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ある脇役の英雄譚  作者: 小元 数乃
勇者の友人編
11/46

9話

「だぁあああああああ!! 全くないじゃないのぉおおおおおおお!!」


 城壁の詰所の中でそんな絶叫が上がるのを聞き、ヴァイルは思わず眉をしかめる。


 またあいつか……。


 そんな言葉が読み取れるヴァイルの顔を見て、荷物検査を受けていた商人は苦笑交じりにヴァイルに話しかけた。


「相変わらず苦労されているようで……」


「そうなんだよ~。きいてくれる?」


 そう言って愚痴を吐きかけるヴァイルの肩を、彼の部下がポンポンと叩き一言、


「いやいや、そんなのいいですから、さっさと行ってください隊長。あの人あんたじゃないということ聞かないんだから」


「勘違いしているんじゃないですよクソヤロー。俺の言うこと聞いているんだったら今頃あいつは聖人君子だ」


「それは自分のこと過大評価しすぎでしょう!?」


「うっせーな。俺が自分の過大評価なんてめったにやらねぇことなんだから『天変地異の前触れか!?』くらいは言っとけ新入り」


 そんな無駄口をたたきながら詰所へと引っ込むヴァイル。彼はそこに作られたアリサ用の一室のドアをノックし、返事も待たずに突入した。


「おとなしくしろ!! 騒音女!! 貴様は完全に包囲されている!! 今すぐ人質を解放して外にでてきなさい!!」


「うるせぇ!! そんなこと言って……外にでたらおれを殺す気なんだろう!!」


「そんなことはしない!! 我々はいつも人に対しては誠実だ!! ほら、そんなくだらないことはやめて、早く登校しなさい!! 学校の先生がお待ちだぞ!!」


「字が違う!?」


 そんないつものくだらない小芝居を置いた後、二人はさっと元の体制に戻り普通に話をすることにする。


 なんやかんやでアリサの扱いに慣れてしまったヴァイルであった。


 アリサとの仲直りが済んでから二週間がたった。アリサはもうヴァイルが教えられる魔法のすべてを吸収し、修行を終えてしまっている。ヴァイルとしては護身用に格闘技か武術の一つでも覚えてもいいと思うのだが『私は脳筋になるつもりはないのよ』というアリサの一言によってそういった修業は省かれた。


 本人いわく。『この世界初の後衛専門職魔法使いになるわ!!』とのことだった。


 ヴァイルも意外と変わってきており、アリサが会話の隙間に連発する『アリサの世界の知識』を吸収し、それなりにコミカルな会話が成立するようになっていた。


 まぁ、アリサ以外に使える技術ではないのであまりうれしくない特技ではあったが。


「それで、今回はなんだっていうんだ? 外までお前の絶叫が聞こえてたぞ」


「……前から思っていたんだけど、ここの防音設備ってどうなってんのよ?」


「お前の世界みたいに上等なもんがあるわけではないのは確かだな」


 というか、この世界では防音っていう言葉のか概念すらねぇよ。といったヴァイルに、アリサは少しだけため息をつき「もう少しボリューム落とした方がいいのかしら……」と呟いた。ヴァイルとしてもぜひそうしてほしいものである。ぶっちゃけ、アリサの絶叫が響き渡るたびに入都者から生暖かい視線が送られてくるのがいやなのだ。


「って、そんなこと聞いてないだろ?」


「わかっているわよ。なんで叫んだのかよね……。答えはこれよ」


 そう言ってアリサが指差したのは、やたらと分厚い儀式魔法専門書の数々だった。


「儀式魔法は覚えるだけ無駄だって言っただろう?」


「でも私たちは儀式魔法で呼ばれたのよ!! だったら儀式魔法を使ったら帰れるかもしれないじゃない」


「ああ……なるほど。それで儀式魔法を調査していたのか。でもなぁ……もしそんな都合のいい魔法があったとして、貴族たちが黙っているわけがないだろうが。何よりお前は勇者に対する人質なんだぞ? 非公式だけど……。そんな奴の目の届くところにそんな都合のいい魔法が載った魔導書おいておくわけないだろう」


