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燃える友人

作者: 湯気

友人との待ち合わせ場所に行くと何かが燃えていた。

「おいおい嘘だろ。火事かよ」

慌ててその燃えているものへ駆け寄る。そして、あることに気づいた。

燃えているのは友人であったのだ。

俺はあまりもの異様な光景に唖然としてしまう。俺の頭の中には友人が燃えている時の対応の仕方などあるはずもない。

そんなことを考えていると友人が俺の存在に気が付いた。

「おう、おはよう。どうしたそんな珍しい物でも見るような顔して」

友人は何事もないかのようにあっけらかんとした様子で言った。もしかしたらこの炎は俺にしか見えてないのだろうか。

「お、お前……何ともないのか?」

「ん?ああこの炎のことか?いやー朝起きたらこんな風になってたんだよ。家族も皆ビックリしてたぜ」

「いや、普通はビックリするだろ……お前は何でそんな平気そうなんだよ」

「最初はそりゃビックリしたぜ。けど別に熱い訳でもないし特に害は無さそうだからな」

確かに近づいてみても全く熱くはなかった。しかし、熱くない炎というのも何か不気味なものだ。

「まあ、悩んでも仕方がないさ。とりあえず学校いこうぜ」

「学校行くのかよ……行ったら騒ぎになりそうな気がするんだけどな」

「なるようになるさ!」

ポジティブな発言をし友人は歩き始めた。


放課後、友人の部屋で俺たちは話し合いをしていた。

結果としてなるようにはならなかった。

学校ではもの珍しさからか友人を一目見ようと生徒たちが集まってきてとても授業ができる状況ではなかったのだ。

先生は仕方がなく友人を早退させることで問題を解決した。

「それで?明日からどうするんだよ」

「どうしたもんかね?まさかこんなことになるとは思わなかった」

「やっぱりその火を消すことが一番だろう」

「そうだな。色々試してみるか!」

友人は立ち上がり早速行動に移った。


俺は持っていたホースを友人の方へ向けた。

「おい! 本当にやっていいのか!?」

「ああ。一思いにやってくれ」

了承の返事を聞き、俺は蛇口を捻った。

友人の体に勢いよく水がかかる。その部分だけ火が消えていく。

「ど、どうだ! 火、消えてるか!」

「いや、消えてはいるんだが水がかからなくなったらまた燃えてるぞ」

「何!? クソ! もっとかけてくれ! 頭からドバーっと」

「いや、この寒い中これ以上やったら風邪ひくぞ?」

「いいからやってくれ!」

「……わかったよ」

さらに蛇口を捻り水の量を増やす。そして、ホースを友人の頭に向けた。

火は燃えては消えを繰り返すだけだった。


「ハーックシュン! ああ、寒いなチクショウ!」

友人は毛布に包まりながら愚痴る。端から見れば体から炎が出ているためすごく暖かそうである。

「それで? 次はどうするんだ? 川にでも飛び込むか?」

「いや、水はもうこりごりだ。今度は科学的にいく」

「科学的?」

「そう。火は酸素を使って燃えるだろ? それを利用するんだよ」

「なるほどな。まあ、やらないよりかはマシか……」

「よし! じゃあ早速準備だ!」

友人は燃えていた。


窓ガラスの端をガムテープで目張りした。

「よし! これで準備完了だな!」

「そうだな。酸素が部屋からなくなるまで時間がかかるし俺は今日は帰るぞ」

「ああ、ありがとな! 明日こそは学校にちゃんと出て見せる!」

気合十分な友人を尻目に俺は部屋を出た。

直後に友人が唯一の出入り口であるドアに目張りをする音が聞こえた。


翌日、友人の部屋から死体が見つかったらしい。

友人は文字通り燃え尽きたのだった。

お読みいただきありがとうございました。


「燃えている。比喩的表現でなく燃えている。」という言葉が頭に浮かんだことから思いついた作品です。しかし、本編にはその文章が書けなかったのが残念です。変わりにあらすじで使わせてもらいました。


オチは友人が死んでしまうという何か暗いオチになってしまいましたね。ギャグ的なオチにする予定だったんですが…


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