記憶の欠片
記憶に最も結び付くのは色でも音でもなく、においだと言われている。
何故かは知らない。
だが嬉しいこと悲しいこと、憤りや切なさ。嗅覚というのは人の印象や記憶、心のかなり原始的な部分を刺激するのだという。
例えばアシュ。
この男は枯れ草やスパイシーな薬草のにおいだ。たまに硫黄や硝煙のにおいが混じったりするが、彼自身の体臭というものをあまり感じさせたことがない。
例えばレオニー。
内乱で信念を失い、闇の世界に身を堕とした騎士崩れのこの男からはいつも拭いきれぬ血と汗、そして鉄錆のにおいがする。
例えばテナとカイル。
彼らからは若者特有の男女で変わり始めた強めの肌のにおい。そして賑やかな雑踏のにおいがする。
記憶は無意識の内に印象を形作るのだと、エダは言った。時々妙なことを知っている子だった。
母が死んで、種しか世話にならなかった父に引き取られて、沢山の鉢植えと草花に囲まれた部屋で初めて彼女にあった静かな午後のことだった。
光の差し込む静かな、緑ばかりが賑やかな部屋。
生まれつき身体の弱い彼女は、しばしば心の臓の発作を起こした。領主である父はいつ死ぬかも分からぬ跡取りとしての娘を見限り、せめて自分の血を引く者を考えたのだという。
白羽の矢はダヴィドに刺さった。
父はかつて手籠めにして孕ませ、追い出したメイドである母を探した。幸か不幸か、下町に降り、ひっそりと子を産み育ててた母は父の遣い待たずに死んでいた。
多分、あの男の事だから認知していないだけで、いくらでも似たような母子はいたはずだ。その中でダヴィドが選ばれたのは、ただ単に面倒事が少なかったからだけだろう。
「だから俺……じゃなかった、私は、領主になるために勉強しなきゃならないんだと。まったく意味が分からん」
きらきらと緑の零れる小さな部屋。
今思えば、役目を失った彼女に余計なことはするなとばかりに、最後に与えられた美しすぎる牢獄だったのかもしれない。
言葉遣いからフォークの持ち方まで、下町育ちの癖を片端から矯正されていた幼いダヴィドは、しばしば家庭教師の目を盗みこの腹違いの妹の部屋に入り浸っていた。
母もいない下町にはもう戻れない。さりとてまだ幼い少年に過ぎなかったダヴィドには、他に食い繋ぐ術がない。
すれ違うたび、下賤な血よと言外に蔑む視線に満ちた屋敷。その中で何故だかエダの部屋でだけ、ダヴィドは楽に呼吸が出来た。
――――兄様。
記憶の中のあの子はいつも儚げに、けれど一度とて曲がることもひしゃげることもなく、真っ直ぐ微笑む。
――――兄様、私はこの街が好きです。何もかもが息苦しいくらい眩しくて、賑やかで。こんな弱くて役に立たない私だけど、もし生まれ変わるならまたこの街の娘として生きたい。それで今度こそ丈夫な身体に生まれて、友だちとお喋りしながら出掛けたり、香やジャムにするための果実を収穫したり、恋をしたりするの。
父の治める街を、同じ血を引く自分が治める。そこにどれほどの意味があるかなんて知らないし、興味もない。
いっそ穢らわしい父の血ごと自らの代で絶やしてやろうかとすら思ったほどだ。砂に飲まれるならばそれでいい。街も、自分自身さえも。彼女のそれは、そんな兄の投げ遣りさを見抜いたような微笑みだった。
――――私はこの街が好きです。ずっとずっと守っていきたい。ねぇ兄様、兄様の力をエダに力を貸してくださいな。父様のためでなく、私に貸してくださいな。私がきっと、兄様にも大切に思える街にして見せますから。
灰色の理由が、真っ白に塗り替えられる。
領主になる理由。
守ろうと思った。
この少女の愛す街を。彼女がその慎ましやかな幸せを、叶えられるように。
