焦げ?のクッキー
この前よりさらに話がややこしくなってしまいました…
弥生のどこに惹かれたのか、オレ自身よくわかっていない。
ただ、弥生の家に預けられたあの日―間違いなく弥生を好きになっていたということはわかっているつもりだ。
とにかく、好きというのがオレの中にある……オレは、おかしいのか?
(自分の)部屋のドアに寄りかかり、うっすらとそんな事を考えた。
まっ、とにかく好きなんだからしかたないか……という結論にたどり着く。これもいつものことだ。
台所から、部屋の中にまで焦げた匂いがただよってきた。弥生がまた失敗したのか―
弥生が料理でこんなに必死になってるとこ―初めて見た。それが、彼氏のためだっていうんだからな。最悪だよ…。
コン、コンと、ドアをノックする音。それが耳もとで聞こえた。
「歩…ちょっと出てきてくれないかな」
この申しわけなさそうな声!絶対オレに何かをさせるつもりだ。
でも、弥生が言ってるんだからな……しかたなく、オレは部屋を出る。
―目の前には、皿を持った弥生が。皿の上には焦げたかたまり。
「歩、お願い!味見して」
さて、電話を近くにもってきておいたほうが良さそうだ。もう少しで、救急車を呼ぶことになるかもしれないからな―
「…まずい」
これがオレのクッキーらしきものを食べた感想だった。
弥生は、悲しそうな顔をする。ああ、こんな顔なんて見たくなかったのに…。
オレの感想を聞いて、弥生はすごすごと台所に戻った。オレはそんな悪いことを言った覚えはないし、オレのせいでもないのだろうが…なぜか自分が悪いことをしたような気持ちになる。
あ―ぁ、こんなやつなんか好きになりたくなかった。こんな…オレの手がとどかないような所にいるやつなんてな。