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火と燃えた人

作者: マーク
掲載日:2026/04/18

過去に戻れるなら、どうする?


そんなたらればを、よく耳にすることがある。


子供のころに戻って、ちゃんと勉強するとか。


ちゃんと青春したいとか。


誰しも後悔があって。


それを取り戻したいと願っている。


………でも。


僕は、そうは思えない。


過去も辛い、今も辛い。


戻ったら、ただ懲役が長くなるだけだ。


過去に戻っても、何も変えられない。


自分が変えられないことは、どうしたって存在している。


耐えるしかない期間というのは、どうしたって存在している。


…これ、わからないやつには、一生わからないんだろうな。


過去に戻るなんて、考えたくもない。


それが、僕の答えだろう。


そんなだから。


僕は今、夜中に散歩している。


昼間にしろと言われそうだけど、どうして、人と会わなきゃいけないのか。


何故か不機嫌そうな人と、すれ違わないといけないのか。


お辞儀しても返さないやつに、会わなきゃいけないのか。


そういうのがめんどくさいから、僕は夜中に散歩している。


どこかで誰かが笑って。


どこかで誰かが泣いて。


社会全体で、幸せになれる人間には限りがある。


ハブれた僕は、その席に座れそうもない。


だから、自分で自分を慰めるしかない。


学校のペア決めで一人残ったみたいに。


夜中に一人歩いて、カッコつけるしかない。


ふと立ち止まって、空を見上げる。


星なんて一つも見えない。


ただ、雲ひとつない空に、黒が広がっていた。


「あーー」


マイクテストみたいに、音を出した。


意味はない。


なんとなく、声が出るか不安になった。


街灯が僕を白く照らす。


今僕は、まるで光っている。


…見えないものを考えて、なんの意味があるのか。


暗いのは、怖い。


でも、みんなが怖いところなら、人が少ない。


実際に危険かどうかは関係ないから。


……そろそろ、帰ろうか。


行きとは違う道で、帰る。


一定のリズムの足音が、何故だか心地いい。


なんとなく、生きるを感じる。


行く目的は、ないようなもので。


戻る目的は…なんだろう。


また、光に照らされる。


それは、夜明けの光だった。


外に出るのが遅かったせいか、もう、今日が死んで、明日が生まれたらしい。


誰かにとっては惜しいもので、誰かにとっては気にも止めないものだろう。


僕にとっては、惜しむものだ。


逃げ場にしていたところが追いやられて。


お気に入りのおもちゃを取り上げられたみたいな気分だ。


「……はぁ」


ため息が、白く色づいた。

伝わるかな~。

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