一度も光に晒されたことがないのではないかと疑うほど青白い棒のような手を握り、出来るよと、気がつけば無責任にも答えていた。
「………出来るよ、エダなら、絶対に」
ふわりと、彼女は微笑む。
片親きりの、妹。
繋がりは生涯消えることはないが、こうして児戯のようにしか触れ合えない関係。沸き上がった感情には、あえて名前を付さなかったけれど。
世界にはまだこんな尊いものが在ったのかと。
強烈に惹かれる感覚を、ダヴィドは未だに覚えている。
ダヴィドの中での人の印象とは、或いはそのにおいによってなるのかもしれない。
初めてルルーに会ったとき。触れられないのだとアシュが苦笑したとき。
どこかで予感していたのだ。
どこかで覚えていたのだ。
彼女からはあのときのエダと同じ、日溜まりのにおいがしていた。
◇◇◇◇
ジッ、と羽虫を焼いたカンテラの火が、妖しく揺れる。
黄昏時の、蝋に含まれた獣脂の焦げ付くにおいがしつこく鼻をつく。体は薬が抜けきらないのかまだぐったりとしていたが、音やにおい、肌触りといったそれ以外の感覚はやけに鋭敏だ。
今なら大気の形まで捉えられそうな気さえする。
ルルーはぼんやりと霞でけぶるような頭を軽く一振りすると顔を上げた。しっかりしなければ、と自分を叱咤する。蟲師のリコと名乗る少年。前を歩く彼の腕の中で、乳白色のその蟲は自ら淡い光を放ちながら夜闇に浮かんでいる。
彼らが現れたのはルルーが例の「薬」で気を失っていた間のことだったらしい。
彼らを送ってきたレオニーと名乗る男、ダヴィド、テナにカイル、……そしてアシュと共に彼らの語る“花の匂いのする都”の話を聞いた。
「フクロウの姫、どうか我らが“母”に会ってください。」
ミーナと名乗る純白のその蟲は感情を読ませぬ淡々とした言葉で請うた。
「かの方は故あって長時間都を離れることが出来ません。船の制御が出来るのは銀の髪の姫、貴女ただ一人なのです」
船――――アーク島にはパンゲアを滅ぼしてもなお余りある恐ろしい力が秘められているのだと彼らは語った。何故それがルルーにしか制御出来ないのか、“天涯の月”が何物なのかについては直接その目で見て判断してほしいと言われた。
「行きます」
躊躇いはほとんどなかった。
答えた瞬間、ダヴィドはぎゅっと眉を寄せたが、アシュは何も言わず手を握り締めてくれた。
「船の制御とかは分からないけど………“天涯の月”について分かるなら、行きます。私は知りたい。知らないままでいたくない」
都への入口は数百年前枯れた隣の谷筋の、神殿の奥にあるのだという。
(静か………)
静か過ぎる。
人の絶えた、過去の街。大風車があるため観光整備こそされているが、人の住まう気配とか温かさだとか、そういうものに欠けているのだ。
『オルテ』では都は死後の世界として描かれるそうだが、これならば納得する。
これは、コダエの“フィロの外史”で感じた気配に、どことなく似ている。
生ける者でなく死せる者たちのための静けさ。
未だ身体が重いルルーはアシュに背負われたまま、ゆらゆらと案内の少年の歩調にあわせて微かに上下するその光を見つめた。
仄かに明るいその光に導かれて一足進むごとに、暗い過去へ過去へと逆流しているような心地になる。肌を切るほど清らな、けれど決して侵してはならぬ浄闇に踏み込むような。
異様な雰囲気を感じてか、誰も皆一様に口を噤んだままひたすら歩を進める。
崩れた巨石の転がる参道を抜けるとこれまた巨大な石柱に支えられた荘厳な神殿が闇にそびえていた。
所々風雨により崩れたり、ヒビが入ったりしている。内戦で荒れた一時には、その美しい彩飾で飾られていた壁や柱のレリーフは夜な夜な訪れる遺跡荒らしにより日々の糧に、国内外へ売り払われてしまったらしい。
