赤ん坊から始まる英才教育!?
異世界への転生、目を覚ますと赤ん坊だった。
500年ぶりの女の子という事で大変喜ばれた。
ついでに聖水も喜ばれた・・・
「アオ」という暫定の呼び名を与えられ・・・
スキル「匍匐移動」を習得しました
スキル「歩行」を習得しました
スキル「走行」を習得しました
スキル<ランナー>を習得しました
スキル「受け身」を習得しました
スキル「跳躍回避」を習得しました
スキル「回復呼吸法」を習得しました
スキル「魔力操作」を習得しました
…………
ちなみにこれは生後12時間後に確認したログである。
まだ、よちよちボディの赤ん坊が10cmに満たない手足を振って全力疾走している。
これが生後8時間の時の私の姿だ。
シュールすぎて笑えて来るだろうが、笑える余裕は持ち合わせなかった。
スキル<身体強化魔法>を習得しました
スキル「強化呼吸法」を習得しました
スキル「疾走」を習得しました
スキル<スタミナ無尽>を習得しました
スキル「魔力感知」を習得しました
スキル「気配感知」を習得しました
スキル「天界の知識」を習得しました
スキル「天界の歴史」を習得しました
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っ………………………………………………
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いや、過酷すぎんか?
生きる術という術を叩き込まれた。
生後わずか120時間の出来事である。
もちろん知識や歴史を叩き込まれた時に理解できた。
この世界、思ってるよりヤバイわ……
基本的な身体能力に加えて魔力を纏わせた上で数100mを一息で移動できないと死ぬ。
そういう世界らしい。
前の世界の最速の足の早さではそこらにいる犬に食われて終わる。
とまぁそれは地上の話で天界だと邪狼だったり邪人だったり……
とかく、地上のがレベル5くらいだとしたら天界にいるのはレベル80相当である。
つまり、生半可な育成では戦力になるどころではない。
3歳に至るまでに単独で邪狼くらいは倒せるように目指して育成するとの事だ。
聞き間違えてたかな……?
いや、<絶対記憶>のせいで鮮明に聞き間違えでないと理解できてしまう。
3歳とか前の世界ではお締めが取れるか否かくらい。
家の外に出るにも乳母車のお世話になっているくらいの年頃だ。
そんな子供がRPG終盤レベルの敵と単独で戦えるようになるんだと。
あ、聖水採取の時間ですね、はい。
元から、私にお締めなんて無かったです。
スキル「剣の扱い」を習得しました
スキル「両手剣の扱い」を習得しました
スキル「長槍の扱い」を習得しました
スキル「戦杖の扱い」を習得しました
スキル<拳闘術>を習得しました
スキル<柔術>を習得しました
スキル「戦弩の扱い」を習得しました
:
:
あれから半年、まだ身長は60cmくらいだろうか。
周りを見ても、膝の周りがブヨブヨしてそうな見た目の子供が身体の4倍はあろう剣を風切り音を鳴らして、ぶん回している。
私なんて、金切り音までしてるくらいには高速で……
スキル<剣技>を習得しました。
ほら、またスキル増えたわ。
まぁ早急にスキルを増やせるのは都合が良いから乗っかっておこう。
スキル<剣術>を習得しました。
スキル<槍技>を習得しました。
スキル<槍術>を習得しました。
スキル<杖術>を習得しました。
スキル<体術>を習得しました。
スキル「戦技」を習得しました。
スキル「跳躍走法」を習得しました。
スキル<高速機動>を習得しました。
私だけ呼び出し。
あ、聖水ね。
というわけで聖水採取のお仕事はまだ続きます。
スキル「調合の知識」を習得しました。
スキル「錬金の知識」を習得しました。
スキル「合成の知識」を習得しました。
スキル<薬調合>を習得しました。
スキル「聖力感知」を習得しました。
スキル「聖力操作」を習得しました。
スキル「調合の心得」を習得しました。
スキル「錬金の心得」を習得しました。
スキル「合成の心得」を習得しました。
スキル<錬金術>を習得しました。
スキル<聖力掌握>を習得しました。
ついでに「神霊薬」の作り方を見学してたら、なんか色々増えました。
そういえば、まだ空を飛ぶ訓練は受けてないなぁ。
翼はそれなりに発達して宙に浮く事自体はできそうなのにな。
スキル「飛行」を習得しました。
スキル「浮遊」を習得しました。
試そうとしなければ習得すらできないのか。
いや、そういえばここはそういう世界だったわ。
スキル「滑空」を習得しました。
スキル「運搬」を習得しました。
スキル<航空機動>を習得しました。
スキル<飛行闘術>を習得しました。
スキル「飛行回避」を習得しました。
スキル「空中歩法」を習得しました。
スキル「空中走法」を習得しました。
スキル「空中跳躍」を習得しました。
スキル<瞬飛行>を習得しました。
空飛べるってのがバレたら急に訓練メニュー増えたが……
しかし、だいぶ高速で動けるようになってきたものの大人たちの動きはまだクロックの補助なしだと目で追う事すら難しいときた。
あれ?今のステータスどんな感じだ?
