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【完結】死後の世界は人手不足 【ビルドアップ版】―鍛えなおして、オレが帰ってきました―  作者: 井上 正太郎
序章 炸裂! 人智を超えた速さ“高速上段突き”
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1.炸裂! 人智を超えた速さ“高速上段突き”

第1話

炸裂! 人智を超えた速さ“高速上段突き”


 

「呆気ないものだな」と言った男の前には、首を折られ、口から血を履いて倒れているブラックベアがいた。


 何があったのだろうか?



 ブラックベアの前に立っていた男が、まるで駆け出すかのように、突っきった瞬間、ブラックベアは倒れていた。




 立ち上がると2メートルはあり、体重は200キロはあるだろうブラックベア。


 その爪は、人はもちろん、鹿や猪の内蔵も(えぐ)るだろう。


 その牙は、容易く人の頭蓋骨は砕くだろう。


 この森において、ブラックベアは獣であるが、間違いなく強者だ!



 しかしだ!


 ブラックベアは男の前に倒れていた。


 顔を男のブーツに踏みつけられていた。



 次の瞬間、草むらからオーガが現れた。


 今度は、明らかな魔物だ!




 鬼なら金棒を持っているというイメージがあるが、このオーガは、「人間などに武器は不用だ」と言わんばかりに、素手で男に挑んできた。



 その行為に、男は苦笑した。


「愚かなッ」




 鬼の力に人間などが適うはずがない!

とは、このオーガの経験測なのだろう。


 右腕で渾身の力で殴りつけてきた。



 だが、次の瞬間、オーガは悲鳴を上げた!


「ぎぃやあ」


 右腕を抱え、後ろに、2歩3歩と退く鬼の形相のオーガ。




 オーガが右腕で殴ろうとした瞬間、男は自身の左足でオーガの右肘の数センチ上の急所をブーツの先端で蹴り上げていたのだ。




 オーガは痛みに堪え、今度は左腕で男を殴ろうとしたが、男が左右の掌を蝶が舞うように動かし、拳を捌いてしまう。


 次の瞬間、地面がドォーン!と、凄まじい音を響かせた。




「高速上段突き!?」




 オーガの喉に男の拳が刺さる。


「ふぎゅああぁぅ」


 オーガの喉の骨は砕かれ、男の拳はオーガの頚椎まで貫通した。


 そしてオーガの頚椎は粉砕される。




 粉砕された骨は首から飛び出し、オーガの口からは血を吐いた。




 次の瞬間、オーガは地面に倒れ、男は駆け抜けるように、オーガの背面に立っていた。




 その姿は、昔、テレビアニメで見たサイボーグ戦士の加速装置か、はたまた、3つで1つの合体ロボのマッハスペシャルか?


 何れにせよ、一瞬の出来事で、この男以外に、今の出来事を理解できた者は、ここにはいなかった。



 そう、そうなのだ! この技が、人智を超える高速の拳“高速上段突き”と言われる日本の伝統派空手の技であることを、ここにいる誰も知らない!



 さて、ひと仕事を終え落ち着いた男は、腰の水筒から緑茶を飲みながら、こう思った。


「緑茶を飲めば、空手が冴える」と。



***


 オーガが倒れ、ドッと安堵の声が広がった。



 男の周りには、革の鎧や頭部や心臓等の胸に最低限のプレートを付けた軽装歩兵の様な身なりの男達がいた。



「マジかよ! 素手でブラックベアとオーガを倒したぞ」


「素手だぜ!?」


 といった声が聞こえてくるが、男は気にする様なところはなく、平然とお茶をキメていた。


 そして、本日のお茶は、この世界でメジャーな通販業者である“楽々天国”で取り寄せた“うじ茶”だ。


 すると、


「ハヤト! 空手って、マジでスゲーな」と興奮気味に話してくる少年は、いわゆる冒険者で、昨年冒険者になったばかりの15歳だった。


 恐怖から解放された少年の目は、憧れのヒーローを見る目と化していた。


 そして、少年の話しかけている男こそは、蒼井隼人という日本人だ。



身長175cm


体重80キロ弱


32歳


 ややガッシリしているとはいえ、勇者でもなく、また、魔法を使うわけでもない、この男のどこに、素手で3倍近い獣や魔物を倒せる力があるのだろうか?




 その不可能を可能にする空手とは?


***


 そう! 


 思い起こせば、蒼井隼人と空手の出合いは、隼人が高校時代に空手道部に入部したところから始まる。


 隼人は大学でも空手を続け、卒業後は町道場へ通い、現在は、流派段位・公認段位とも三段位である。



 流派段位とは、通っている道場、または道場が所属する流派が発行する段位である。


 一方、公認段位とは、日本体育協会所属の全日本空手道連盟が発行する段位のこと。


 この公認段位が無ければ、国体、つまり国民体育大会の予選等に出場することが出来ないという公のもので、流派段位が何段であれ、国民体育大会には出ることは出来ない。




 その公認段位が三段位ということは、『一通りの基本は出来てますよ!』ということだ。



 その空手の基本が出来る蒼井隼人が、この世界に来たのは、つい3ヶ月ほど前のことであった。



 次回の空手家は、サラリーマンをしていた蒼井に、突然の病魔が迫りくる。

 第1章 ひとりの山小屋

 こうご期待!?

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