拠点
ケプラーと共に来た騎士団の面々とともに歩くこと三十分。
私たちは調査団の拠点に辿り着いた。
そこかしこに松明が焚かれ、遺跡を美しく照らしている。
そこは巨大な神殿だった。
太い柱が何本も立ち、人型の象が数箇所に鎮座している。
「おお、来たか。無事だったか」
出迎えてくれたのはナルサスだった。
「お久しぶりです、ナルサス老師。ご心配をおかけしました」
「いやなに。お主はともかくか弱い令嬢に何かあっては申し訳が立たんからな。」
ナルサスがカラカラと笑う。
「ともあれ、まずはひと休みしなさい。話はそれからだ」
「では、私は隊長に報告してまいります」
ジェイルがそう言って立ち去った。
オリバーが荷物からテントを取り出す。
「エヴァン様、手伝って貰ってもよろしいですか?」
「わかった」
王宮から支給されたテントは、かなりしっかりとした作りだった。
魔法のかかった杭を所定の位置に差し込むと魔法陣が完成し、結界が発動する仕組みだ。
外からの攻撃を弾き、嵐などにも揺るがない固定化の結界だ。
中に入ると拡張魔法のお陰で意外と広く感じる。
テントは二個用意されていた。
エヴァンとオリバー、それから私の分だ。
広場になっている箇所を囲うように、ケプラーやナルサス、他の騎士たちのテントも設営されている。
通りかかった騎士が手伝いを申し出てくれたので、作業しながら拠点の説明を聞いた。
女性の騎士もいるらしく、お手洗いやお風呂などは男女別に用意されているらしい。
一時間後、私たちは広場の中央に集まった。
そこには天幕が張られており、大きな机や資料の詰まった棚、調査用の道具が入った箱が置かれている。
ケプラーは私たちが運んできた調査用魔導具の整備を始めたらしく、不在だった。
ナルサスが入れてくれた珈琲を飲みつつ、今回の目的を説明する。
私が取り出したクロードの論文を、ナルサスは興味深げに眺めていた。




