シスターは泣かない
そしてあれから3日後……
他のシスターに起こされる
「なんだよこんな朝から……」
「貴女をご指名なのよ早く!!」
彼女は煙草を咥えながら下に降りていき扉の先の人物達と相対する
他のシスター達は奥の方から見ている
彼女は眠そうに欠伸をしながら煙草を吹かし壁に寄りかかる
そこには数名の騎士達がいた
皆抜刀体勢をしながらこちらを見つめてると1人の騎士が跪く
それを見て周りの騎士が動揺する
その騎士は年老いていて明らかに強そうで周りから
「団長!!?」
「なぜそのような事を相手は反逆者であります!!」
「頭を上げてください!!!」
しかしその男は周りの言葉など意にも介さずこう続ける
「……申し訳ございません 貴女をお連れしなければなりません」
「案外遅かったな で?誰が言ったあのガキか??」
「はい 私や他の者も反対したのですが……聞く耳すら持ちませんでした」
「……誠に不甲斐ない」
隊長はただ悔しそうにしているが周りはそうでも無い
その彼女の言葉遣いなどもあり今すぐにも斬りかかろうとするが
「貴様何をしてる!!!最初に動くなと言ったはずだ!!」
隊長が斬りかかろうとした部下をぶん殴った
騎士達は更なる動揺を見せる
「本当に申し訳ございません 彼らは何も知らないのです……だから」
「気にしてねぇよ いちいち頭下げんなめんどくせぇ」
「ったく もういい帰れ後で行く」
それを聞きすぐさま団長は下がり馬に跨り
他の騎士達はもう何が何だがと何もわからない状態で帰っていった
「行くのですか?」
神父が問いかける
「あれは仮にも王の騎士だからな公私混同すんなよな全くまだまだヒヨっ子だなありゃ」
本来であればすぐさま連行しなければ行けない
話などもする必要すらなく容赦なくしなければいけない
それが王の命令であれば絶対であるがあれはそれをしなかった
しかもだ 王の命令より彼女の命令に従う程であった
「は~めんどくせぇ」
「貴女が決めた事ですからねぇ知らないのも無理はないじゃろうな今の王は」
神父は少しも心配すること無くただそう言う
「…………」
ただ彼女は煙草を吹かす
……良いんだよ過去の人間は知られ続けるべきじゃねぇ
どこかで関係は切るべきなんだよ
彼女はそう呟き部屋に戻っていき
そのまま今日1日彼女を教会内で見るものは居なかった
彼女は着替えを済ませると空間に穴を開けそこを潜ると豪華な部屋に入った
そこにはかなり年老いた人がおり彼女を見るなり驚く事なくただ挨拶をする
「おぉ……お久しぶりです まさかまた貴女に会えるとは」
「しかし…何故このような所に」
「お前の息子に呼ばれたんだよ処刑だとよ」
それを聞き立ち上がる
「なんと!!申し訳ない我が愚息が!!」
「我も着いていく事をお許しください」
彼女が頷くとすぐに王が居るところまで移動する
道中色んな人が煙草を吹かしてる彼女を見て奇っ怪な顔をするがすぐに隣の先王を見てすぐ頭を下げた
そして王がいる部屋にたどり着く
「おぅ 来てやったぞ」
扉を勢い良く開けながらそう言った
「き…貴様!!なにもの……!!」
王が言いかけると隣に居た先王が近づき王の顔をぶん殴った
それを見た彼女が口笛を鳴らす
「お 腰の入ったいいパンチじゃねぇか 覚えてるんだなちゃんと」
「貴様!!止められたのではないのか!!!皆に言われたのではないのか!!!!」
「ち…父上……何を????」
急に殴られ物凄い剣幕で怒る先王に混乱している
「貴様が……何をしようとしたかわかっているのか!!!」
「大臣も騎士団長も止めたのではないのか?どうなんだ!!」
涙目で頷く
「ならばなぜ強行した馬鹿なのか!!」
しかしここで現王が対抗する
「しかし仮にも騎士が馬鹿にされ勇者や聖女まで無理やり追い出したのだぞ大罪ではないのか!!!」
「っ……!!それだけの事で」
すると突然先王が崩れ去りながら咳き込む
しかも普通の咳き込み方じゃないそのまま横になり苦しそうにする
「ち…父上!!だ…大丈夫ですか!誰か!!誰かいないのか!!」
現王が叫ぶと数名が現れすぐさま先王を寝室運び込み
すぐに治癒の出来るものを呼ぶように指示する
どうやら大分前から身体にガタが来てたらしい
「貴様 とりあえずは不問するシスターであろう助けてくれ!!」
「…………」
「頼む……助けてくれよ」
彼女は返事もせず煙草を吹かし見ているだけすると
「教皇様をお連れしました」
と言われ中に入れる
どうやら現教皇を連れて来たらしい
教皇が王を見て周りを見渡すと同時に彼女を視認して驚く
「なぜ……貴女が………いえなんでもございません」
すると彼女が聞く
「……回復出来ると思ってるのか?」
「良いじゃねぇか せっかく死ねるんだそのまま死なせろよ」
それを聞き現王が掴みかかる
「貴様先程から!!なんなんだ父上もそうだそこの教皇もそうだなんなんだよお前は何を知ってる!!!」
すると騎士団長が入ってくる
「王よ!!何をしてるんですかその手を離してください!!」
「貴様もなぜこの女を庇う!!」
しかし皆言えないの一点張りで現王も納得いかない
「手を……離すが…いい馬鹿息子よ……」
先王の意識が戻るがさっきまでの元気がない
「おぉ……教皇殿に……団長殿も…………」
2人とも跪く
「もう……治らないので…あろう?」
「はい……無理です友よ」
「気にするな……」
「団長…いや親友よ………貴様も済まないな…こいつの事を頼むぞ……」
「……はい 」
「すまないが……少し彼女と…2人っきりに………してくれ」
騎士団長と教皇が頷くと彼女を除いて外に追い出し
扉の前に立ちはだかるが現王だけが納得いかない
それもそのはず実の息子よりもあの訳のわからない女を優先したからだ
「なんでだよ!!訳分からねぇよ……」
彼女は相変わらず煙草を吹かす
「手をだせ」
先王が言われた通りに手を出すと彼女が手を握る
「多少はまともに話せるようにした どうだ?」
「……あ ありがとう」
「良い どうせこんな事じゃ寿命なんて伸びねぇ」
先王が微笑む
「そうですな そしたら苦労もしない」
「……怖いか?」
首をゆっくりと振る
「いえ 最後に貴女に会えたのだから貴女は昔から変わらない口も悪く無愛想」
「そうだな こればっかしは変えられんからな」
「貴女が来た時に思ったよ今日死ぬんだなと……」
「子供の頃から貴女は私を見てくれた産まれた時から…」
「でも途中から来なくなった」
「……そんな貴女が急に来たのだ死ぬんだなと悟りましたよ」
「それじゃあまるで死神だな私は」
「ホッホッホッ……そうですな」
少しの間無言になる
「………悲しんでくれますか?」
「………」
「………何も言ってくれないのですか?」
「…………」
「……そうですな 貴女はそうゆう人でしたな」
「父や母に会えますかな?また昔みたいに遊んでくれますかな?」
「…………さぁな もうゆっくり眠れそしてクソな神にでも願ってな」
その言葉を聞き先王はゆっくりと微笑みながら力尽きる
「……悲しまないほど人間性は捨ててねぇよ」
先王を抱擁しながらそう呟き
椅子に座りながらただ煙草を吹かすのであった