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龍神様ごめんなさい

天界から追放されて落ちた先は聖地でした。

ところ変わって墜落地点。


  「ああぁああ」


  「死ぬかと思った!!」


結論から言うと無事だった。

いや、無事じゃない。


  服が。


そう、今の私は()()()()()()である。

どうも、魔暴域を抜ける過程で燃え尽きてしまったらしい。


クレーターの真ん中。

私は黄昏の中、幼子の割りには(なまめ)かしいシルエットの影を浮かべて空を仰ぐ。

乱れた髪を指で整えて後ろに流す。

その姿のなんと幻想的な事か。


挿絵(By みてみん)


いや、そんなことしてる場合じゃない。

服を何とかしないと。


そうして、すぐに立ち去ろうとすると。


「ぐおおおああああ」


唐突に襲い来る青白い光。

着地点の情報を持たなかった私は不意を突かれた。

光は一瞬で土を炭に変える。

私は何の対策も無く浴びてしまった。


その極光が晴れると。


「おいてめぇ」

「?」

「そこのおめぇだよ、天使」

「あぁ私か」

「俺の隠れ家がめちゃくちゃじゃねぇか」

「うん?」


よくよく見てみるとクレーターの周りに鳥居のようなオブジェが見える。

しかし情報はそれだけだ。

おそらく、大部分はこのクレーターの下だろう。


「これ私のせいか?」

「おめぇじゃなかったら何だよ?お?」

「なんかすまん」

「てめぇ神の地を荒らして『すまん』で済む訳ねぇだろうがぁああ」


うおっ危ねぇ。

私の立っていた場所、の周辺5mほどが爪に抉り取られた。

うん、飛べるな。


「ちょこまかするんじゃねぇ」


目の前にいるのは……龍だろうか。

蛇のような長身に4本の足、全身を人より大きい黒い鱗で覆われ、首から尾まで(たてがみ)が生えている。

頭から顎までを荘厳な白い髭が囲っており、鋭い金の目玉に赤い瞳、鰐を思わせる顎門(あぎと)

そんな東洋の龍を思わせる生物から繰り出される爪、尾、牙、炎。

それらを飛行しながらすべて躱していく。


「くそがぁぁああ、さっさと死ねおらあっぁあああああ」


なんとか捌けている。

しかし、打開策が無い。

魔力は(から)

武器もない。

ステータスが低すぎて鱗を突破してダメージを通せるとは思えない。

そういった千日手に入りかけていた。


そして、私は別の事を考えていた。


  服、どうしよ?


そう、私は上の空だった。

それも気に入らないらしい。

更に龍からの攻撃が過激になっていく。

しかし、そうなっても全ての攻撃を躱す事に変わりはなかった。


「てめぇええああ、俺を無視するんじゃねぇぇえええおおおお」


更に苛烈になっていく龍からの攻撃。

しかし。


「いや、さっきから貴方は誰ですか」


ようやく誰何(すいか)するも、すでに興味は弱い。


「龍神である俺をおいて誰とはどういう事だ?おぉお?」


龍神?

これが?

いや、今の実力で勝てそうにはないが、向こうからの有効打もなさそうなんだよな。


「ちっ、冥途の土産に教えてやる、俺は――」

「リンドブルムね」

「知ってるなら」

「いや、今知った」

「ぁああ?」


  名前:リンドブルム

  称号:守護龍神

  人種:黒龍

  年齢:測量不可

  性別:概念なし

  HP:65536/65536 MP:48888/63333

  STR:1300

  VIT:2777

  INT:772

  ARG:611

  DEX:122

  POW:421

  PHS:6800

  APP:800

  LCK:7201


いちいち煩わしいので名前くらいはと調べてみたが。

1024超えのステータスがいくつか……あれ?