 ヴァイルの言葉に「ああ……」とても納得した様子で手をポンと鳴らすアリサに、ヴァイルは額を抑えた。


「お前実はバカだろう?」


「当たり前じゃない。こう見えても元の世界での成績はオール三よ!!」


「威張るな……」


――あとそれはバカなんじゃなく「限りなくふつう」っていう評価だったんじゃ……。


 ヴァイルのツッコミは完全に無視して、アリサは王宮の方向を睨みつけ気炎を上げていた!!


「ふふふ!! いい度胸してんじゃない!! この私を勝手に呼び出しておいた挙句帰る方法を開示しないなんて……。どうやら命が要らないらしいわね」


「どこの悪役だお前……。あと『この私』って、お前限りなく普通の人なんじゃないのかよ」


「細かいことゴチャゴチャツッコンでんじゃないの!!」


「お前がツッコミ入れろって言ったんだろうが!?」


 しばらく前に、アリサが会話の間に挟んでくるボケをオールスルーしていたら「滑ったみたいでつらいでしょうが!!」という理不尽な言葉とともに、ツッコミを入れることを要求されたのだ。


「こうなったらあれを決行するしかないわね……」


「あれってなんだよ……」


 とんでもなく嫌な予感しかしないアリサの言葉に、ヴァイルは思わず顔を引きつらせる。


 こいつ……。また騒ぎを起こす気か!?


 この二週間でアリサの世界の知識を使ってつくられた『焼きそば』という食べ物の販売を手伝わされ騎士団ににらまれたり(サーシャに「目立つマネはするな!!」とこっぴどく怒られた)、アリサに付き合い冒険者ギルドへといき彼女を冒険者として登録しようとすると騎士たちの激しい妨害を受けたり(騎士たちに身分が気づかれないように立ち回るのが大変だった)、突然勇者が詰所を訪れて俺に魔法を教えてくれるように頼んで来たり(アリサがおれのことを教えたようだ。代わりとばかりにゲイルを生贄に捧げて彼を師匠にするように言っておいた)と、それなりに騒動に満ちた二週間を送っていたのだ。


 正直もう、うんざりであった。恐怖云々がなくともアリサに愛想が尽きてしまうほどに……。まぁそんなことをしたら隊長あたりからとんでもない雷が落ちてくるので(比喩ではなく)、今のところアリサから離れる予定はないが。


「ああ、安心してよ。今回はあなたを巻き込むつもりはないから」


「?」


 ニコッと笑いながらそんなことを言ってくるアリサ。だが、ヴァイルは油断しない。そんなことを言って不意打ちで巻き込んでくるのがアリサだ。油断したが最後……ヴァイルは奈落の底へ叩き落されることになる。


