16.百発百中の弱点を探せ!
16.百発百中の弱点を探せ!
アニーの足音がする割に近づいてこない。
何故だ?
苛立ちのあまり、オレは、つい顔を障害物から出して確認をしてしまった。
すると!
そこには、今まで、足音と思っていたものは、ファイヤーボールが地面に転がっており、炎が地面を焼いていた音だった。
「奴はどこだ? どこにいる?」
状況は、一気に動き出す。
「奴は近くにいるはずだ。まさか上か?」
しかし、障害物の上には、アニーの気配は無い。
「どこだ?」
次の瞬間、アニーが現れ、「ファイヤーシューター」と右手を上げ、叫ぼうとした瞬間、オレは後ろに飛のいた。
それが、捨てた木剣をジャンプで超える形となったようだ。
その木剣の火は煙を上げている。
まだ、火は消え切っていないのだろう。
その時、アニーが止まったのだ。
なぜ?
しかし、オレはその瞬間を逃さなかった。
逃げながらも、投擲を行い反撃を行う。
そのため、アニーは、ナイフ型を叩き落すため、今日、4つ目のファイヤーボールを使うことになった。
『何故だ? 奴は何故、ファイヤーシューターを撃たなかった?』
そう考えるオレの横には、先ほどの煙を上げている木剣の破片が目に付いた。
――まさか!?
「試してやる」
一か八か、これに掛けると決意し、オレは障害物の全くないところへ駆け出すことにした。
***
それを見ていたマスター達は、「なに?」と驚きの声を上げていた頃、次のファイヤーシューターが蒼井を襲っていた。
しかし、アニーから放たれた炎の玉は、“ボン!”っという音を上げ、霧散していった。
百発百中のはずのファイヤーシューターは、オレには当たらなかった。
そこには、木剣の破片が、先と違い、よく燃えていた。
今日、5発目のファイヤーボールもオレには当たらなかったようだ。