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しんぎゅらりてぃぽいんと!!  作者: ナムナム
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探し物!

ここは秘境の中の秘境、異質な魔力が辺り一帯に広がっていて日光を遮り昼間のはずなのに夜のような錯覚を覚える場所だ。


「この辺りのはずなのだが・・・」



どれほど距離を歩いたのだろう、この森に着いて以降は幸いにも魔獣や肉食植物にはまだ遭遇していない。

一応の備えはしてあるが森までの道のりでの消費がこれほどとは予想してはいなかった。



だが引き返す事という選択はまるでなかった、ここまでの旅路の旅費やこの場所を記す地図を買った金、その他諸々で大赤字もいい所だ。


・・・だが金などどうでもいい、重要なのはそこではない。


この先にあるはずの古代の遺跡、その場所の奥には賢者が作ったとされている数々の道具の中の1つ『エクストラキューブ』と

呼ばれている古代の秘宝が眠っていると言う。



願いが叶うとかとてつもないチカラが身体に宿るとかの類の物ではないが、私はそれを手に入れる為ならばどんな事でも・・・



川を渡り木々を抜け道なき道を進んで行く、魔獣どころか生き物の気配が周囲にはまるでなくここには本当は生き物がいないのではないかと思える。


足が棒のようだ、ここら一帯は安全なようなので休憩でも入れようかと考えていた矢先に奥に人工物のような物が見えてくる。


心臓が急速に鼓動する、まるで子供の頃に遊んだかくれんぼの見つかるか見つからないかの瞬間のような感覚だ。




「ついに・・・ついに見つけた!」



私の足が軽い、先ほどは棒のようではあったのだが見つけるや否やこの有様だ、まるで子供に戻ったようだと頬が上がる。


建物の入り口を探す、その建物は周囲に囲いがされていて鉱石を削った物でも木材でもなく見たこともない材質で出来ていた。


不可解ではある、このような秘境の中にどうやって建てたのか、またどのような人物がこれを建築したのか。


・・・考えすぎていても始まらないな、目的は建物ではなく中にある物だ。



正門だと思われる場所がある、左右にある石碑のような物には私の知る言語の中には無い文字が刻まれている。

何かを警告しているのか、はたまた挑戦してみろと言う挑発なのか・・・



砂が挟まっている材質不明の門をこじ開けると正面から埃が飛び出してくる、とても長い間ここは放置されていて人は全く入っていないようだ。


気持ちを引き締め私は中へと進んでいく。





「んー?これなんだあれ?」



迷子の中、何事もなく暗い森を進んで行くと朽ちてはいるがコンクリートで出来た工場のような研究所のような建物がある、いきなり現代チックな場所で少し驚いた。


正門の隣には、ボロボロの安全第一看板と関係者以外立ち入り禁止の看板、秘匿錬金術研究所と書かれている表札がある、思いっきり日本語である。


端末の確認をしてみるが電波的なのは一切きていない、多分ここら一帯はこの建物の中にある『とある機械』で妨害されているのだろうとは簡単に検討が付く、だって表札に秘匿とか書いてあるんだもの、何かあるってわかるじゃないか!


心の中で悪態を付きながらも正面玄関へ歩いていく、窓とかはなくて中の様子がわからないが少し安心している。


人がいるかもしれない、いなくても機械を停止させれば端末が使えて筋肉先生が来てくれるかもしれない。

ただでさえテストの点数が悪いと思うのだ、ここでリタイアになってしまったら夏の補修地獄で夏休みが・・・




「甘酸っぱい青春の16歳の夏休みが消えちまう!!!!!そんなのは嫌なんだああああ!!!」




だって山のように積んであるメジャーなゲームとマンガの消化をしないとライトなヲタクとしてはクラスの奴と話せない、話題についていける気がしない。


まだ途中のゲームだってある、ここで無駄に時間を使っている場合ではない俺の青春の1ページの思い出となる為のゲーム達が家で待っているんだ。



「畜生!さっさと終わらせて課題のクエスト進めないと皆にも俺にも迷惑かけちまう!」



心の声を外に出しつつ玄関を開けて中へ進んでいく、中はまさしく研究所だった、カウンターがあり風化しかけた用紙や、それを止めていたであろうと思われるボロボロになったバインダーが転がっている。


