疲労回復
遺跡調査団は現在、山の中腹あたりの中規模な遺跡にいるらしい。
少し山道を登り、ぽっかりと口を開けた洞窟から中へはいる。
壁にはびっしりと古代の文字が彫られており、この場所も遺跡の一部をのようだ。
「文字の所は、極力触らないようにしてください。稀に罠が発動することがあります。あと、私が歩いたところをなるべく辿るように歩いてください」
「了解」
ジェイルを先頭に、エヴァン、私と続き、殿ははオリバーだ。
遺跡の内部は静かで、時折水の音が聞こえてくる。
松明が揺れ、埋め込まれた水晶がきらりと光った。
体力を温存するためと、魔物に気づかれないようにするために極力無言で、静かに進む。
時折、ジェイルが遺跡の説明をしてくれた。
「この部分は、豊穣の儀式をする催事場だったと推測されています。聖霊に雨と光を乞うているそうです」
少し開けた場所で水分補給の為に立ち止まり、ジェイルは奥を指さした。
祭壇のようなものがあり、壁には見事な聖霊王らしきものが彫り込まれている。
入山してから、約1時間ほど経っていた。
「あと1時間ほどで着くと思います」
「アリーシャ、大丈夫か?疲労回復ポーションならあるが」
「エヴァン様が作ったものですか?」
「そうだが?」
私は目を輝かせた。
エヴァンが作る魔法薬は、その効果の高さから人気があり、滅多に市場には出回らない。
前からその味に興味があったのだ。
「是非頂いてもいいですか?」
「もちろん」
そうして手渡された魔法薬は、薄明かりの中でもキラキラと光を帯びていた。
飲むと、スッキリと冷たく、微かにミントの味がする。
「すごく飲みやすいです。なんだかミントの味がしますね」
「後味を良くする為に入れてみたんだ。なかなかだな」
魔法薬は聖水と薬草、それから魔力で構成されており、聖水と魔力は無味の為、薬草の味が反映される。
薬草はとにかく不味いものが多いので、魔法でいかに味を飛ばすかも腕の見せどころだ。
ちなみに、やりすぎると効果も飛んでしまう。
あとでレシピを教わろうと思いつつ、私は荷物を持ち上げた。




