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アリーシャ・ランベルト


アリーシャ・ランベルト。


それが、私の名前だ。


地方の子爵家の出身で、王立魔法学院の魔法薬学科を首席で卒業し、今は王宮の魔法局、魔法薬第一研究室で魔法薬師として働いている。


黒々とした三つ編みの長いお下げ髪に、大きな丸い眼鏡をかけ、いつも地味な服装をしている、物静かな研究員。


それが、周囲に認識されている私だ。


それでいい。


それがいい。


私は、目立ちたいわけじゃないから。


私は今日もひっそりと、魔法薬の研究に没頭する。



魔法薬を作るには、全ての薬の土台となる聖水と、効果に応じて使い分ける薬草、そして魔法が必要になる。


聖水を作るのは意外と簡単だ。


湧き水を汲み、神聖魔法で浄化すればすぐに完成する。


薬草は、少しややこしい。


発現させたい効果に応じて、薬草の種類や分量、処理の方法を変えなくてはならない。


そして一番難しいのは、魔法だ。


どの魔法を、どのようにかけるか。


魔法薬に応じた属性と、魔力の量、魔法のかけ方や順番で全ては決まる。


薬草の分量が少し間違っていたとしても、ここである程度修正が利く。


だから魔法薬師になるためには、少なくとも三属性の魔法の適性と、繊細で精密な魔力コントロールが必要になってくる。


さらに、聖霊との親和性が高いと有利だ。


聖霊は好ましい魔力の持ち主に加護を与える。


加護持ちが作る魔法薬は、効能が高い。



私はそっと、完成したばかりの魔法薬の瓶を持ち上げた。


光に透かして、鑑定魔法をかける。


魔法薬は初級、中級、上級、特級に分けられ、さらに完成度や純度によってEからSまで等級がつく。


私が今完成させたのは、初級の治癒ポーション。


等級はS。


緩く揺らすと、聖水の中で薬草がゆらりと舞う。


聖霊の加護の影響でキラキラと光を放っている。


今回は、従来の魔法薬レシピを改良した新しいやり方で作製した。


この方法だと、約半分の時間で完成させることができる。


レシピ改良は王宮魔法薬師の重要な業務の一つだ。


私はひとつ頷くと、レシピを報告書に書き写した。


瓶を丁寧に箱に収め、報告書とともに提出する。


上司がこれを改めて鑑定し、王宮査問委員会が検証して認証が取れればレシピは正式採用され、登録の後、一般公開される。


今回は新薬ではなく改良、しかも初級の治癒ポーションなので、私の手元に入ってくるレシピ使用料は微々たるものだろう。


魔法薬師の中には、新薬の研究こそが全てだという考えの者が多い。


常に新しい効能の薬を研究し、登録し、莫大な使用料を手に入れることを目指している。


それもまた、良いだろう。


色々な人がいる。


色々な考えがある。


それでいい。


私の、邪魔をしなければ。


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