まぁいいや、今は服が先だ。

さすがに勘付いた地上人がこちらに来てもおかしくない。

材料は……土でいいか。

構成は、綿花から製糸を経て織り編みして。


地面に接近した後、土を巻き上げて光に包まれると純白のワンピースで身を包んだ。


よし。

服はこれで良いか。


MPが回復していたので<魔法開発>を用いて即席ではあるが服を作った。

これから起こるだろう問題はこれで大丈夫だろう。

そういえば。


「おい」


いつの間にか攻撃は収まっていた。


「あぁ申し訳ない、貴方の事を忘れてた訳ではないのです」

「命よりも服が大事とはな」

「いや、貴方の攻撃では私は死なないし」

「ぁああ?」

「まぁまぁ落ち着いて」

「これが落ち着いていられるか」

「とりあえず怒ってる理由を聞いても?」

「問答無用!死ね」

「だから、理由を話せって」


しばらく千日手をして――。


「ぜぇ……ぜぇ……」

「そろそろ、話す気になった」

「もうええわ、俺の隠れ家を壊してくれた腹いせにと思ったが」

「そうじゃなくてさ」

「それ以外に何かあるんか」

「隠れ家を修復すれば良いってことでいいですか?」

「この状態から修復できる訳なかろう、この場所は聖域ぞ、聖力の伴わぬ方法で修復したとて元通りにはならぬだろうよ」

「そのくらいなら問題ないですよ」

「は?」

「まぁ魔力が戻るまで少し待ってくださいね」


「…………」


「あっ」

「なんだよ」

「もしよろしければ、要望なんかあります?」

「元通りになるならと思ったが、何でも良いのか?」

「ええ、お好きなように」

「じゃぁ」


俺の巨体が収まる(うろ)のある神山に荘厳な(やしろ)、参道も人が通るのに大変なものがあるといいな、それと――――


「色々言ってくれるな、とりあえず見た目はこんな感じで良いか?」

そう言って土で4m立方ほどの模型を作って見せた。


「なんだこれは、知らないものだがそれがいい」


どうやら喜んでもらえそうだ。

聖力が重要とも言っていたから、そういったものを込める場所を考えながら――




――――

フィンドルムの領主、パルム・ヴォン・フィンドルムは衛士5名を伴って龍神の(もと)へ向かっていた。


町の中で準備をしていると彼の流星が落ちた場所、龍神様の住処で爆音が轟いた。

その後も龍神様の暴れる衝撃が大地を揺らす。

ことの緊急性を更新したパルムは本来3名の衛士で向かうところを5名に増やして向かう事にした。

そして、町の外へ出て――。


「なんだ?」

「……」

「おかしいです」

「あぁそうだな」

「急に静かになった」

「……」

「まさかっ」

「ひとまず、現場の確認だ、もし龍神様が町の方へ向かったのならここからでも見える」

「御意」

「念のため1人町の方へ、龍神様が町で暴れる事態になったら避難できるように知らせよ」

「御意」


そうして、1名戻り、4名の衛士と共に現場に向かう。



「これは何だ?」

「以前来た時には無かった物です」

「私もこんな()()()は見たことがありません」

「とてもじゃないが、人間が作れるものとは思えない」


かつて鳥居があった場所に巨大な門が建てられていた。

白い壁、(あか)い柱、漆黒の瓦屋根、屋根を支える部分に打ち込まれた木杭。

門の左右には対の巨人、仁王が立ち塞がり威圧感を放っている。


「いったい、ここで何が起こったというのだ」

「先に進みましょう、異変はここだけとは限りません」

「そうだな」


門を(くぐ)るとすぐ石段の階段が伸びていた。

見える範囲で途切れないくらいの長さの。


「これを登るのか?」

「心が折れそうなくらい長いですね」

「ええい、私は登るぞ」

「お供します」


そうして、登る事1111段。

途中で衛士3名がリタイアし、最上段まで辿り着いたのはピッツとパルムだけであった。

その過程にあった鳥居も見た事の無い意匠ではあったが。


「こ、これは……」

ピッツも敬語を忘れ絶句している。

パルムも頭を抱える。


麓で見た建築物よりも10倍ほど巨大な社であった。

全体は黒で染められており、時折見える金が映える。

その社の裏には、巨大な建造物の影あってもなお見える巨大な神木であった。


「うわあああ」

「おいどうし、あああああああ」


そして、屋根の下まで行き見上げると。

そこで巨大な龍と目が合うのだ。

彫刻なんだけどね。


結局彼らはよく観察することなく逃げるように降りて行ってしまった。



――――

「いやぁ満足満足」

「気に入っていただけたようで何よりです」


私が作ったものは神社と寺のハイブリッドだ。

まぁ実際に日本で作れば背徳的と罵られること請け合いである。

入口の門は雷門、参道は伏見稲荷、社に至っては色々なものが混ざっている。


「これだけの物を作ったのだ、最初の無礼は許そう」

「恐れ多いです」


とにかく許されたらしいから良しとしよう。


「それでは私はこれで失礼します」

「ふむ」


特に引き留めるとかはないんだな。

まぁ面倒だから良いんだけど。


「おい待て、お前の名前は何という」


そういえば名前は無かったな。

少し思案する。


「ミーティア」


ミーティア、天体を意味するが日本人の特にゲームに触れる者の多くの場合はメテオ(Meteor)の字面の影響(せい)で隕石を思い浮かべられる事だろう。

私もそっちの側である。

故に流星、私の名前の由来としては最適だろう。

あと何となく響きが可愛いからとかもある。


「そうか、ミーティア、覚えたぞ、ではな」


そうして見送られ神山を後にした。

そういえば、全然人来なかったな。




この出来事は後に流星の神の神秘として語られるのだが、それはまた別のお話。

ちなみにパルムらが山頂の社を訪れたのはミーティアが立ち去った3分後である。

主人公の名前は「ミーティア」です。


ちなみに現在のステータスです。


  名前:ミーティア

  年齢:5歳(60か月)

  称号:救世主、堕天の烙印

  人種:天使

  性別:女

  Lv:1/100  Exp:0/1000

  HP:1040/1040 MP:2200/2200

  STR:14

  VIT:12

  INT:620

  ARG:112

  DEX:311

  POW:178

  PHS:7

  APP:944

  LCK:14

  ユニークスキル:天衣無縫 聖女 成長強化 不老不死 天恵

  スキル:錬金術 合気 柔術 拳闘術 剣術 剣技 槍術 槍技

      杖術 体術 飛行闘術 スタミナ無尽 高速機動 航空機動

      音速飛行(new) 身体強化魔法 魔力空間認知 聖力掌握

      クロック10000000 並列思考8

  Extra:コンソール レベルアップ ステータス獲得5倍 獲得経験値10倍

     ユニークスキルの知識 スキルの心得 世界の言語 絶対記憶

     不老 不死 神の贈り物 魔法の知識 邪神の知識

  耐性

      熱変動:S

      雷:S

      質量:S

      神聖:S

      暗黒:S

      力学:130 -20%

      状態異常:S

      疲労:S

      痛覚:S

      窒息:S

      騒音:S

      呪い:S

      封印:S

      結界:S

      魔暴走:S


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