隣の席の女の子と失恋しそうな女の子
ふにゃふにゃな先輩を後に部室を出て歩く俺とみこちゃん。急にみこちゃんは口を開いた。
「私さ。人生で一回は失恋するべきだと思うんだ。」
そのままみこちゃんは言葉を続ける。
「失恋っていうか、傷つく経験的な。そのタイミングがいつなのかって話だと思うの。自論なんだけどね!?失恋した方が偉いとかじゃなくて人生経験の一つとして的な。」
確かにみこちゃんは失恋して前よりも強い女の子感が出ている気がする。
「もちろん誰も傷つかずに世界中のみんなが幸せになってほしいと思うよ。でも、それは無理じゃん。恋にせよ友情にせよ終わり方が全て美しいとは限らない。私が失恋して痛感したこと!それにしても、先輩の件どうするべきなんだろうね?」
これが女の子の内なる強さか。なんて尊敬していたら音楽室に着いてしまった。
「ごめんね。ゆーくん。なんか語ってたら着いちゃった!話聞いてくれてありがとう。じゃあ、また明日ね。」
「うん。また明日。」
そのまま屋上へ向かった。
今日は風がなく、日が眩しい。空を見上げていると扉の裏から泣き声が聞こえた。
こんな時間に誰なんだろう、、、今屋上から出るのも気まずいし、少し水やりを長引かせよう。
いつもより長い水やり時間。一つ一つの草花をいつも以上に愛でながら丁寧に水をあげる。花屋の息子として当然だな。
数十分後、水やりが終わった。扉の方に耳を澄ませると泣き声は無かった。よし、帰るか。
あれ?なかなか扉が開かない。扉の向こうからバタバタ音が聞こえる。
あ、やっと開いた。
「ごめんなさい!!邪魔しちゃいましたよね。扉開けるの。すぐ退きます!」
そこには天野先輩がいた。
「あの、もしかして泣いてましたか、、?」
「えっ、そんなことないですよ。」
「でも目が赤い、、です。」
少し沈黙が流れる。
「どうしましたか?俺でよければ話を聞きます。お力になれないかもですけど!!」
「あら、、、じゃあ聞いてもらおうかな。」
「いくらでも聞きます。」
「あのね。桜介くんが優唯ちゃんに告白したらしいの。」
「はい。それは東雲先輩から聞きました。天野先輩は五十嵐先輩のことが好きだったんですよね。それも聞きました。」
「優唯ちゃん、そこまで話してたんだ。」
「東雲先輩、天野先輩のことすごく気にしてましたよ。」
「優唯ちゃん、優しいですよね。昔から本当に素敵な子なんですよ。口調は少しぶっきらぼうだけれど、その分行動で優しさが感じられるの。桜介くんのことも好きなんだけど、優唯ちゃんのことも大好き。だから二人が幸せになることは本当に嬉しいことなんだけど、、、」
「東雲先輩は溶けてましたよ。」
「溶けてた?」
「急に告白されてびっくりしているそうです。」
「それはそうですよ。きっと優唯ちゃんのことだから桜介くんのことを今まで意識してこなかったんでしょう。」
すごい。全部当ててる。正解になると音楽が流れるクイズ番組のように下校のチャイムがなった。
「あー!話せてスッキリした!ありがとうございます。藤田くん。本当にありがとう。」
「また何かあったら言ってください。誰にも言いません。友達いないので。」
「全くそんな冗談まで、、ありがとうございます。では、失礼します。藤田くんもお気をつけて。」
「はい。ありがとうございます。天野先輩も気をつけてください。」
先輩と話していたら少し遅くなってしまった。でも、いいことが聞けたのかもしれない。天野先輩は、東雲先輩も五十嵐先輩のことも二人とも大好きなこと。素敵な友情じゃないか。ずっと仲良くいて欲しいなんてわがままかな。