今となっては判別の仕様がないほど無惨に削ぎ落とされた何かの壁画には古語か、或いはコダエでみたような美しい竜蟲が飾られていたのかもしれない。
吹きっさらしの閑散とした廊下を進み、柩のような石の鎮座する斎い場に到ると、先頭を進んでいたリコはようやく足を止めた。
「姫、こちらへ」
純白の蟲の光に浮かび上がる瓦礫や小石の中で、光を飲むように漆黒の影を切り取る、長方形の台座。
アシュの腕から地面に降りたルルーは、リコに手招かれるまま石柱の前に立った。少年はすっとルルーの手を取ると、自らの手を重ねて石に押し付けた。
「?! 」
ルルーは驚いて顔を上げた。少年はへにゃっと心底申し訳なさそうに眉を下げたが、押し付けられる手は離れる気配がない。
「申し訳ありませんが、姫、しばしそのままで…………ミーナ、お願い」
「……ええ、始めましょう」
虹色の触角が羽ばたくような扇状に広がる。ミーナの体表を纏う光が一際強くなった。
「――、――――、――………」
涼やかな少女の声で歌われる、伸びやかな調べ。
素朴だが、繊細に紡がれる音の連なり。
強弱。
濃淡。
ときに弾むように、ときに沈むように。
美しく遠い過去へ、語りかけるように。
――――本物だ。
その場にいた息を飲む誰もが悟った。
内戦すら引き起こしてまで繋がれた貴族の歌すら、子どものお遊びに等しく思える。これを引き継ぐためだけに、彼らは存在してきたのだ。
本物の、蟲の歌だ。
ヴゥ……ン
ふいに蟲の羽音のような奇怪な振動が夜を震わせた。
そして次の瞬間、それまで沈黙を保っていた石柱がルルーの手ひらからカッ、と青く輝きだした。
「ッ!!? 」
リコの手を振り払い、慌てて腕を引っ込める。
しかし光はまるで流れ落ちる水のようにすぅっ、とすべらかな面を四方へ走り出した。光の筋は不透明な石で出来たその面に長さや太さの異なる直線を重なり合わせ、奇妙な紋様を描いてゆく。
やがて、青く輝く石柱はミーナに共鳴するように歌い出した。
(この光景………)
海鳴りのような絶え間ない奏での中で、ルルーは目を眇めた。
覚えがある。
そう。確か外史のときもルルーが触れた途端石が光り、歌い出したのだ。
(………“天涯の月”………)
ルルーは目を見開いたまま、ぎゅっとスカートの裾を握り締めた。
手にした者を望む場所へ導くという、神代の至宝。
だが幻想でもお伽噺でもない。自分の運命を歪み変えた女神の秘宝は確かにこの身体の中に、存在する。
そしてあの日交わした世界を見せるという契約と引き換えに、今、アシュを導こうとしている。
歌はやがて、静かに収束した。と、同時に大気を震わす羽音が再び強くなる。
……ふわりと、清涼で甘い香りが鼻をついた。
「では参りましょうか。皆様、どうぞこちらへ」
振り向いたリコが斎い場の最奥を示し、貴人にするように恭しく頭を垂れる。
「……俺、もうこの先何が起きても驚かねぇわ」
「いやいやカイル青年よ。どうもこれでまだ序盤らしいし、そりゃ分からんぜ」
ぐったりと肩を落とし冷たい汗を垂らすカイルを、レオニーが慰めるように叩く。しかしその彼の焼け爛れた頬にも、乾いた引き攣り笑いが浮かんでいた。
斎い場の最奥。
半刻(約三十分)前には確かに石壁であった場所に、ぽっかりと穴が開いている。いや、穴などと言って良いようなぞんざいな精度ではない。
あれだけ破壊と風化を極めた神殿にあって唯一傷ひとつ無かった石柱と同じ、磨き抜かれたような青く輝くすべらかな岩肌。 きらきらと走る紋様は例の直線に構成された幾何学模様。重ねて連なる円環は、古語だろうか。いずれも水面の月影のような仄白い光を湛えている。
