エピローグ:拝啓、愛しき君へ
最終話です。……その前日に3000PVを突破しました! あざます!
拝啓、愛しき君へ。
慧宙、元気かな? 我は相変わらず元気だ。そして―――我の夫も、不止も元気だ。そうなんだ、我達、結婚したんだよ。今は嫁に入ったんで魁狛炎楽なんだ。驚いたかい? まあ、そんなことはどうでも良いことなのだよ。
君が消えた後、様々なことがおきた。
まず、人々から“想像力”が消えた。その時は、まだ“想像力”に頼った機械とか、公共インフラも多かったから何かと混乱したよ。でもね、ノワール・エルドラド・ファウンデーション―――昔、私達が高校生だった時はノワール・エルドラド財団っていう名前だったからよくわからないかもしれないけれど、そこの組織が、“想像力”を模倣した機械を作ってくれて……今は、ノワール・エルドラド・ファウンデーション―――長いから『NEF』が世界の科学を牽引していっているよ。
そして、君―――慧宙の記憶が消えた。一部の人を除いてね。
元キュグデメンバー、元ホリセブメンバー、『ティンダロス・ルルイエ・コーポレーション』会長・空海久猗、横山家、そして私達……魁狛夫婦は君のことを覚えているんだけど―――それ以外の人たちはまるっきり。でもどこから流れ出したか知らないけれど、キュグデには幻の七人目のメンバーがいるっていう都市伝説が広まって―――ライブ映像とかも見てみたら、ところどころ不自然な空白があることに気付いたの。例えば他のメンバーと手を合わせる振り付けの時、君がそこにいなければ、絶対に倒れ込んでしまうはず。なのに倒れていない。これは明らかな矛盾点で、君の存在を証拠付ける一因となっている。
その後に元キュグデメンバーの会見が開かれたりして……今では、世間的に君のことは認められてきている。何せ、“想像力”とかいう訳のわからない代物だ。それぐらいのことがあってもオカシクはない、と思われたんだ。
で、なぜ今更になって我がこんな手紙を書いたかと言うとね……。
今日は、君の消えた日からちょうど十年の日―――世間では十周忌と呼ばれる日なんだ。概念となって見守っていると君は言ったけれど、本当なら、応えてくれ、って思っただけさ。
それじゃあ、我はこの辺で。いつでも、待っているからね。慧宙。
君の永遠の花嫁より。
―――………一方、あの戦いの後行方が不明となっていた“契約幻想罪念武装”憐憫せし美徳の愉悦は、宇宙を彷徨っていた。否、正確に言えば、宇宙ではなくて、“空間”―――ひいては“時空”を彷徨っていた。
全ての人類の思いの詰まった非非想の武具。ある種の呪いの品。そんな“契約幻想罪念武装”憐憫せし美徳の愉悦も、どこかの星に降り立った。
それは無数の剣の突き刺さる荒野。丘とも呼べるその盛り上がった地形は、まさに前の主である慧宙の『降臨せし禁忌の都:異能再演地底劇場』のようにも見える。
そんな“契約幻想罪念武装”憐憫せし美徳の愉悦を待ち構えていたのは、ある一人の少女。
「なんだろ、これ……」
彼女は“契約幻想罪念武装”憐憫せし美徳の愉悦に手をかける。ああ、そんなことしても抜けるはずが……。と思っていたのだが。
少女は渾身の力を振り絞り、“契約幻想罪念武装”憐憫せし美徳の愉悦を引き抜く。
―――これが、“世界”から出た者が出会った、初めての並行世界であったのだ。
皆様、ご愛読、ありがとうございました。
約一年ほど続けてまいりましたこの「大罪の歌唱偶像」。いやはや、初手の作品で一日で最高100PVを出すなど、思ってもおりませんでした。
最初の方はとても拙い文章で、今読むとむず痒くなってしまうのですが、その最初の方に、とても大きな伏線が張ってあったと、思っといてください。
さて、これからは私は新しい作品を書くため少し休みます。少し―――と言っても結構長かったり短かったりするので、そこの所、よろしくお願いします。
最後の最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
では、またどこかで!
令和六年四月二十二日
読者の皆様へ感謝を込めて。




