4.墓守
第4話
墓守
オレは、スケルトンを壊しに壊した。
それでも、スケルトンは減らない。。。
今、思うと、何故、山小屋が頑丈に作られていたのか?
スケルトンのようなアンデッドが徘徊しても、身の安全を確保出来るためだったのだろうか。
このままでは、じり貧だ。
囲まれてしまう。
しかし、墓地の出口に向かって、行けば、何とかなるかもしれない。
墓地の出口に近付くに連れ、死後の期間が短い墓石が多くなってきた。
このことが、どのような意味を持つか、スケルトンを壊すことしか、頭にないオレには、まだわからなかった。
そして、墓地の出口が見えてきた。
あと少しだ。何とか……
次の瞬間、見たことのない怪物が現れた!
「くそ、新手か?」
これは、ゾンビではないか?
唸り声を上げながら、犬歯をこちらに向け、近づいて来る。
スケルトンは、接触しても物理的ダメージ以外に問題はなかったが、こいつは厄介だ。
噛まれるとゾンビにさせられてしまう。
『こいつと、どう闘うのか? スケルトンみたいに壊すのではないはずだ』
そして、オレは試してみた。
まず、ロングソードを心臓に刺突してみたが、効果はなかった!?
痛みはないようだ。
それどころか、ゾンビは心臓にロングソードが刺さったまま、オレに手を伸ばし、オレを掴もうとしている。
しかも、犬歯をむき出しにして、噛もうとしている。
「危ない」
このままでは、ゾンビにさせられてしまう。
その刹那。
危機を感じたオレの脳裏に、怒りの電撃が走った!
『左上段回し蹴り!』
こんなところで、ゾンビ等にさせられてたまるか!
それは怒りとなり、身体を動かした。
オレの左足がゾンビのこめかみを強打した瞬間。
ゾンビの頭部は、大々的に爆裂した。
夏の海岸でスイカを叩いて、割ると言うか、破裂する時がある。
まさに、あのスイカである。
頭部を失ったゾンビは、膝まづいて倒れた。
「ゾンビの弱点は頭部なのだ」と、オレは理解した。
それからと言うもの、オレはゾンビの頭を砕いた!
砕きまくった!
それでも、数の暴力はすさまじく、押され気味だ。
『このままでは、出口が遠ざかる』
オレは疲労もたまり、後ろのゾンビに対応できなくなっていた。
「ガウゥ」と、後ろのゾンビが急接近してきた時、地鳴りのような振動がした。
馬でも走っているのだろうかと言う振動だった。
「ワオォォン」
見ると、あの時の大型犬が、ゾンビの頭を加えていた。
頭を失ったゾンビは、膝を付き倒れてしまった。
『これは、チャンスだ! 一気に押し込め!』
オレは、出口に向かい一気に、押し込んだ。
そして、墓場を出ると、驚いだことに、ゾンビもスケルトンも墓場から出ることはなかった。
「こいつら、墓場を守っているとでも?」
そして、大型犬を見ると、犬というより、精悍な顔立ち、まさか狼なのか?と思考していると、彼は“仕事を終えた”と言わんばかりに、あっさりと立ち去ってしまった。
まるで、仔牛のようにデカい犬だった。
『また逢う機会はあるだろうか?』
なんだか彼は、オレのことを知っているような態度に感じた。
また、山小屋の所有者が、戻ってこない理由は、あのアンデッド達に襲われでもしたせいだろうとも思った。
今頃、ゾンビにでもされたのだろうか。
さて、オレが、墓地を駆け抜けた時、アンデッド達は、オレを追うのをやめていた。
どうやらこいつらは、墓場からは出られないらしいが、まだまだ、墓場は多くのアンデッドが徘徊している。
ちょっと山小屋から出るつもりが、もう戻ることは出来ないようだ。
「こんなことなら、もっと食料を持ち出すべきだったな」
とりあえずは、お茶にするため、オレは火をおこすことにした。
次回の空手家は、西部の荒野に行きます。