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【完結】死後の世界は人手不足 【ビルドアップ版】―鍛えなおして、オレが帰ってきました―  作者: 井上 正太郎
第2章 空手家、異世界冒険者になる
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9.蒼井隼人、ハンターになる!

第9話

蒼井隼人、ハンターになる!


 何も抵抗をしない!


 それは、ゴブリン達にとって、『何をしても構わない』と言うことだ。


 牛を盗み、身体を切り裂き、肉を食らい、牛舎を汚し、さらに壊し、牛に悪戯をしても、何もしてこない。

 これ即ち、すべてOKということだ!


 なんと言っても、今、ゴブリン達は恐れるものはない。

 自分たちの中から、上位種であるゴブリンロードが誕生したのだ。



 いずれ、ゴブリンロードはゴブリンキングとなり、この周辺は支配する。


 人間など恐れることはない。やりたいことをやれる。それには、数を増やし、数の暴力で家畜を襲う。


 そして、数を増やすため、栄養価の高い牛の肉を食らい続けてきた。


 そろそろ、数も揃ってきた。

 数に任せ、牧場の牛をすべて攫う。


 そして、数の暴力は牛だけではない。

 人間にも通じるはずなのだ。

 今から、人間の腹を捌くのが楽しみでならない。


 そして、襲撃の時は、明日の夜だ!



***



 その頃、オレは牧場の清掃だけでなく、牛の連れ出しや、餌の管理などの他の酪農作業も行い、牧場経営者とギルドから、「真面目によく働く奴」という評価を頂いていた。


 すると、経営者の妻、通称、おカミさんから、

「明日の夜は、ウチで食事会をしようと思うの。蒼井さんも食べて行って」と声を掛けられ、明日の夜は、他の従業員と共に食事をしていく事になった。


 そして、ギルドという、異世界のハローワーク通いのお兄さんである蒼井にとって、明日の夜は"衝撃の一夜”になるのであった。


 

***


次の朝、『ギルドへ寄ってから、牧場へ行くこう』と、まずはギルドに寄った。


 すると、カウンターの奥から、中間管理職らしき男性に呼ばれ、なんと、男は「ハンター資格を受けないか」と言うではないか!?


 町の清掃、牧場の清掃、酪農作業を問題無くこなし、経営者からの話では『好評だ』とのことで、ハンター資格を受ければ、Eランクは問題無く合格するとのことだった。


 この世界では、ハンター資格があれば、同じ仕事でも報酬に上乗せがある。

 それに、別の町の依頼も受けられるようだ。国の中で活動するということなのだろう。


 勿論、答えはイエスだ!


 答えを聞いた男性は、奥に入り、しばらくすると出てきて、こう言った。


「マスターがお会いになるそうですよ」


『マスター? 誰やねん』とは言えず、

「わかりました」とだけ返答し、奥に入ることにした。


 マスターは、50歳前後の年齢にみえる。

 しかも、しっかりした体型をしているので、今も鍛えているのか、元ハンターだろう。


 そのマスターからは、「良い仕事ぶりだと聞いているよ」とお褒めの言葉を頂いた。


 まあ、良いと言われても、清掃だけしかしていないのに、良いもへったくれもあるものだろうか?


 それには、軽く頷く程度のオレだったが、幾ばくかの質問に答えると、


「ハンター資格、Eランク、合格だ」とマスターが口にした。つまり、オレはハンターになったということだ。


 唐突で、拍子抜けしたが、『合格』と言われると嬉しいものだ。


 まあ、実際は、ギルドとしては、使いやすい低ランクのハンターが欲しかったのだろう。


 受付嬢曰く「人手不足」らしいしな。


 それでも、これからはハンターだ。討伐も、遠征も出来て、稼ぎになる。

 いきなりの面接試験だったが、パス出来たので、ノープロブレムということにしよう。


 さて、ギルドから牧場へ行くと、従業員と経営者が話し合っていた。


 「不思議だ!」「不思議だ!」と繰り返し、念仏のように唱えている。

 「不思議だ!」に、ご利益でもあるのか?

 

 冗談はさておき、「おはようございます」と声をかけると、経営者が不思議の解説をしてくれた。


 どうやら、昨日はゴブリンの襲撃が無かったようだ。

 それは、他の牧場も、同じで気味が悪いと話題になっているとのこと。

 牛にも危害がなく、牛舎への悪戯もなかったようだ。


 しかし、昼過ぎになると、皆、自分の仕事に専念しており、このことに気に留めるものは、誰もいなくなっていた。


 そして、終業の時刻がやってきた。

 まもなく、夜になる。




 次回の空手家は、“ゴブリンアタック”、奴らがやって来た!


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