「はっ……それはツッコミ待ちだよな!!」


「あんた私をなんだと思ってんの!?」


――トラブルメーカー。サラッとヴァイルの口からはかれたその言葉に、アリサは無言で魔法をうちはなった。




…†…†…………†…†…




 王都・アタナシア内・平民街のとあるぼろ宿にて。


「いったいこんな夜中に何の用だ?」


 若干眠そうな顔をし、だらしがない寝間着姿のまま窓の外に身を乗り出した赤毛の美女が、そんなことを言いながら一匹の虫を指に乗せていた。


 その虫は、複眼をキラキラさせているだけで特に何をする様子もない。だが、それを見た美女の顔は徐々に真剣なものへと変わっていき、そして、最後には凄惨な笑みで固まる。


「まさかここで引き当てるとはな……。いや、むしろ魔法大国だからこそといったところか?」


 美女はそう言いながら、金色の瞳を輝かせながらベッドの隣の床で寝ていた男をたたき起こす。


「起きろヘイクラス。お仕事の時間だ」





 そして、王都で不穏な影が動き出すのと同時刻。


 王宮地下……とある巨大書庫にて。


「ばれてしまったか……」


「……はい」


「迎撃するぞ。準備をしておけ」


「……YES. My master」


 漆黒の本を持った無表情なメイドが静謐な魔力を放ち、戦闘態勢を整えていた。




…†…†…………†…†…




深夜。王宮内部。


「♪~。ミッション!! 王宮内部に隠匿された勇者送還用の儀式魔法が収録された魔導書を探せ!! なお、このメッセージは自動的に消滅します!! きゃ~!!」


 明らかにバカっぽい声とともに、王宮内部を駆けるのは真っ黒な服装に身を包んだアリサである。


 いささかどころかかなり古い映画のセリフをつぶやきながら、闇に包まれた王宮をかけるアリサ。しかし、その体の動きや視線の動かし方。巡回に回っている騎士たちの気配を鋭敏に察知し素早く物陰に隠れて気配を殺す姿は、とても素人には見えなかった。


 どうやらこういったことには慣れているようだ。元の世界でいったい何をしていたのか非常に気になるところではあるが……。


 閑話休題。


 一流と言ってもいいほどのスニーキングスキルを見せながら王宮内を散策するアリサ。そんな彼女が、平和ボケして質が落ちた騎士たちに見つかるわけもなく、彼女は次々と王宮内の部屋を網羅していく。


「ここには……ないわね。ま、一番怪しいといえば怪しかったし逆に隠すことはないかな~」


 やたら豪華に飾りつけされた王の寝室を手早く調べ、その部屋の家具やら何やらに仕込まれていた隠し戸棚や隠し扉などを手早く見つけ中の秘密をごっそりと盗み出しながら、アリサはそんなことをつぶやく。


――うわ~。王様……二十も歳が違うメイドと浮気ってどうなの? 


 王が浮気相手に書いた手紙を盗み見しつつ、アリサは次の部屋へ。


 続いてはいったのは騎士団長の寝室。彼女の勘的には第一候補に挙がっている場所だ。何せ騎士団最高位の警護がつくことになるし、騎士団長本人もなかなかやるという噂だ(まぁ、所詮劣化した騎士団の長なのでたかが知れているだろうが……)。


 明らかにバカにしきった感覚で部屋の前に到達したアリサは、騎士団長の部屋の扉を無音で少しだけあけ中を観察。


――オッケー。誰もいないわね。


 それを確認すると同時に、アリサはさっと少し広げた扉の隙間から体を滑り込ませ騎士団長の部屋へ侵入した。


「ふふふ!! ちょろい。ちょろすぎるわよ、騎士団」


 蝋燭の明かりのみに照らされた室内で不穏な笑い声をあげるアリサ。ヴァイルがいればまず間違いなく顔をひきつらせていただろう光景だ。


 だが、彼女の快進撃はそこで幕引き。終わりを迎えた。


「ん?」


――ふっ……またつまらぬところに入ってしまった。などと言いながらひとしきり恰好をつけたアリサは、先ほどの国王の部屋のように物色を開始しようとした。


 しかし、アリサが近くにあった戸棚に手をかけた瞬間、彼女の背筋にとんでもない悪寒が走り彼女の行動を止めた。


――なに? 何が起きている? まさか侵入に気付かれた? バカな……ここには誰もいない。でも、だったらこの悪寒は?


 アリサは元の世界でも大いに彼女を助けてくれた第六感を信じ、護身用に持ってきていたナイフを引き抜き、室内を見回す。しかし、室内には特に変わったことはない。


 豪華な絨毯に家具類。窓にはめられた無駄にきらびやかなステンドグラス。騎士団長の趣味なのかは分からないが、この世界ではかなり希少なガラスを使って作られた小さな箱の中に無数の奇妙な虫が飼われている。かなり悪趣味……。


ステンドグラスがはまっていない窓から、オレンジ色に光が差し込み部屋の中を照らしてくれていたので、部屋の細かなところまでよく見えた。


 ん? オレンジ色の光? 今は夜だからそんなものが差し込むはずが……。と、アリサはそこまで考えたとき、ようやく違和感に気付き、部屋のドアをけりあけ部屋の中から飛び出した。


 そして、


ガシャン!!