アークの王宮にも、いや、外海まで探してもこれほど美しい回廊はあるまい。
明らかに、人の手により成された造りではない。過去に築かれた遺跡というより、まるで遠い未来の技をもって作られたかのような。
始めから表の神殿など些末な仮初めに過ぎぬと言うような、投じられた技術にはそれほど明確な違いがあった。
「ははぁ、『異界の徒』に『理解すらならぬ叡智』か………成る程、これはあながち誇張でもないようだね」
見上げたアシュはきゅっと糸月のように目を細め、「行こうか」とルルーの背に腕を回した。
「………うん」
ルルーも頷き、回廊に向け足を踏み出した。
甘やかなるも清澄な、花の香り。
香るの街アムーラ・アジャンタ育ちのダヴィドには気にかかるのか、すん、と時折小さく鼻を鳴らしている。どうやらこれも、月明かりを思わせる仄かな光を湛えたこの回廊から、流れてきているらしい。
香りは一足踏み込むごとに、ともすれば風に掻き消えてしまいそうな儚さから、しだいに強く確かになる。
「………ねえ、アシュ」
「ん? どうかしたかい」
傍らに寄り添うように立つ青年の腕を掴み、ルルーは歩を止めぬまま訊ねる。
「アシュはこの香り、どこかで嗅いだことある? 」
「いや、多分ない………はずだよ」
彼にしては妙に不確かで歯切れの悪い答えだったが、ルルーは頷いた。恐らく、ここにいる誰もが同じことを感じている。
「私も、多分ない。でも………」
――――どこか、懐かしい。
まるで本能の深いところに刻まれた、記憶。
アークでは長く外界から隔絶された塔暮らしだったルルーには正直な話、五感をこれほど駆使するようになったのはまだまだごく最近だ。……だからこそ自分にはこんな香り、覚えもないはずなのに。
ふいに、いつだったかアシュが開いてくれた絵本の挿し絵が脳裏に閃いた。
鮮やかな夜の青を背景に、真っ白な花々が咲き誇る。そんな花に埋もれるようにしてひたすらに涙を溢す美しい女性。
花の香り。
“真理”を示す、純白の花。
女神の眠りを守る、純白の花。
脳髄の、最も原始的な部分が揺さぶられる。
そうだ。自分はどこかでこれを、覚えている。
知らないけれど、覚えている。
もう音や光すら届かないような遠い日々。顔すら知らない誰かの残した、記憶の欠片。
懐かしくて堪らない。
「おそらく“母”の血の記憶に当てられたのでしょう。四大公爵家の血筋、その上“唇”の発現がある貴殿方は特にフクロウの血が濃く出ておられる」
「おいおい、いくら親子でもそれぞれ自分の経験によってしか記憶は残らないぞ。自分の見たものしか知りようがないのに、それじゃなにか、俺の血を抜き取って誰かにいれ変えたら、そいつの記憶まで変わるってことかな? 」
ミーナの解答にアシュは馬鹿馬鹿しいと言うように首を竦める。だが芝居がかったそれは、ミーナを抱き上げるリコの苦笑により中断された。
「アシュ殿は合理的なのに奇抜というか、理論をもって飛躍するというか……なかなかユニークな発想をされる方ですね。」
「そりゃどうも。一応聞いとくけどそれ、褒めてるんだよね? 」
「勿論。ぶっ飛んでますが、それでいて妙に核心を衝いてますし。………先程は血と言いましたが、正確には血に含まれた“天涯の月”に記されたデータです。母がかつて覚えた感情があまりに強かったがゆえ、重要事項として『香り』をキーに無意識下でインプットされてしまったのでしょう」
「……おい、ちょっと待て。それじゃ“天涯の月”が複数存在することにならないか? いや、それよりまず固形物ではないのか? 」
「あ、あれ? もしかしてそこまで話してませんでしたか、僕。ミーナも? 」
