誕生!?まさか赤ん坊からとは思いませんでした
エロゲ、Angels☆Bellの叢リリーちゃんルートを攻略し寝落ちてしまった俺は起きた時に奇妙な空間にいた。
今は天使の姿をしている謎の暗黒物質もとい天使さんに異世界転生の権利を得たという話と邪神を倒せという話をされ、キャラクリを行い送り出された。天使さんに弱すぎっていわれたのが気がかりだが・・・
白い世界から少しずつ感覚を取り戻してきた。
今度は確かに圧迫感が全身を包んでいる。
圧迫感?
あれ?呼吸ができない、息苦しい。
目も上手く開かない、淡い赤の光を感じる。
繭の糸を解すように圧迫感から解放される。
未だ視界を確保できないが未熟な耳が周囲の喧騒を拾う。
「おぉおおおお」
「女の子じゃああ」
「これでやっと私のっうぅう」
「一体何年待ったじゃろうか」
どうやら、女の子は珍しいらしい。
そんな風に思っているとようやく目が開く。
目の前に見えるのは幾何学な虹色の文様に輝く白い壁。
その様相はまるで要塞のようであり、壁の内側に雑多に家らしきものが生えている。
しかし、家の周りには通路や足場はなく……
あっそうか、空飛べるんだった。
そして、それらの壁は今いる場所を囲うように隔たっている。
中央にはいびつでありながら神秘的な木があった。
って違う、あんまりにも謎すぎる風景に気を取られたが今は周囲の状況を見なければ。
仰向けに掲げられてるせいで少し辛いが周りを見てみる。
そこにはざっくり……77人の天使がいて……
スキル「カウント」を習得しました
おっと、数えるのが早すぎてついうっかり「> show log」をしてしまった。
スキルの習得はコンソールのログに入るんだなぁと……
アレ?何故ログにあると思った?
無意識の内に確認してしまったらしいが、何故そうしたかは解らないな。
まぁそういうものとしておこう、気が逸れた。
だいぶ大所帯だが、その中に女性は……1人?
ずいぶん偏ってるなぁと思ってるとその答えはその女性の隣に立つ若者……
いや若いとは限らないか、たぶん偉い人だろう方が教えてくれた。
「おぉ500年ぶりの女の子じゃぁあ」
500年ぶりと来たか、それはこの騒ぎも理解できよう。
「おい、聖水瓶を用意しろ」
ん?あれ?聖水?
嫌な予感がするが気のせいかな?
その、聖水瓶?とやらの置き場所は……
……
……
やはり、そこか。
そうしている間にも隣で繭のようなものが解けて……
竹取物語の宝物のような角のような質感の……たぶん木だよな。
そこに蓑のように下がった純白の繭から光が溶けると赤ん坊が現れていた。
え?私もああやって産まれたの?
じゃなかった、産まれてきた男の子は布に包まれるとすぐにお締めを着けられていた。
あれぇ…………
うん、覚悟するしかないのか。
おしっこを採取されるのを
すでに我慢が怪しい。
出かかってるというか、溢れかかってるというか。
あっ
そうして、溢れ出た黄金水は脚の間に置かれた瓶へど注がれていく。
もう出ないと最後の一滴が滴った後に……
あ、これ……
「聖水一番搾りぃいいいい」
……言うと思ったわ。
ちなみに今日一日で産まれたのは私を含めて12人である。
うち11人が男の子、まぁ解ってたけどね。
どうも子供を産んだ繭を生やした木を「神樹」というらしい。
じゃぁこの要塞みたいになってるのは神樹を守るためと思われる。
ちなみに私の呼び名は「アオ」になった。
髪が青いかららしい。
呼び名といったのは、これが正式な名付けではないとの事だった。
しかし、赤ん坊からかぁ……
てっきり15歳とかスタートかと思ってたが……
いや、30年後に備えてって言ってたのにそれじゃぁ45歳になってしまうな、うん。
さすがに全盛期過ぎて老い行く身で世界の危機に立ち向かえって、そら無理だわ。
コンソール操作はメインルーチンの人格が意図的に使わないような部分では無意識に<並列思考>のどこかのルーチンが処理してます。
例えば「> show log」や「> get status -a」はなんとなく知りたいと思えば自動で処理されます。
これに当人が気づくのは、しばらく後になります。