すたいりっしゅ!
「ゲホッ・・・ゴホォ・・・」
音と衝撃破が同時に飛来し、遅れて大量の埃が俺の全身を襲う。
凄くむせる、埃が舞い散りそれを吸い込んだ俺は呼吸がままならない状態だ、上から下が真っ白だ、
服装は元から白いけれども。
「くっそぉ・・・扉が開かないのはわかるけどさぁ・・・もうちょっと場所考えて爆弾を使ってくれよ・・・
あとどんだけ掃除してないんだよ、この場所はさぁ」
爆発した箇所からここからそうは遠くない、多分2~3階下だな、文句言ってやる。
と悪態を垂れつつもワクワクしている、異世界は初めてではないが異世界人との交流は初めてだ、
ここの住人は耳長のエルフ種だったか、それに迷子になってからは少し心細い気持ちがあった、誰でもいいからいて欲しいそんな気持ちがあったのは確かだ。
音の発生源へと近づきライトを消す、角から覗いてみると埃が立ち込めてはいるが薄ボンヤリした光に照らされた人影があった。
170位の身長くらいかな俺と同じ位の身長だ、髪は緑で白い肌だ露出は控えめらしい、そりゃそうだよな、あの森の中から来たって事はそれなりの服で来るよな、さてどうやって話しかけよう。
いい人だったら良いなと思いつつも少し相手の出方を伺う。
「誰だ!!」
・・・声の主にちょっと警戒されている、声質からして女性だ、ここはいきなり出てフレンドリーに行くか?
もしくは無害アピールゆっくりで行くか?どちらにしよう。
迷う、本当に迷う、いやここは中間だ!中間を取って、声を掛けてからフレンドリーにゆっくりと無害アピールで行こう!
「あ、その、あの、えっと・・・」
声を掛けてみたがそうじゃない、言いたい事が出てこない、頑張れ俺!!キョドってるんじゃない!人生初の異世界交流だろ?
ちょっと緊張気味なのはわかるけども頑張れ俺!
両頬を叩き、己に活を入れて再度挑戦だ!よし!いくぞ!っと角を出てから相手の正面に立った瞬間
矢のような光る塊が通りすぎ背後の壁で爆発する。
・・・・・あぁ、これやべぇタイプの人種だった、そう判断すると同時に頭のスイッチが切り替わる。
警告なしの即射は戦闘開始の合図と受け取りポケットに入れた警棒状のMAを取り出す、スイッチを押しスライドさせると先端に電流が流れてまるでSF映画のワンシーンのようだ。
埃が立ち込めてはいるが相手の武器は多分魔法弓、魔力を矢にして撃つタイプだろうと予想。
自分のMAを取り出しスイッチを入れるまでのアクションにもう相手は2発目を溜めている、即行動即無力化は必須科目としてこの1学期で教えられているので慌てたりはしない、ちょっとくらい痛くても我慢はできる、男の子だもの。
「次は外さない」
物騒な声が聞こえているがこちとら近代科学の結晶である生徒コートがある、貫きたいのなら魔力コーティングされていない貫通特化のライフル弾でも持って来いよと心の中で叫んでみた。
2発目が発射された、光の塊を腹部で受け止める。
流石に衝撃までは反らせないのか木製のバットで殴られたような感覚だ、お腹が痛い、確か衝撃にも強いって話だったような・・・、畜生騙された!
だがダメージは軽い、コートがなければ骨が折れていたか貫通していたのかわからないが、考えるより先に即行動だ。
地面を思いっきり蹴り、自分でも意識がついていけるギリギリの速度で相手へと急接近する、目測約10mほどだが景色が流れて行くのがわかる。
これもブーツのおかげだ、足の筋力をとんでもなく上げる効果があるらしい、天井を足場にして再度蹴り相手の真正面へと着地する、なにこれ超カッコいい。
そして今は超接近戦、下から相手を見上げると目が合った、一瞬の出来事で相手は唖然としている。
大丈夫、俺も自分の速度に着いていけてないからイーブンだ、ただ装備の違いでここまで差が出ているだけさ。
心の中で『埃撒き散らし女め!覚悟ー』と叫んで横一文に振り抜く。
柔らかいお肉を棒で叩くと言う感触と電気に触れた瞬間に音が出る冬に起こる嫌な現象その両方を感じた、もう一回逆方向から切り返してみた、同じ感触を2度味わう。
・・・『グハッ』とか『ゴハッ』とか呻き声を上げつつ相手はその場に崩れていくのを感じる、だって肩に柔らかい物が当たるのですもの。
一応念入りに止めの2発3発は入れておこう、油断と止めはケガの元だと筋肉先生からの受け売りだ、ついでにプロテインを飲んで筋トレすればケガとは無縁とも聞いた、参考になります先生。
ペチペチと電流警棒で念入りに叩くとビクンビクンと相手の身体は跳ねてちょっと面白い感じ、何かに目覚めそうになったがもう止めておこう。
さっさとロープ的な物で縛りあげて聞くこと聞いたら開放しようと思う。
一体ここはどこなのか、ここにいた人達の事を知っているのかとか諸々、聞きたい事は山ほどあったりする。
この埃エルフが起きるまで暇だなぁと思いつつ近くの瓦礫に座ることにした。