 空気を引き裂く飛翔音と共に、矢の形をしたオレンジの炎が窓を突き破り部屋の中に侵入。部屋の床に突き立ったかと思うと爆発し、部屋の中を一気に炎が蹂躙し始めた!


「ちょ!? 何よ、あの魔法!! あんな魔法聞いてわよ!?」


 アリサが悲鳴を上げながら、その場をあとにしようとしたとき、炎はまるで生き物のように立ち上がり、巨大な蛇となり、鋭い瞳でアリサを睨みつけた。


「くっ!?」


 その蛇から放たれる圧倒的な殺気に歯噛みしながら、アリサはとりあえず放出系の魔法を放ち、蛇を牽制し瞬時に逃げを打つ。


 アリサの紫色の突風を受けた炎の蛇は一瞬でバラバラになり形を崩すが、その数秒後にすぐに再生。逃げるアリサをとんでもない速さで追跡し始めた。


「な、なにが『単純な魔法しかない』よ!! ヴァイルのバカ!! 十二分にとんでもない魔法があるじゃない!!」


 鎌首を持ち上げ、炎の息吹を吐いてくる蛇の攻撃を紫色の突風でなんとか散らしながら、アリサはとんでもない速さで王城廊下を駆け抜ける。


 その速さはあまりに異常で、とても元帰宅部とは思えないほど軽快かつ早かった。


 どういうことだろうか? ヴァイルと会った当初はヴァイルたち三人組にあっさりと逃走を許してしまったアリサが、今ではそのころの倍に近い速度で走っている。確かに彼女はこの世界に来てからある程度体を鍛えてはいたが、だとしてもこの成長率は異常だ。


「はぁはぁ……どうしたものかしらねぇ。今の私じゃ奥の手を使うのは一つが限界だし……。おまけに攻撃手段にはあんまりならないし……」


 ブチブチ文句を言いながら逃げ回るアリサ。しかし、いくら彼女がとんでもない速さで走れるといっても炎の蛇ほどの速度は出ていない。


「くっ!?」


「ジャァアアアア!!」


 鳴き声なのか、王宮の壁を構成する煉瓦を焼く音なのかわからない奇妙の音を立てながら、炎の蛇がアリサを丸呑みにしようと大口を上げ、彼女に襲い掛かる。


 アリサはそれを敏感に察知し、足に力を籠め跳躍。


 十メートルはある王宮廊下の天井まで飛びあがり、そこにぶら下がっているシャンデリアにつかまった!


「ジャァアアア!?」


 突然標的を見失い辺りを見回す炎の蛇。


 撒けそう?


 アリサがそんな風に考えた瞬間、蛇はグネッと動きアリサが捕まっているシャンデリアを捕捉した。


「やっぱりねぇえええ!?」


 アリサはそんな悲鳴を上げながら、シャンデリアを振り子のように揺らし、勢いをつけてから跳躍。近くにあった窓に飛び込む!!


 ガシャン!! という音共にガラスを纏って外にでた彼女は後ろを振り返り、蛇が吐き出した炎によってシャンデリアがドロドロに溶けるのを目撃し顔を引きつらせる。


「ちょっと……どんな温度の炎を吐いてんのよ!?」


 蝋燭部分はともかく、シャンデリアの枠組みの部分は鉄でできていたはずだ。それをあんなにあっさりと……。


 ヴァイルから教わった常識をあっさりと覆すような光景に、アリサは大きくため息をつきながら『明日ヴァイルに文句言ってやる……』と決意をし、地面に着地しようと下を向いた。そして、彼女は気づく。


「あり?」


 彼女の真下にはぽっかりと口を開けた井戸が広がっており、彼女を飲み込もうとしていることに。


「ちょ、うそでしょぉおおおおお!?」


 アリサが、悲鳴を上げ井戸への落下を何とか阻止しようと身をよじるももはや後の祭り。彼女の努力もむなしく井戸の中へ落ちて行った彼女は……もう二度とそこから這い上がってくることはなかった。




…†…†…………†…†…




―—もうどれくらい落ちたかしら?


