【番外編】園芸部の女の子と吹奏楽部の女の子[前]
「二人きりで帰るだなんて久しぶりだな。」
園芸部の部長、東雲優唯が言う。
「そうだね。桜介くんが熱でお休みだった時以来。」
吹奏楽部のフルート担当、天野日奈子が言う。
日奈子はとても優しくて、明るくて、まさに現代の大和撫子だ。
私たちは幼稚園に入る前からの幼馴染。一番近くで、一番よく日奈子を見てきた。
「優唯ちゃんは桜介くんの告白、なんで断っちゃったの?」
「げ、なんで日奈子がそれを知ってるんだ!?」
「優唯ちゃんの後輩ちゃんたちから聞いちゃった。」
てへっと笑う日奈子。少し重かった空気が軽くなる。
「実は、他に好きな人がいるんだ。だから、振った。本当に申し訳ないと思っている。」
「え、好きな人、いたんだ。気づかなかった。優唯ちゃんの一番近くにいたのに。」
「気づかれないようにしていたからな。気づかなくて正解だぞ。」
正解とかなんだよと自分で思うけれど、、、
「何、正解って。」
ちょっと日奈子がツボっている。私の前だけではそんな表情を見せる。本当にずるい子。
実は桜介と出会ったのは小学校に入学してから。だから私たち2人の関係の方が長い。そのくせ桜介は空気も読まず私に告白してきて、、はぁ、、ため息しか出ないわ。
「でも優唯ちゃんは私が桜介くんのことが好きなの気づいてたでしょ?」
思いがけない質問だった。
「あぁ、もちろんだ。初恋だろう?きっと小学3年生頃から好きだっただろう。」
私はもっと早くから日奈子のことが好きだった。
「えぇ!?なんでわかるの!?」
最初は桜介からの告白があったことに気を使い、強い言葉を使わないようにしていた日奈子だが、今はもうそんなことも忘れて2人きりの時間。
「ずっと日奈子のそばにいたからな。」
私は微笑む。自分の中で一番太陽のようで、花のような笑顔で。
「そうだよね。ずっとそばにいたもんね。いたのに私、気づかなかったなぁ。」
「気づかなくていいんだよ。桜介の気持ちなんかより、日奈子の気持ちの方が断然大切だ。」
「優唯ちゃん、、、」
きゅんとなる日奈子。私の前では表情が豊か。緊張すると顔がこわばってしまうらしい。これからもずっと、私の前だけで、、、あぁ〜!いかんいかん!よくないぞ東雲優唯!日奈子の気持ちが一番だ!!!
「優唯ちゃん。私、優唯ちゃんの名前大好きだなぁ。」
日奈子は日奈子の吹く、フルートような優しい声で言う。
「私も日奈子の名前が大好きだぞ。」
「唯一無二の優しい沢山愛される人になりなさい!って意味だったよね。優唯ちゃんは私にとって唯一無二で、いつも優しくしてくれるお姉ちゃんみたいで、私の愛したい人!」
「日奈子、、」
あぁ、彼女のこういうところが好きなんだ。私を夢中にさせるんだ。
「日奈子、そういうところは桜介に見せるんだぞ。」
日奈子が好きなのは私じゃなくて桜介!勘違いするな優唯!
「、、、そうだね!今度から気をつけるよ。」
なんだ?今の間。




