13.Dランクハンター
第13話
Dランクハンター
翌朝、皆が興奮状態から落ち着き、あることを思い出した。
おカミさんとリコのことを……
屋根裏部屋に二人を隠したのは良いのだけれど、ハシゴが無いので、自分からは降りれないのでは?
まあ、ややこしいことは、おやっさんに任せよう! そうしよう!?
すると、
「なあ、屋根裏部屋見に行ってくれないか。頼むよ」とおやっさんがレイに頼んでいるのが、見えたので、オレはトイレに行くふりをして、逃げることにした。
おカミさんとリコは、一晩、トイレはどうしたんだろうなぁ。
しばらくして、ギルドから使いが来た。
このオレに用事らしい。
何だろうか?
「ギルドマスターが喚んでいる」
と連絡があったので、使いの者とギルドへ行くことにした。
ということで、オレは屋根裏部屋の問題とは無関係ということだな。フフフ。
さて、ギルドに着くと、受付で、「奥の会議室へ行くように」指示を受けた。
会議室に入ると、Cランクハンター“毒堀出井”とマスターが、既に話をしていた。
「マスター、お呼びでしょうか」
「隼人か、昨晩は大変だったな。まあ、座ってくれ」
まずは、腰を掛けて、マスターの話を聞くことにした。
「隼人、ゴブリン共のことなんだが、町として討伐することにした。君にも協力をお願いしたい。依頼を受けてくれるかね」
これに関しては、断る理由もない。
うちの牧場もゴブリンに苦汁をなめてきた。
オレもハンター資格も持っているし、何より町のため、牧場のためだ。
「それと、昨晩の件だが、ゴブリンロードを倒したのは、君で間違いないかな?」と聞かれたが、ゴブリンロードなんて強い奴はいたのか?
「どいつがゴブリンロードなのか、わからないな。皆、大したことはなかった」
というと、毒堀は、「コイツめ」と言った具合にニヤリと笑ったようだ。
「人間の大人ぐらいの大きさの奴だ」と、マスターが補足してくれた。
つまり、あの棍棒の奴だ。
確かに、倒したゴブリンの中にも、大人サイズのゴブリンがいたな。
「相手した奴に、そんなのがいた」と答えると、マスターと毒堀の二人は、互いの顔を見ながら頷いている。
「この町に、ゴブリンロードを素手で倒せるハンターは、そう多くない。Dランクハンターの昇格試験を受けて欲しい」とマスターから、説明を受けるが、こちらとしては、そんな強い奴と闘ったのだろうか、まったく持って疑問だな。
おそらく、元ハンターの牧場経営者の夫婦が倒したのに違いない。
オレは、人の手柄を横取りしているのではないだろうか?
心配なので、その旨を伝えると、
マスターからは、「そいつは、試験を受験すればわかることだ」という。
このギルドマスターも頑固だな。
マスターたちも引きそうにないので、このゴブリン討伐の依頼の後に、Dランクハンターの資格試験を受験することにしておいた。