 アリサはそんな益体もないことを考えながら、落下しながら胡坐をかく。


 正直言って彼女はとある細工をして落下速度を減速しているので、井戸の底にあるだろう地面や水にたたきつけられて死亡という最悪の事態は何とかまぬがれることができた。


 だが、問題なのはこの井戸がとんでもない深さを持っており、もう十数分も落ちかけてしまっていることだ。


 正直飽きてしまうし、底についたとしても先ほどの蛇の攻撃を回避したように、ジャンプして抜け出すということも無理っぽそうだ。


――えっちらおっちらよじ登れって? できないこともないけど日が暮れるわよ。夜だけど……。おまけに蛇も待ち構えているでしょうし……。


 ぶつぶつ文句を言いながら、胡坐をかいたり、寝転んでみたりと空中でいろいろの体勢を試しながら落下を続けるアリサ。実はかなり余裕があるのかもしれない……。


 そんなとき、


ゴッ!!


井戸の中にとんでもない轟音が響き渡った!!


「っ!?」


 アリサはあまりに巨大すぎる轟音に思わず耳をふさいだ。何せここは人一人が動き回っても大丈夫、と言ってもそれなりに狭い井戸の中だ。音の反響が凄まじく、耳をふさがなかったらまず鼓膜が破れていただろう。


「なっ……なに一体!?」


 そして、音がひとしきりやみ、アリサが耳から手を放すと同時に、


「あ、地面!?」


 井戸の闇の質が少しだけ変わり、そこに地面があることを明確に示してくれた。


 アリサはゆっくりとした動作で足を下に向け、さらに細工を操作。落下速度をさらに減速させゆっくりと地面に降り立つ。


 そして、地面に降り立ったアリサは、最初にあたりを見回した。


 先ほどの轟音の原因が気になったのだ。


「あ、抜け道?」


 そして、アリサは井戸のそこに巨大な横穴が開いていることを発見した。


 かなり大きい、地面から天井まで5メートルはある横穴。横幅も3メートルはあり十分人が通れる。


「ふ~ん? 秘密の地下通路ってところかしら? 王族の緊急脱出避難路?」


 あり得る話だ。だが、何となくアリサはその答えが違うような気がしていた。


 確かにこの横穴は煉瓦によって舗装されているが、王族があの深い井戸を下りたり登ったりできるとは思えない。


 だったらこれはいったいなんだろう?


 アリサが首をかしげたとき、


ゴッ!!!!!!!


 先ほどの轟音が、その横穴から響き渡り辺り一帯を蹂躙した。


「つっ!? この音……この先からきこえてきているの!?」


 アリサはあわてて自分の装備を確認し、その穴の中に飛び込む。


 正直言って無謀極まりない行為だとは思うが、それでもこの井戸を上って上に行くよりかは安全だと思っていた。


 何せ上にはあの炎の蛇が待機している可能性がある。鉄のシャンデリアを一瞬で溶かすような化物に、正直今の段階で勝てる気なんて全くしなかった。


 ヴァイル辺りが出てきたら何らかの策で勝つのかもしれないが、あいにくと彼は王宮から遠く離れた城壁。助けを求めることはできない。


 だからアリサは、後門の蛇より前門の轟音を選んだ。


 だがこの後、彼女はとんでもない勢いでこの選択を後悔することになる。


 そのことを知らない彼女は、いつでも細工が使えるように準備をしながら、横穴の中へともぐりこむのだった。


 やべ……話のストックがなくなってきた。


 次の更新は遅れるかもしれません……。

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