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短編

コミュニホン

作者: 神通百力

 半年ほど前に『コミュニホン』が発売された。『コミュニホン』とはコミュニケーションとヘッドホンを合わせた機械であり、人見知りの方のために開発された商品だった。

 開発者の道畑源五郎(みちばたげんごろう)も人見知りであり、心の声を相手に伝えられたらいいのにと思ったのが開発のきっかけだった。

 試行錯誤の末に開発された『コミュニホン』は発売されるや否や人見知りの間で大人気となった。

 今や『コミュニホン』は人見知りの必需品である。


 ☆☆


 黒髪の少女――佐谷美知佳(さたにみちか)は極度の人見知りで、家族に対してさえ、満足にコミュニケーションを取ることができなかった。思ったことを伝えられないことにずっと悩んできた。

 考えた末に美知佳はお小遣いをはたいて『コミュニホン』を購入した。見た目はヘッドホンとたいして変わらないが、美知佳は『コミュニホン』のおかげで家族に心の声を伝えてコミュニケーションが取れるようになった。

 美知佳は心の中でならお喋りということもあり、家族はコミュニケーションが取れるようになって喜んだ。

 また『コミュニホン』は遠くにいる相手にも心の声を伝えることができ、二階の自分の部屋にいながら一階のリビングで過ごす家族に話しかけることが可能だった。

 美知佳は『コミュニホン』を購入してから、家族との距離が縮まった。


 ☆☆


 それから十数年の月日が流れ、『コミュニホン』は人々の生活に根付いた。遠くにいる相手と会話が可能という点が注目され、人見知り以外の人も『コミュニホン』を使用するようになった。

 今や全人類が『コミュニホン』でコミュニケーションを取るようになり、心の声での会話が主流になった。

 そうしてさらに月日は流れ、ほとんど使われなくなった声帯は退化し、人類は声を発することができなくなった。

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