称号:救世主
人種:天使
性別:女
Lv:1/100 Exp:0/1000
HP:333/333 MP:366/366
STR:7
VIT:6
INT:155
ARG:22
DEX:44
POW:46
PHS:2
APP:188
LCK:9
うーん、少し増えた?
相変わらずの低フィジカルは仕方ないにしてもARGが思ったほど伸びてない?
スキルをたくさん習得したからかは判らないけどもDEXは多めに増えてる。
POWの増加の方が多いのは謎だなぁ、種族固有成長ボーナスでもあるんだろうか。
あとAPP、なんか凄く増えてる。
そういえば大人たちの事あんまり観察してなかったかもなぁ。
とりあえずは目の前の、この人は教官という立場でありながら邪狼から子供たちを護ってくれてる人でもある。
名前:メイガス・スレイプニル
称号:護り手
人種:天使
年齢:760歳
性別:男
HP:0/2660 MP:5444/5500
STR:102
VIT:66
INT:90
ARG:110
DEX:88
POW:78
PHS:45
APP:302
LCK:260
うおっ偏りすごっ。
でも身体の成長でフィジカル面の数値も結構増えてくんだな。
そりゃそうか、今の私はまだ赤ん坊のぽてぽてボディだった。
スレイプニルは今いる神樹の名前だ。
天使は皆、産まれた神樹の名前が後ろにつく。
しかし、5倍差でクロック頼りじゃないと視認できないほどの格差になるのか……
神速の1000倍とかどんだけ早いのかと今から戦慄してる。
生後2年が経った。
私の身長も80cmを超え、それなりのフィジカルになった事で……
あのメイガスさんに弄ばれて……じゃなかった、手合わせしてもらっている。
すでにクロック抜きで目で追えるだけの早さを手に入れてはいるが、圧倒的な技量差故にクロック頼りなのは相変わらずだ。
自身の動きも音速の領域に到達しており、音速で間合いを取るメイガスさんを追跡しながら打ちあっている。
「ほらほら、腰が甘い」
「うごっ」
槍を突くもパリィされた一瞬きの内に背中を小突かれて地面の方へ突き飛ばされる。
飛行術を駆使して勢いを殺し地面への衝突を防ぐも背後に――
「っ」
「おっ、それを避けるかぁ」
勢いを殺して止まったところをさらに叩き落そうと追撃に来ていた。
それを瞬時に横に加速して回避して、メイガスさんの首へ一閃を。
「ふあっ」
ごちん。
地面すれすれでの飛行戦。
反撃に繰り出した突きを上に弾かれた事で回転した勢いで後頭部が地面に激突してしまった。
「ほら、ちゃんと地形を把握しながら戦わないと空中戦の及第はなしだなぁ」
「メイガスさんが強すぎるんですよ」
実際、他の大人たち相手なら互角に渡り合えるだけの実力はある。
メイガスさんが別格なのだ。
ちなみに今のステータスはこんな感じだ。
称号:救世主
人種:天使
性別:女
Lv:1/100 Exp:0/1000
HP:620/620 MP:1060/1060
STR:12
VIT:10
INT:322
ARG:71
DEX:140
POW:104
PHS:5
APP:526
LCK:12
ステータス差は強化魔法で埋められこそするが、メイガスさんも大人げない事に全力で強化魔法をかけてくる。
むしろステータス差はより大きくなっている。
頭の後ろを抱える私を見てメイガスさんは、からから笑っている。
「メイガスさん次俺っ」「いいや、俺だ」
キイロ1とキイロ2が目の前ではしゃぐ。
あ、ちなみにキイロは髪が金髪だからキイロだ。それが何人かいるから数字がついている。
本当に安直な名前だけど、この世界の子供はすぐ死ぬ。
そらもうあっけないくらいに。
ちなみに12人いた子供の内、生き残ったのはこのキイロ1とキイロ2と私の3人だけだ。
他の子たちはどうして死んだって?
