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にゃ~

 カフェの面した通りのずっと先、ビニールシートに四方を覆われた建設中のアミューズメント施設の根元に一本の鉄骨が突き刺さっていた。上を見上げると、クレーンで吊り上げられていた鉄骨の束が強風に煽られて不気味に揺れている。

 しかし、



「まだ落ちてくるぞ!?逃げろ!」



 鉄骨の側にいた作業員らしき男性がそう叫び、恐慌をきたした人々が逃げ出す中、



「あ・・・」



 正義は気づいた。

 落ちてきた鉄骨のすぐ側、そこに小さな影がへたり込んでいることに。



「ミユちゃん!?」



 すぐ側で叫び声が上がり、正義は気づいた。



『あの子は、さっき迷子放送にかかってた子だ!』



 そして同時に、



「あの馬鹿女!」



 正義が気づいたとき、つい先ほどまで隣にいた少女が風のように駆け出した。言葉の意味はわからなかったが、一切迷いのない疾走が目指すことは唯一つ。



『あの子を助ける気だ!』



 正義はぐんぐん小さくなるチヒロの背を見てそれに気づく。さらに逃げることに夢中だった作業員の中から女の子に気づいた男が立ち止まり、

 しかし、



 ガアアアアアアアン!



 2本目の鉄骨が女の子の側に突き刺さった。男はその光景に身の危険を感じ、逃げ去ってしまう。なおもチヒロが女の子目指して走る。

 しかし、



『間に、合わない?』



〔才能保持者〕である者の身体能力や自然治癒能力が常人より強化されており、さらに元々のチヒロの身体能力が幾ら高いと言っても、間に合う距離ではないと正義にもわかった。

 そして正義は見た。

 ずっと遠くの女の子の顔に、はっきりと見た。

 恐怖を。

 〔あの日〕黒猫の顔に見たものと同じ、恐怖を。

 死への恐怖を。

 そして、



「にゃ~」



 少年の頭が真っ白になった。


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