②オネムちゅまちゃん
読んで頂き有難うございます。
「ちゅかれたあ〜」
今の時間は20時。遅いなあと思いつつゲームをして待っていたらちゅまちゃんが帰ってきました。今日は朝の7時半から働いていたちゅまちゃん。お疲れモードですが、可愛い仕草でいつも通り少しジップが開いたリュックを床に下ろしています。
「おじちゃんお腹空いたでしょ? 遅くなってごみんねえ」
「ううん、お疲れちゃん。大丈夫だよ」
「今日はお蕎麦とか簡単なのでも良い?」
「ちゅまちゃん、携帯持ってこっちおいで?」
「携帯? 何でぇ?」
ちょこちょこと歩いておじちゃんに近づくちゅまちゃんを隣に座らせてギュッとしました。ちゅまちゃんはギュッとされるのが好きだからです。
「今日はご飯お休み。出前でもとろ?」
おじちゃんは料理が出来ません。作ってあげたい気持ちはありますが、これだけはお手上げです。
ちゅまちゃんに出会った時、おじちゃんには理想のちゅま像がありました。
1に一途な人 これは絶対条件です。
2に料理 おじちゃんは料理が出来ないから。
3に向上心で、4にあまり愚痴を言わない人。
おじちゃんはバツイチ男です。前の結婚はおじちゃんにとって……… そう修行でした。この言葉が1番当てはまると思います。
清掃業を仕事にしてるおじちゃん。最初の頃は全然稼げず、前奥さんからお金が足りないと言われてしまい、朝、昼、夜、1日中働いていました。今のおじちゃんの歳には死んでるのでは? と思う程です。1日の睡眠時間は平均で2時間くらいでしたでしょうか。
おじちゃんと前奥さんは19歳の時から付き合い、8年後に子供を授かり出来ちゃった結婚をした訳です。前奥さんは綺麗な人で、おじちゃんにとって高嶺の花でした。
こんな綺麗な人と結婚したからには頑張らなきゃいけない。子供にも不自由な思いはさせられない。
そう思い、ずっと働いていましたが前奥さんから出て行けと言われ、6年前の12月31日、大晦日に家を出る事になりました。
おじちゃんはお金を稼ぐ為あまり子供と過ごせず、家族団欒を知りません。離婚してから色々と考えさせられました。ちゅまちゃんに良い思い出はなかったの? と聞かれても特に思い出はなかったのです。
温泉とかで良いから、家族皆で旅行とかしてみたかったなあ… と頭にぼんやり浮かんだくらいです。
稼げば稼ぐ程ご飯の用意がされなくなり、お弁当も作って貰えなくなりました。前奥さんいわくめんどくさいとの事です。
おじちゃんにも悪い所はありましたし、色々と反省しています。もう少し頑張らない? と子供の為にも訴えましたが、無理でした。本当に申し訳ないです。
ただ反省していく中で、離婚してから良い人に巡り会えたらなあと、初詣の時に期待しないながらも祈りつつ理想のちゅまを思い描いていました。
そこで登場したのがちゅまちゃんです。ちゅまちゃんは知れば知るほどおじちゃんの理想とする女性でした。2年経った今でも正に理想のちゅまです。
料理は美味しいですし、人の事を悪くも言わず愚痴もあまり言いません。むしろ言わなすぎて心配になるくらいです。それにおじちゃんの事を一生懸命考えてくれますし、週1回の買い出しもおじちゃんが食べたい物を中心に買ってくれます。
「今日お休みしても良いの?」
「ええねん。いつもありがと、ほら何食べる?」
ちゅまちゃんはパァッと顔を喜ばせて出前アプリを見出しました。凄く可愛いおじちゃんのちゅまちゃん。疲れてるちゅまちゃんにご飯を作ってなど絶対いえませんし、何よりも大切にしたいのです。
ニコニコとするちゅまちゃんを横目におじちゃんはゲームを再開しました。
〜〜 40分後 〜〜
「ちゅ、ちゅまちゃん?」
目の前に座るちゅまちゃんはウトウトし始めました。ちゅまちゃんの右手にナイフ、左手にはフォークが握りしめられています。
頭を左右に軽く揺らしながら食べるちゅまちゃんはまるで子供のよう。目はとろ〜んとして、今にもなくなりそうな勢いです。
か、可愛すぎる!
おじちゃんはちゅまちゃんの可愛さにたまらなくなり、目に焼き付くようじっと見てますがちゅまちゃんは気づきません。頭を揺らしながらピザをもしゃもしゃと一生懸命頬張っています。
どうにか食べ終えたちゅまちゃんを無理矢理お風呂に押し込み、おじちゃんは先程のちゅまちゃんを思い出してニヤニヤです。こんな顔は絶対見せれません。
ゲームを再開し夢中になっていると、お風呂から上がったちゅまちゃんが真っ先にベッドへ向かっていきました。モゾモゾと動く音がしたので見に行けば、モコモコのパーカーのフードを被ったちゅまちゃんは膝を抱きしめて寝ています。
「可愛い!!」
思わず口に出してしまい慌てて口を塞ぎます。うちの理想のちゅまは、何故こんなにも可愛いんでしょうか。
スピスピと寝息をたてるちゅまちゃんの頭をぽんぽんし、お約束のキスをします。今日も可愛いおじちゃんのちゅまちゃん。
神様とちゅまちゃんに感謝しつつ、ベッドへ入りちゅまちゃんを抱きしめて目を瞑りました。ちゅまちゃんの体温はとっても温かいです。こんな毎日が送れるなんて、おじちゃんは幸せです。
ちゅまちゃん、いつも本当にありがと。
おじちゃんの惚気に付き合って頂き感謝です。