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こんなものおおおおおお!

『痛すぎるぜマサヨシいいいいいいいいいいいいいいいい!』



 昨日病院で検査を受けて異常なしの診断をもらって帰宅した正義は、翌日の夜、奇妙な衣装を着てリビングをのた打ち回った。



『これがいけないんだ!これがあるからちょっとテンション上がっちゃったんだよ!』



 それは昨日の約束通り、チヒロが正義にあつらえたジャスティスマスク1号の衣装だった。

 はじめ正義はそれを着ることも、〔正義部〕に所属して部長を張ることも断固拒否した。

 だが短い人生の大半を共有し、さらに押しの強いチヒロに正義が勝てるはずもなく、アッサリと衣装作りは終わってしまった。

 しかしこれを自宅に持ち帰ったのがいけなかった。



『くっそおおお!こんな、こんなものおおおおおおお!』



 正義は心の中で盛大に叫んでマントを脱ぎ、それを思い切り振りかぶり、



『・・・・だああああああああああああああああああああああああああ!』



 物凄い形相でとてつもなく丁寧にそれをクローゼットのハンガーにかけた。



『捨、捨てられるかあああああああああああああああああああああああああ!』



 つまりお人好しな正義は妙なセンスとは言え、チヒロが真剣に選んだそれを捨てようにも捨てられなかったのだ。その上一人になってそれを見つめたことで、幼い頃から正義が憧れていた〔ヒーロー〕や〔ヒロイン〕の活劇が脳内に蘇り、



『いやそれにしてもダメだろおおおおおおおおおおおおお!』



 正義はそれを着て〔妄想ヒーローごっこ〕をしてしまったのである。

 他人に先の姿を見られていないことが唯一の救いだが、正義はそれでも自分の気持ち悪さにのたうち回った。

 しばらくして落ち着いた正義は、自分にそうさせた原因の一つ、右腕を持ち上についたそれを見た。

 そこには正義の〔才能(ちから)〕。

 不様で、危険で、格好悪いロケットブースターがあった。

 しかし、



『ありがと』



 そんな女の子の言葉と、



『頑張ったね?セイギ?』



 チヒロの笑顔が蘇った。

 憧れていた力、強さは手に入らなかった。

 だが正義の心を満たすものがあった。

 正義の口が自然な微笑を描き『ああでもジャスティスマスク1号は断らないと』と思っていると、



 ピンポーン。



「は~い?」



 インターフォンの鳴らす鈴の音が部屋に響き、白い穴あき鉢巻をポケットにしまった正義は玄関に向かった。


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