玄関辺りから気にはなっていたが、最近・・・数日もしくは数時間くらいの間に誰かが訪れた形跡があった。


誰だろうか、この埃の足跡は一人だな、研究所の人でもなさそうだ。


少し不安になるがそうもいってられない、奥へ進んで片っ端から機械を停止してこよう。

壊すのは最終手段だ、もしここがまだ使われている場所なら最悪、器物損壊で高校中退ってのもありえる訳で・・・


そんな事を考えて角を曲がるととんでもない物が見えた。




・・・頑丈そうなセキュリティーのドアが爆発か何かで吹き飛ばされている。




「うわぁ・・・やばそうな雰囲気・・・」


一応準備だけでもしておくか。


カバンにしまってあるもう一つのMAを取り出し形状を眺める、これは入学時に自分用にカスタムされたMAで、俺は器用ではないことが重々承知しているから警棒の形にしてもらった。


剣型とか槍型とか爪型とか種類は色々あるのだが、如何せんまともに使えないのはわかっている。


これは付け根のスイッチを押しながらスライドさせると大気の魔力を吸収・増幅して電流を流すタイプで、先に触れると感電からの無力化という素人でも使える相手に厳しく自分に優しい武器なのだ。


左手に親父の銃型MA、右手に警棒のMAそして安全安心の生徒コート、あれ?これって無敵じゃね?



「もう・・・誰にも負けない気がする」



・・・多分な?



途中の通路にはドアがチラホラあり上の名札には鉱石調整室や錬金開発室なんて名前もあった、ここは表札の書いてある通りに錬金術の研究をしている場所のようだ。


1階にあったエレベーターなどは電源が生きていないのか反応がなかった、残念だ地下10階とか書いてあったから使いたかったのになぁ・・・


そこから先の通路は真っ暗だ、非常灯も消えている、あらかじめ用意はしてあった電池式ライトを使う。


これは近くの電気屋で買った一品で店員さん曰く・・・


「これ!マジで!超すげーっす!マジ超長持ちで!電球交換とか!超いらない!メネループも超付けるっす!マジ永久機関っすね!!超充電出来るっす!」と現代の若者流セールストークで押し付けられたわけだ。


俺は昔から断れないタイプなので「あ、はい・・・ください」と言ってしまった、お小遣いの半分が飛んでしまったが今となっては実に頼りになる。


世の中何があるかはわからない、今ここでこれを持っているのは幸運と言わざるをえないだろう、だって凄っごいらしいし。


階段を1段降りたが通路と案内板しかなかった、地下10階まであるだろうから多分反対方向に降りる階段があるのだろう、途中の通路にもセキュリティードアが配置されていて、やはり爆発物だろう物で爆破されていて大きな穴が開いている。



「他の道とか・・・ありませんよねぇ・・・ここ一本道だしねぇ・・・」



どんなヤバい奴がここにいるのだろう、とりあえず爆破しとけばいいや精神は俺には理解出来ないな、周りはライトの光だけで

真っ暗ですし怖いし、当の人物に会った時に顔が怖ければ漏らす自信があるな、だって暗いし怖いし。



下へ向かうにつれて白の壁から緑色の壁に変わっていく、途中の案内板には地下8階に電力室と書いてある、最下層にはドクロマーク

と秘匿研究の文字が書かれている。



・・・気になる、ものすごく気になる、チョ○ボールの天使マークを集めると貰えるおもちゃ箱の中身くらい気になるぞ。



「電力室は後回しにして一番下へ行ってみようか、いやいや、電力室が先だろう、いやいや、電力止めたら最下層にあるかもしれないドアが通れなくなってしまうかもしれないし・・・てか電力生きてるの?ここ」



凄く迷う、これほど迷った事はまるが昔にプールか遊園地どっちに行く?と誘われた時にまるの水着が見たいからプールを選んだ時の感覚だ、もちろんやましい心は持ち合わせていない、もちろん悩んでいるフリだ、最初から決まっている。



「・・・一番下を見てから電力室にいこう」と言おうとしたと同時に下で爆発音がした。


例の顔が怖いかもしれない人だと思う、やばい非常にやばい。





・・・音と振動でちょっと漏らしたかもしれない。

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