2-2.経た時間
――ごちそうさま。家の人に、お礼言わないといけないよね。
――おあいこじゃん、迎えに来てもらって、荷物運んでもらったし……いや、だから私がどっちにもお礼しないといけないのか。
――そんなこと必要? 私たちにさ。まあ美佳に来てもらった私からは、必要かもしれないけど。
――要るわけないでしょ。
――あはは、でも私からは言っとくね……ありがと。こっちに帰ると、やっぱり落ち着くなあ。今は恭子も、美佳もいるし。
――へーえ、都会人の、さな……じゃなくて、坂上美由紀さんには、こんなところ、退屈なだけじゃないかと思ってたけど。
――全然。なんか、まだ向こうに慣れてないみたいで。
――そうなんだ? でももう結構長いでしょ、何年?
――十年ぐらいかな。大学からだから……
――九年。もうすぐ十年。まあ、私は少し前に戻ってるから、美由紀よりちょっと短いけど。
――じゃあ私たち、知り合ってからもう十二年とか?
――恭子とはね。私と美佳は、もっと長いよね。
――うん……もっと、前から。
――確かに。私が知り合ったときには、もう二人とも友達同士だったなあ。
――中学校の頃からだもん。いやあ、いろいろあったなあ、あの頃は……ね。
――そう……だね。
――へえ、うらやましいこと。
――そんなにいい思い出ばっかりでもないけどね、あはは……でもやっぱり、まだ島に住んでた時間の方が長いからなのかな、向こうに慣れないのって。
――美由紀からしたら、こっちの方が「向こう」な気がするけどなあ? 住んでるのはあっちなんだから。私なんて、まだ島の外で生活したことないし。うらやましいくらいだわ。
――うーん……なんか、疲れちゃうんだよね。いろいろ便利だけど、別になくてもいいような、って思っちゃうし。それに人が多くて、落ち着かないから。今は、家に純くんがいてくれるけどさ。
――彼の自慢はいいから。私たちじゃあ、不満?
――そういうつもりじゃないって!
――いえいえ、いくらでも自慢してくれていいんですよー、純くんのことだったら。
――だから……