リカの1日2話「プレゼントが欲しい」
読んでね。
「今日は何の日か知ってる?」
さり気なく訊いてみた。
「うーん。エイプリルフール?」
「そうだけど、私の誕生日でもあるよ」
そう。4月1日は私の誕生日だ。
今年で20歳になる。
20代最初の年だ。
「そうだったね。でも、残念。プレゼントは用意してないんだ」
「えー。ひどいっ!」
「嘘。ちゃんと用意してるよ。今日はエイプリルフールでしょ?あえて嘘ついてみた」
よかった。
「2問中1問でも正解したら誕生日プレゼントをあげるよ」
「オッケー」
絶対手に入れてみせる。
私は気合を入れた。
「第一問。方丈記の作者は?」
むむむ。
難しいの来たな。
とりあえず、当てずっぽうで言ってみよう。
「細川たかし!」
すると、笑われた。
「その人、演歌の人。正解は鴨長明」
そんなの答えられないよ。
次は絶対正解しないと。
よし、がんばろ。
「第二問。謎かけの問題。『時計』とかけて『若い人の肌』ととく。そのこころは?」
リカの脳内は高速で回った。
あれ?わかったかも。
もしかしたら、プレゼントを手に入れたいという強い思いが、リカを閃かせたのかもしれない。
「どちらも針(張り)がある?」
「正解!よくわかったね」
あーくんは驚いた顔をしていた。
やったあ。
「約束通りプレゼントあげるよ。はい」
そう言うと、バッグから小学生の漢字のドリルを見せてきた。
何?これがプレゼント?
20歳の私にこれ?
「これがリカにはちょうどいいよ」
「バカにしてるでしょ!」
「冗談だよ。本当のプレゼントはこれ」
私の愛用のリップと同じものだった。
純粋にうれしかった。
「ありがとう」
今日はいい日であった。
読んでくれてありがとう。