あれは自爆だからしょうがないとしか言いようがない。
今でこそ武器を扱った戦い方ばかりを教わっているが、魔法をメインにした子たちもいる。
そんな子たちが強めの魔法を覚えて調子に乗って特攻しかけて返り討ちの代償が死であった。
それだけである。
それは置いておいて、今は子供2人とメイガスさんの戦闘訓練である。
二人がかりで高速で飛び回り片方が打ち合っている死角からもう一人が・・・
いや、それを動かずに対応するんかい。
私の時と違い、メイガスさんは一点に留まって2体1でも迎撃主体で立ちまわっている。
このキイロ1とキイロ2、彼らは近接に特化している分、早さもパワーも私よりも上だ。
それに彼らは地面に頭をぶつけるなんて、どんくさいマネはしないのだ。
渇いた笑いが口から洩れる。
「私もまだまだかなぁ」
場面は変わって、要塞の壁の外に来ている。
魔法の実習は要塞の内ではできない――
恍惚に輝く緋色の光。
それが手の平を覆い正面に放たれる。
光は進むにつれて赤に姿を変えた後に青い炎へと成る。
炎は地面に届くと一気に膨らみ数100mを一瞬の内に火の海へと変貌させた。
――理由はこれである。
「すごい威力ねぇ」
そう言うのはルインさん、産まれた時に私を掲げていた唯一の女性である。
身長は138cmくらいピンク髪であり、見た目ほとんど中学生な感じだが1000歳超えのおばあちゃんである。
ちなみに近所の面倒見が良いおばちゃんみたいな感じで恋愛対象にはならなそうである。
「魔法の威力だけならスレイプニル1じゃないか」
もう一人はアルバルトさん、聖水一番搾りの人である。
ちなみに放った魔法は<魔法開発>で作ったオリジナルの魔法である。
手の平の上で重力球を生成しそこに高温化した空気を集めて放つ。
重力球自体は空気を集める以外の機能がない上、熱した空気も手から放った時点で魔力を帯びていない。
重力球が時間をかけて高温の空気を圧縮して熱のエントロピーを高めた後、魔力切れで消える時に高温の空気を発散するだけの魔法である。
利点は手から離れた時点で魔力操作はもう終わっている事と魔力障壁のような魔力を防ぐ防御を貫通出来る事だ。
デメリットとしては出頭を止められると熱の奔流は自身を襲う。
さらには重力球自体は遅い等速直線運動だ。
この世界の機動力では見てから回避余裕である。
魔力障壁の攻略に重点を置いた結果、使い勝手が犠牲になった魔法とも言える。
「この魔法は実戦では使い物になりませんよ」
「確かにこれだけ遅いとねぇ」
「邪人には通じるかもしれんが、邪狼には役に立たんだろう」
まだ改善の余地はあるだろうか、それとも別のアプローチが必要だろうか。
とかく、この魔法が必要な場面はそう来ないと思ったのだった。
その後は魔法戦の演習である。
相手はルインさん。
言える事は一つ。
当たらん避けられん。
クロックのアシスト付きでルインさんの10倍の魔法を放つもすべて避けられ、向こうが放つ魔法は必中である。
「ほっほっほ、精進なさい」
「これまた、こっぴどくやられましたなぁ」
全身から煤の煙を上げながらバタンキューである。
まるで心まで読まれているのではないかというほどの回避精度に偏差撃ち精度である。
こちらは光速の追尾弾を連射しているのに、すべてに対応された。
その上で蚊が止まれそうな速さで飛ぶ光弾を全部当てられた。
これが経験の差、1000年の経験は伊達ではない。
いや、そもそも全身を魔力障壁で覆っているのに生身に全部当てられた。
後でからくりを教えてもらおう。
聞いてみた。
スキル「魔力視野」を習得しました。
スキル<魔力空間認知>を習得しました。
3次元空間上は覆えてても魔力空間上では無防備、との事でした。
<魔法の知識>で検索したら該当してそうなスキルが増えた。
これでまた隙を減らせ……る?
