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しんぎゅらりてぃぽいんと!!  作者: ナムナム
7/8

ホームシック!

今何時だろう、ここに来る時にはまだ太陽が沈んではいなかった。


多分自分の腹時計が正しいのならば夕方になる前かな、4時くらいだと思う。


瓦礫に座りながらライトを付けて周囲を見渡す、気絶している埃エルフさんがぶっぱなしていた魔法が着弾した後の場所には抉れた床や貫通して風通りが良くなっている部屋の壁が見える。


改めて思う、もしかしてこのエルフさん結構強い人なのかもしれない、こっちの装備がおかしい性能をしていただけで何にもない状態なら胴体辺りが綺麗に消し飛ばされて文字通り瞬殺されていたのだろう、ホントこの服すげーや。


まだ少し痛むお腹をさすりカバンの中から圧縮食料を取り出した、あまり美味しくないと評判だけども一番売れている商品だ。


缶の中身はチョコレートバー5本にビスケット10枚に小型浄水フィルターが1ヶ月分入っている、なにが圧縮かと言うとカロリーだ。


手に取ったこれはチョコレートバー、これ一つで雪山で遭難した大人が10日生存して無事に救助されたと言う逸話だったり伝説があったりする。


銀紙を破いて一口齧る・・・うん超甘い、糖分って奴をこれでもか!これでもか!って詰め込んだような外国のお菓子の倍は甘い、もう甘すぎて見た目がチョコレート色な以外にチョコレート要素がない、けれども後味は悪くない、良く売れる理由は超カロリーと携行性、あとは後味の良さだと痛感した。


齧りながらも絶賛気絶中のエルフさんを見る、暗くて顔はよくみえないが耳長種とはとても美人美形が多いが人とは違う価値感を持っている為、地球でもあまり友好的ではあるが好意的ではない種族と図鑑に載っているくらいである。


会話の内容や死生観などの違い等々のいくつものハードルを越えて結婚生活を営む物好きが日本にもいるが大抵が変人や奇人、英雄や勇者という人物くらいしか聞いたことがない。


