
さすが、爆破工作の首謀者だ!
ジョニーとは、また一味違う爆破だな。
そして、爆破した箇所からは、魔物が這い出てきた。
「おい、マジかよ」というハンターの声が聞こえる。
すると、
「第一小隊は右へ、第二小隊は……」と、ジェネラル・イシワラは、将軍自ら部隊の指揮を取っていた。
「これは、単なる格闘戦とは違う。なんかヤバい感じがする」
次回の空手家は、ヤナギムカエアタック!