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ロリッコンブースター

「どこ!?セイギ!?」



 少しずつ露になっていく無骨な鉄骨の影。チヒロがもう一度叫ぼうとした時、



「ティヒロ姉ぇぇぇ」



 という間抜けな涙声が煙の向こうから聞こえた。チヒロは一目散に声の下へと走り、



「セイギ!」



 女の子を抱え、背中から施設を覆っていたビニールシートに突っ込んだ正義の姿がチヒロの前に現れた。すぐさま少女は女の子と正義の体の無事を確かめる。正義は珍しく焦っているように見えるチヒロを見て、



「だ、大丈夫だよ。ちょっと血は出ちゃったけど」



 心配させまいとして頬のかすり傷を拭ってそう言ったが、



「うるさい馬鹿!」



 結局されるがままになった。チヒロは手を貸そうと近づいてきた通行人の男に救急車の手配をさせてやっと落ち着いたようで、



「あんな風に突っ込むヤツがあるか!」



 今度は怒り出した。これに正義が抗せるはずもなく。



「ご、ごめん」

「セイギは昔からそう!すぐ謝って済ませようとする!」

「う!それは・・・」

「確かにセイギが昔から女の子にツッコむの大好きなのは知ってるよ!?小さい頃から毎日毎日飽きもせずに私にズンズンパンパンツッコんできたもんね!?」

「あ、あの、チヒロ姉?」

「だからってこんな小さい子にあんな乱暴にツッコむ!?この子だってきっと初めてなのよ!?それなのに、何がちょっと出ちゃったけど大丈夫よ!?男はたいていそう言うけど、大変なのは女の子なんだからね!?」

「ちょっ!?チヒロ姉!?僕のツッコミに突っ込むをかけて話すのやめて!?なんか別の話みたいに聞こえるから!色々となんか倫理的にマズイから!」

「それはどんな話なの!?詳しく具体的かつ簡潔に言って見なさいこのエロ・ツッコミスト!ロリッコンブースター!」

「わざとだろ!?もうこの流れ全部確信犯だろ!?というかツッコミストって一体何!?」



 正義がそんな風に悲鳴を上げていると、



「あの・・・」



 女の子が正義の側までやってきた。そもそもチヒロと母親以外の異性に耐性のない正義は、



「は、はぃ?なんでしょうか?」



 裏声かつ敬語で確実に年下の女の子に応じた。

 すると、



「あ、ありがと」



 小さな女の子はそう言って頭を下げ、はにかんだ笑みを浮かべた。

その笑顔に、正義は中学生時代にやってきたことを思い出し、



「ううん。僕、お節介だから」



 自然な微笑でそう返していた。これにはチヒロも溜息をつき。



「もう、結果がよかったからいいようなものよ?」

「うん・・・ゴメンね?二人とも」



 情けない苦笑の正義にまず女の子が、



「それでも、ありがと、ございます」



 そしてチヒロが、



「少し納得いかないけど、一応言うね」

「え?」

「頑張ったね?セイギ?さすが人助けがモットーの〔正義部〕部長、ジャスティスマスク1号!」



 と満面の笑顔で言って、三人の間に穏やかな風が流れ、



「ちょっと待ってええええ!?誰!?誰が部長で一号うううう!?」

「明日には身体直してね?今日出来なかった1号の衣装合わせするから」

「服を買うってそういうことだったのおおおおおおおおおおお!?」



 正義の悲鳴と共に空へと流れていった。


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