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お嬢様はもっと強い  作者: ビーデシオン
後編

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第16話 意趣返し


『セブラさん、ごめんなさい。ドレス、汚しちゃいます』


 レネシアから聞いた話では、相手の人数はすこぶる多く、中には炎の魔法使いもいたそうだ。

 でも、ネリーはそんなやつらに立ち向かった。

 相手の目的が、自分たちの身体であることを見抜いて、大きな傷はつけられないだろうと、騎士学校生に支給される剣を抜いたのだ。


『メイジェリアさん、ごめんなさい。レネシアさんを守ってあげて下さい』


 そのおかげで、レネシアは逃げることができたけど、相手の魔法使いは逃げるレネシアめがけて火球を放った。

 自分を狙ったものではないからか、ネリーも咄嗟に打ち消すことはできなかったようで、火球はレネシアに直撃する……はずだった。

 ところがその火球は、逃げるレネシアの、眼前の足元に落ちたのだという。


 普通なら直接狙えばいいのにわざわざ山なりに撃ち、丁度当たらないように。

 それから魔法使いは、背後から大声で叫んで、レネシアを脅したそうだ。

 このことを口外すれば命はない。

 お前一人くらいこっそり燃やしてしまうのは容易いと。


『レネシアさん、ありがとうございました。奴らはかなり強大ですが、ブレイズチップ家にいれば身の危険はないはずです』


 なんて古典的な脅しだろうか。

 第一、名前も知らない、騎士学校なんていう閉鎖的な場所で暮らしている令嬢をどうやって狙うというのだろう。

 潜入するにしても……リスクに見合わないだろうに。

 でも、レネシアの話から、推測できることは2つある。


『魔法使いのいる、賊の集団は……そう多くありません。逃げるレネシアさんを、火球で脅したという魔法使いは、私の記憶にある魔法使いと同じかもしれません』


 一つは、敵の魔法使いの練度は、相当なものであること。

 二つ目は……そう時期も離れていない、同じ地域で、練度の高い魔法使いを備えた盗賊団が、複数存在する可能性は限りなく低いということだ。


『もしヤツらが身代金を取れるか探っている最中なら、ネリーはまだ無事かもしれません』


 森を走る。


『憲兵には任せません。タイムリミットは、今日かもしれないので』


 スカートのフリルを外したドレスと、剣だけを身につけて、記憶をたどる。


『私が帰ってこなかったら、今から言う場所に、憲兵を向かわせてください』


 焼け焦げた木々の向こうに、野営地が見えた。

 記憶通りの地形。間違いない。


 ここはあの日、私が団長を見捨てた場所。

 ここは、私たちの傭兵団が全滅した場所だ。


 時刻は夕暮れ。大きいのを囲むように、小さなテントが4つ。

 合計5つのテントが張られており、辺りにはまばらに篝火が焚かれている。


「図らずもですが、意趣返しといきましょうか……!」


 木々の陰から、私は飛び出す。

 手に持つ剣の鞘を持ち、柄が上になるように携える。

 鞘は固定されているから、勝手に剣が抜けることは無い。


「ごあっ!?」


 目標は、テントのそばであくびをしている男。鍔の腹、魔石が付いていない方の金属面で、男の頭を殴る。

 切りかからなかったのは慈悲じゃない。

 血は目立つし、匂いが立つ。

 何より、セブラさんから借りたドレスを、できるだけ汚したくはない。


 気絶した男の脇に手を入れ、テントの裏に放り捨てる。

 次はこの中だ。入り口の幕の先を持ち上げて、中に篝火の光を入れてやる。


「ああ? なんだよ眩しい……ぐあっ!? がっ!?」


 中にいた男がこちらに歩いてくる様子だったので。

 今度は剣を順手に持って、底の部分で横から殴る。

 一発では足りないかもしれないのでもう一発。

 すぐさまテントに突入して、索敵する。


 誰もいない。次だ。


 二つ目のテントに向かう。

 今度のテントにはベッドが2つあったけど、誰もいなかった。

 ネリーらしき痕跡もないので、次に向かう。


 三つ目のテントの前では、またしても二人の男が食事をしていた。

 おそらく、テント1つに付き二人が割り当てられているのだろう。

 屋外で、しかも二人となると確実に仕留めるのは難しい。

 草木の陰を進んで、一つ飛ばしで最後の小さなテントに向かう。


 最後のテントには誰もいなかったが、足跡が残っていた。

 大きな男の足跡が2つと……小さな足跡が1つ。

 ネリーのものだと仮定する。

 足跡は、大きなテントへと続いている。


 だったら、やるべきことは明確だ。

 テントの中に放置されていた、それなりの大きさのハンマーを手に取る。

 本来はテント設営用のものだろうが、有効的に使わせてもらおう。


 テントから飛び出して、右手にハンマーを持つ。

 そのまま投げる。

 目標は、食事中だった二人。


 片方の頭にハンマーが直撃する。

 すかさずもう一人に飛びついて、押し倒した勢いのまま剣の鍔で額を殴る。


 すぐさま立ち上がって、ハンマーが直撃した男に追撃……の必要はなかったようだ。気絶しているようなので、確認のため一発蹴りを入れてから、大きなテントに向かう。

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