まともな感性の持ち主ではパートナーとして決定的にズレが生じてすぐに根を上げると言う。



「ぐッ、私は・・・」



「おはよう?こんにちわ?」



「貴様!なんだ?動けない、貴様!解け!これを!」



うわぁ、すごく怒っていらっしゃる、ガッチガチに縛り上げた手足を揺らしながら物凄い形相で睨んできてらっしゃるよ。



「ドウドウ、深呼吸しよう?名前言える?ニンジン食べる?ないけど」



「貴様!私は馬などではないぞ!バカにするな!」



「いやいや、バカにするも何もその状況でよくそんな威勢が出るなと感心したりしなかったり」



ゴメンちょっと鼻息が凄く荒くて馬みたいって思ったからなんだよ、ホントにゴメン。



「うんまぁそのさ、あんたって何でここにいるの?何かここに用事でもあったの?」



ストレートに聞いてみる、回りくどい聞き方とかやり方よりこっちの方が断然楽で断然速いかもしれない。



「ふん!貴様には関係ないだろう、そんな事よりもここが何処だかわかるような言い草だな」



うわぁ面倒なタイプだ、自分は駆け引きとかそういうのは得意な方じゃない、もう少し我慢してみよう。

ちょっとでも情報交換しなくては。



「いやぁ、一応ここの場所はわかると言えばわかる、わからないと言えばわからないって感じかな」



「?どういう事だ、ふっ、ここは貴様みたいな子供でも来れる場所なのか?」



「うんうん、ここは俺の国の研究所だ、入口に錬金術って看板があったから間違いないとは思う」



「?レンキンジュツ?なんだそれは、魔術とは違うのか?」



「あぁ、うん錬金術は簡単に言うと石を金塊に変えたり、不老不死の薬を作ったりする技術の事だ、この世界の技術じゃない別の世界の技術だ、あんたには理解出来ないよ」



そうは言ってみたものの俺自身も錬金術はテレビや雑誌で取り上げられる位の事しかわからない、そっち系の技術は専攻科目でもない限り覚えることはないだろう。


最近のニュースではレアメタルを低コストで錬成出来るようになり、その材料を使う機械類が多少安くなるとかなんとか。



「ふん、そんなものやってみなければわからないだろう?それよりも貴様はこの先になにがあるのか知っているのか?」



芋虫状態の癖になぜか上から目線な態度のエルフさん、どうしようこのままほっといてジャマー停止させたらここから出ようかな。


端末を見るともう18時だ、もうそろそろ日が沈む、こっちで野宿とかちょっと嫌だな、せめて近くの町で泊まりたいな、お金なんてないけども。



「それは置いといて次は俺から質問、ここから一番近い町ってどこにある?夜になるまでに行きたいのだけども」



「町だと?お前は一体どこから来たのだ、町はおろか村すらもないぞ?ここはインドーラ大陸の未踏査区域だ、あまりに危険すぎて調査らしい調査が出来ない場所だ、ここの地図はとんでもない値段で取引されている位だ」



・・・ふむふむ、ここは超危険らしい場所との事、ここまでの道のりでは生き物といえば植物くらいしか拝んでいないけども危険

らしい。


それに地図を持ってるのか、それを借りる事は出来ないだろうか。


万が一俺がジャマーを停止あるいは見つけることが出来ない場合やそもそもこの場所にジャマーがない可能性もある、そうなったらこの地域から出て安全な町か村で救助を待つしかない、それにこの地域から離れれば端末も使えるようになるはずだ。



「あー、地図を借してくれないかな、あんたはこの先に用があるみたいだし、俺はこのまま帰るよ」



「・・・?奪わないのか?てっきり殺されるのかと思ったぞ」



なんて物騒な、そんな事をする人間に見えるのか俺は、ジョニーとか一部のイケメンと比べられると困るけど普通だと思うんだけどな。


ちょっとへこみながら芋虫状態のエルフさんの縄を外す、ちょっと硬い、キツく結びすぎたかも。



「悪い人間ではないようだな、何が目的だ?何故こんな場所にいる」



なんて説明しようか、連れションしてたら知らない場所に飛ばされましたって言えば信じてくれるのかな、無理だろ、普通に考えて逆に怪しいわ、俺ならドン引きだわ。



「説明しにくくてね、近くの安全な町で仲間を待ちたいんだ、はぐれてしまって迷子状態、ここがどこだかわからないし町の方向もわからないんだ」



縄を外されたエルフさんは手首を回している、結構長い時間縛ってたからね。

ここから町まで3日くらいかな、それくらいならまぁ許容範囲内、全然オッケー、今日明日は見たいアニメがないからね。



「ふむ、地図は私も必要だ、渡す事が出来ないが、町までの方角と距離は教えてやろう、ここから西へ1

0日ほど歩けば大きな川がある、そこを川沿いに進めば大きな橋が出てその先を3日ほど進めば町だ」



「13日!?そんなに掛かるのかよ!?嘘だろ・・・」



食料も水もある、長くても3日とかだと思っていたが考えが甘かった。


まさか2週間もアニメが見れないのはヤバい、リアルタイムでTVのアニメを見ながらネットの実況スレッドを見るのが楽しみなのに・・・2週間か・・・うわぁ・・・



「そっか、そんなに掛かるのか、ありがとうそれじゃ行くよ、頑張ってね・・・」



「お、おい、名前とか聞かないのか?」



「あぁ、うん、もう会わないだろうし自己紹介とか必要ないと思うんだ・・・それじゃ・・・」



足取りは重い、来た階段を昇っていく。

気分は憂鬱だ、早く家に帰りたい、10日もこのチョコレートバーを食べ続けるのは拷問だ。



神様お願いします、上階の電力室にジャマーのケーブルがあって、それでもってすぐに救助が来て今日中・・・とはいかないけども明日くらいには家に帰る事が出来ますように!!



こっちの神様とか知らないけども、とりあえず神頼みしてみた、神様も異世界でアニメ見たいから家に帰りたいですってお願いとか初めて頼まれたんじゃないだろうかと思う今日この頃。

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