アシュはくるりと周囲を見渡し、目を合わせる。「誰か聞いたー? 」
「知るか」とカイル。
「父さんの日誌には特に書かれて無かったわ」とテナ。
「むしろ姫さんには今日が初対面」とレオニー。
「私も魔窟の文献やじい様方にすらそんな話、聞いたことないな」とダヴィド。
勿論ルルーは知るわけないのでぷるぷると左右に首を振る。
各々のいかにもらしい反応に、アシュは苦笑しつつ改めて説明を求め、年若い蟲師へ振り向いた。
「う〜ん、もしかしたらどっかで伝承が廃れてしまったのかもしれないね。不勉強で悪いけど、そこら辺も含めて説明、お願いできるかな? 」
「分かりました」
いやに人間臭い仕草で、ミーナが触角をひらひらさせながら神妙に頷いた。
「説明も私、“記憶”の義務ですから。……そうですね。やはり体験して頂くのが一番早いでしょうか」
丁度そこで、回廊が途切れた。
いや、途切れたというより行き止まった。回廊の奥、どん詰まりの壁には件の紋様に加え、外史で見た竜蟲にどことなく似通ったレリーフが施されている。
足を止めたリコの手から飛び降りたミーナはつらららら、と多足を駆使した滑らかな動きで壁に歩み寄り、そのまま垂直によじ登った。
「銀の髪を持つ“フクロウの姫”、その発現条件の一つは“天涯の月”との接続率です」
「接続………? 」
ますます眉間にシワを寄せる一同。
赤い石の嵌め込まれたレリーフのある一点に辿り着くと、ミーナはせわしなく触角を上下し、発光し始めた。
「この扉は母とその一族にのみ通過が許された特別な扉です。つまり、“天涯の月”を有された方のみこの先へ進むことが出来る。……姫、先程香りをかいだとき、何を感じましたか? 何を思い浮かべましたか?」
「えっ? えと…………白い、視界一杯の白い花を」
「結構です。では、そのときの光景、感覚を出来るだけ思い出しながらこの石に手を当てて下さい」
ルルーは少し目を閉じてから、言われるまま石に右手を乗せた。
すると、
「ふえッ! 」
さっと石の色が血のような赤から海のごとき青へと変化する。斎い場の石のときと同じく、白い光がいく筋も、複雑な回路を形成し鋭く壁へ駆け巡る。
だが今回は、それだけでは終わらなかった。
数拍のち、腕が壁へ沈んだ。
「え、ええぇ? ……な、何これ…………あれ?! 」
眩い光に包まれ、右手にはすでに硬い石の感触はおろか、壁の抵抗感すらない。
粘性の液体に腕はすでに肩のあたりまで、ズブズブと飲まれていく。しかも抜けない。入れた部分が戻ってこない。
「ちょっ、待って待って!! ………ななな何コレ!? 」
「ルルー!? 」
パニックになりかけがむしゃらに手を引っ張り出そうとするルルーに、ハッとしたアシュが慌てて駆け寄る。
そしてここで不幸なことに人質というか蟲質というか、丁度手元にあったというべきか。
「あ」
がしっと真っ先に捕獲されたミーナを見て、途端リコが顔色を変えた。
にィっこり、青年がまったく笑っていない目で微笑みながら振り向く。
「リコ君」
「だ、大丈夫ですからっ!! 姫様の害悪になるようなことしません人体に影響はありませんこういう承認の仕方をする扉なんですぅぅうッ!! 」
必死に弁明を重ねる少年の横顔が、眩しくてそろそろ判別できなくなってきた。この時点ですでにルルーは扉に首まで浸かっている。
それでも身を捻りなんとか後ろを振り向く。
「大丈夫だから毟らないでぇぇぇええあああああッ!!? 」
「ぎゃ」
ぶちィッ。
何かを引き抜く無情な音を残し、ルルーの視界は白光に包まれた。
ダヴィド1
アシュ1
残機14
ミーナちゃんの触角の話です。




