聖女と勇者
私は今日初めての実戦訓練の為に王都を出て魔物を討伐をするはずだったのになぜ……
こんなことに………
勇者様はお怪我をし回復魔法も私が拙いばかりに上手くできず
守りの騎士様達も何かを叫んでおられますがその一瞬の隙を突かれて皆倒れてしまい
私の人生はここで潰えるのですね……
そう思い死を覚悟したはずだったのに
「私に会ったのが運の尽きだクソな神にお願いして次はいい人生を歩みな」
目を開けゆっくりと前を見るとそこには修道服を着た彼女が煙草を吹かしながらそう言っていた
拳を重点に身体中は血に濡れ臓物はそこら中に転がりとてもシスターとは掛け離れた姿を見て私は気絶した
目が冴えるとそこはどこかのベッドだった
「うっ……臭い………」
起きるなり煙草の匂いが鼻に刺さる
辺りを見渡すと1人の女性が椅子に座り煙草を咥えながら睨んでいた
「すみません……ここは」
「………」
彼女は答えてくれませんただ睨むばかりそこで気づく
「ほかの皆様は!!?大丈夫なのですか!!!騎士様や勇者様は!!」
彼女に詰め寄り必死になり懇願すると
「ギャーギャー喚くな生きてるよ 今隣の部屋で寝てる」
「ったく なんだって私がこんなクソガキのお守りしなきゃなんだよ嫌味だろ」
彼女はそう言って煙草を咥えもう一本吸い始め私に煙を吹きかける
それに思いっきり噎せてしまう
「ゴホッ...ヴ...ゲホッゴホッゴホッ...」
そこでようやく気付く彼女の服が修道服だと事
「貴女…ゲホッ仮にもシスターなのでしょ……」
「はっ…だったらテメェは聖女の癖にまともに回復魔法も結界魔法も聖女特有の強化魔法も使えねぇのかよ仮にも聖女様だろ」
彼女は鼻で笑い私を見ながらニヤニヤしながら嫌味ったらしくそう言う
ぐぅのねも出ない……
確かに私があの時ちゃんと出来ていれば多少は結果は違ってた筈なのに
騎士様を怪我させあまつさえ勇者様の力になると決めたはずなのに
戦闘になっても練習通りの力が出せると私は出来ると思ってたのに
現実は何も出来なかったただその場で泣き崩れ死さえ覚悟した
それをあまつさえ自分と同じ歳ぐらいのシスターに諭され私は自分の不甲斐なさにいつの間にか泣いてしまっていた
「…………めんどくさ」
聖女はその場で泣き喚く
しかし彼女はあやす訳もなく舌打ちを少し苛立ちを覚え部屋出ていき
代わるがの如く騎士や勇者と言われる奴らが中に入っていく
「お前が言おうとしたのってコイツらだろ」
「えぇ……面白いでしょう」
「全く……面白くもなんともねぇ腹が立つ」
神父はいつも通りにニコニコと受け答えをする
ただその場で2人で聖女を慰めたりしてる彼らを見ながら
ただ何もせず見つめるだけ
…………勇者か
勇者……世界で魔王が誕生すると一緒に現れる救世の者
かの者が振るう聖剣は悪を祓い皆に安心を与え例えどんな過酷な状況でも諦めず打破する力を持ち皆に愛される存在
それがここに居るってことはそうゆうことであろう
しかし彼女にはもう関係ない事
「お前ら起きたんなら帰れ 4時間もすれば歩きでも帰れるだろ」
それを聞き騎士の1人が詰め寄る
「助けてくれた事は感謝するがそれは一介のシスター風情が決めることか!!」
「知らねぇよ ただでさえそこのガキにベッド占領されてんだぞ?こっちはテメェら運ぶのに疲れてんだよ」
騎士が顔を真っ赤にさせる
「我らは王都に使える直属の騎士であるぞ それの頼みを断ると言うことは反逆罪とみなしこの場で首を斬ることも出来るのだぞ!!」
彼女は騎士の胸当ての紋章を指差しながら
「その直属の騎士様は?たかがオーク1匹に騎士が3人に勇者と聖女が居て?合計5人もいるのにやられてるようじゃねぇ王都の騎士は随分と弱体化したんじゃないの?」
小馬鹿にしたようにそう言い離れると同時に騎士が剣を抜こうとするが
既に彼女が抜いて手に持っていた
「帰るんなら返すよ?外はまだ明るいが早く決めないと夜が来てグールやレイス等が湧くだろうねぇ聖女がいても力がまともに使えないんじゃ危険だろうねぇ」
彼女はそう言いながら剣で遊ぶ
騎士は苛立ちを隠さず顔に出しながら皆に提案しそのまま
部屋を後にして村から出ていくのを確認する
「良く言いますのう ここらじゃ出やしない魔物の癖に」
「良いんだよ アレらを見てると非常に腹が立って死にたくなる」
「昔を思い出すってやつですかのうホッホッホッ」
神父はそう言い残しその場を後にし
ただ彼女は煙草を吹かしそれらの後ろ姿を教会の中からただ見つめていた