待て、魔力は魔力で次元を持っている、だと?
もしかして、もしかしなくても「力」とか「気」とか付くものすべてに次元あったりしないよな……
しないよね……?
…………
あーはいはい、解ってるから。
いちいち呼び出さないでも。
聖水聖水……
いい加減、一人の時に採取済ませたいんだけど。
そろそろ見られながらは恥いんだが?
ちなみに5歳になると聖水が採取できなくなるらしく、それまでは続くらしい。
……はぁ
以下、3歳時点でのステータスです。
名前:無(仮称:アオ)
年齢:3歳(36か月)
称号:救世主
人種:天使
性別:女
Lv:1/100 Exp:0/1000
HP:810/810 MP:1220/1220
STR:13
VIT:11
INT:352
ARG:82
DEX:172
POW:131
PHS:6
APP:556
LCK:11
ユニークスキル:天衣無縫 聖女 成長強化 不老不死 天恵
スキル:錬金術 合気 柔術 拳闘術 剣術 剣技 槍術 槍技
杖術 体術 飛行闘術 スタミナ無尽 高速機動 航空機動
瞬飛行 身体強化魔法 魔力空間認知 聖力掌握
クロック20 並列思考2
Extra:コンソール レベルアップ ステータス獲得5倍 獲得経験値10倍
ユニークスキルの知識 スキルの心得 世界の言語 絶対記憶
不老 不死 神の贈り物 魔法の知識 邪神の知識
耐性
神聖:S
暗黒:20 -30%
状態異常:S
疲労:S <- スタミナ無尽
痛覚:20 -15%
窒息:10 -10%
呪い:S
封印:S
結界:S
天使という種族
天界と呼ばれる地上高度7000mを徘徊する陸に住む種族。
生誕の神樹から10年に一度12人、4か所あり全部で48人がほとんど同日中に産まれる。
なお、成人まで生き残るのは毎回2-5人ほど。
天界の過酷な環境故、非常に高い戦闘力を持つ。
地上の戦士曰く「戦闘スピードが異次元すぎて視認すらできない」。
天使の女性の子供が生まれる事は稀で、女性に限り6歳までの間は聖水を採取できる。
この聖水を原料に「神霊薬」を生成できる。
<不死>のHP0固定の影響で回復しない「欠損」を「神霊薬」で回復できるようになる。
天使成人のステータスアベレージ
HP:0/2000 MP:4200/4200
STR:75
VIT:55
INT:110
ARG:82
DEX:68
POW:85
PHS:33
APP:320
LCK:350
天界最弱と地上最強の狼種の比較
邪狼
HP:150000 MP:60000
STR:400
VIT:80
INT:700
ARG:890
DEX:40
POW:22
PHS:21
王狼
HP:66000 MP:300000
STR:280
VIT:100
INT:820
ARG:150
DEX:600
POW:550
PHS:32
ちなみに魔物の序列はこんな感じです。
下<野<魔<王<<邪<邪王<天<<<神(邪神はココ)